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子どもの発達お悩み相談室 第34回 「もう10歳なのに、家で月に1〜2回癇癪を起こす娘。外では優等生なのに、どうしたら?」


みなさまが、小学生以下のお子さまを育てていて、「うちの子ちょっと変わってる?」と思い、お子さまの発達などに関してご心配になっていること、お悩みになっていること、お気づきになったことなどについて、脳科学者の久保田競先生と、その弟子で児童発達研究者の原田妙子先生が児童の脳や発達の最新研究をもとに回答します。※金曜・不定期更新

Q34:もう10歳なのに、家で月に1〜2回癇癪を起こす娘。外では優等生なのに、どうしたら?

■家族状況
つかれる(相談したい子の母、30代後半)、夫、長女(相談したい子、10歳)、次女(8歳)

■ご相談
 10歳になっても癇癪を起こす娘。赤ちゃんの頃は生後3ヶ月から一晩きっちり寝てくれ手もかからない子だったのに、1歳過ぎてから毎晩2-3時間毎に絶叫し暴れる。それが5歳まで継続。当時は保健師にもかかりつけ医にも夜泣きはそのうち治るからとだけ言われていました。が、今となっては夜驚症だったのでは? と思っています。以前から癇癪はあり、起こすのは決まって家の中のみ。とにかく何をしても落ち着かせることはムリで、小さい時は放置するしかありませんでした。すると、いつのまにか眠ってくれるのです。昼寝も長いことしていて、小学校1年でもたまに昼寝しています。その寝起きも悪く、起きてから1時間は叫ぶ、蹴る、転げ回る。今もたまに癇癪を起こし数時間叫び続けています。例えば学校の準備をするように言うと叫び始め、妹の腕を掴んで離さなかったり、教科書などを投げたり、そしてその教科書が折れたとまた叫び、やるのがめんどくさいと叫び。じゃあやらなければいいと言ってもそれも嫌。他には宿題の丸付けでバツをつけられるのがどうしても嫌で、つけたら破ってしまって絶叫。100点がいい。だからといって勉強して100点を目指す気はない。学校での丸つけは受け入れられます。今は月に1-2回程度とはいえ、もう10歳なのに、とも思うし、外ではどちらかというと優等生で家の中だけなので相談しても理解してもらえない。とにかく疲れます。

A. 専門家の回答

お子さんの良いところをもっと見てあげませんか。

外でのストレスを家で発散
 「つかれる」さんの「疲れている」ご様子が、ひしひしと伝わってきます。そしてそれは多分、娘さんにも伝わっていると思います。外で嫌なことがあっても我慢して、毎日がんばって登校している娘さん。そのストレスが、ちょっとしたことを引き金に「癇癪」となって出ているのでしょう。癇癪というのはマイナスの気持ちを抑えられずに衝動的に出してしまうもので、脳の前頭前野の発達が未熟なことと関係があります。成長とともに脳が発達すれば、回数も減ってくるのではないかと思います。

 しかし、つかれるさんは今の状態に、あーまたか、とげんなりされていて、お母さんのその様子に娘さんもさらにイライラして、キレてしまう。先生やお友達の前では出せないけれど、お母さんの前では出してしまう。ある意味甘えているのかもしれません。

 しかし、甘えたいなら、もっと別の方法で甘えて欲しいし、数時間も泣きわめかれるのは辛いですよね。

お子さんの自主性に任せてみる
 1歳から5歳まで夜泣きがひどかった、夜驚症ではないか、とのことですが、夜驚症が癇癪と関係あるとも言えません。夜驚症とは子どもに時々見られる睡眠障害の一種ですが、大抵の場合、発達に伴い自然によくなっていきます。

 娘さんの場合、まずは、癇癪を起こすきっかけとなるような声かけや行為をやめてみてはどうでしょう。外で身の回りのことができているのであれば、家でもできるはず。丸つけも、学校でバツも許容できるのなら学校に任せて、やらないようにしてみては?

 親として「明日の用意はしたの?」と言いたくなる気持ちをグッとこらえて、娘さんを信じて、本人が気づくまで何も言わない。準備をしなくて困るのは本人です。外では問題なくやれている娘さんです。きっと自分からやるでしょう。

自分の子でも相性はある
 ところで、ご相談の文章には、娘さんの悪いところしか書かれていないように思えます。もちろん、自分の子どもにネガティブな思いを持ってはいけない、というわけではありません。親子とはいえ別の人間なので、当然「相性」はあるということです。

 たとえば、お姉ちゃんと妹、妹の考えは共感できるところが多いんだけどなあ、とか、我が子の中でも合う合わないはあります。

 ただ相性の悪さを表に出すと、娘さんは「お母さんは自分を認めてくれていない」と不満に思うでしょうし、お母さんも「この子の態度は理解できないからイライラする」と疲れるだけです。将来的にもあまりいい親子関係にはならないでしょう。

 相性が悪い、ということを認めた上で、少し見方を変えてみませんか。

見方を変えてうまく「かわす」
 例えば、「外では優等生」なので他の人にわかってもらえない、とのことですが、外で優等生と見られるほど頑張っている娘さんは素晴らしいと思いますよ。

 寝起きが悪いのはいつもですか? いいときもあるのではないですか? 機嫌よく過ごしているときはどんな時なのか、良いところを見つけてみませんか。

 小さい時はもっと頻繁にあった癇癪も、月に1〜2回まで減った、と捉えてみませんか。そして、癇癪が始まったら、心の中で〈さあ、始まった〉とつぶやき、別室やトイレに行くなどして、娘さんから離れてみてはどうでしょう。物理的に離れることで、娘さんにクールダウンする時間を与えます。

 そうやって少しかわしたり距離をおいたりして、娘さんへの見方、付き合い方を変えてみるのがおすすめです。

(※第35回「癇癪、暴言、暴力がひどい4歳の息子。幼稚園の先生に怪我をさせられて帰ってきました。」は4月15日(金)に更新されます)

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久保田競先生
1932年大阪生まれ。
東京大学医学部卒業後、同大学院で脳神経生理学を学ぶ。米国留学で最先端の研究を身につけ、帰国後は京都大学霊長類研究所で教授・所長を歴任。
『バカはなおせる 脳を鍛える習慣、悪くする習慣』『天才脳を育てる3・4・5歳教育』『あなたの脳が9割変わる!超「朝活」法』等、脳に関する著書多数。

原田妙子先生
福岡大学体育学部修士課程卒業後、久保田競に師事し博士号取得。海外特別研究員としてフランス国立科学研究センター(College France CNRS)認知行動生理学研究室、パリ第六大学 脳イメージング・運動制御研究室を経て、現在は浜松医科大学 子どものこころの発達研究センターの助教。専門は子どもの脳機能発達。

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