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「11歳の娘が過敏症で下着のパンツが履けません。生理が始まる年齢なのに、どうしたら履くようになるでしょう?」子どもの発達お悩み相談室


みなさまが、小学生以下のお子さまを育てていて、「うちの子ちょっと変わってる?」と思い、お子さまの発達などに関してご心配になっていること、お悩みになっていること、お気づきになったことなどについて、脳科学者の久保田競先生と、その弟子で児童発達研究者の原田妙子先生が児童の脳や発達の最新研究をもとに回答します。

Q27:11歳の娘が過敏症で下着のパンツが履けません。生理が始まる年齢なのに、どうしたら履くようになるでしょう?

■家族状況
まき(相談したい子の母、40代後半)、夫、長女(相談したい子、11歳)

■ご相談
5年生から起立性調節障害と診断され、今も受診中。6年生から、特別支援学級で登校中。6年生になり、身体的にも、胸が出てきたり、色々かわってきている時期。ですが、過敏症で下着のパンツが履けないのです。なので、学校でも、ノーパン。スカートはもちろん履けず。ズボンも短いのを履きたがるので、横から見えたり。長いズボンを最近履かせるようにしました。色々なパンツを試しましたが、もう締め付けられる感じが嫌になっているようで。どれもダメでした。生理が始まる時期でもあり、私自身も悩んでます。どうしたら、履くようになるでしょうか。よろしくお願いします。

A. 専門家の回答

女児用パンツにこだわらず、履けるものを履きましょう。

異性の目より過敏症が気になる?
 肌着の質感や締め付けられる感覚が嫌いだという過敏症。小学校入学を機に、他の子が着ている様子を見て、段々と少しずつ慣れていくものですが、まきさんの娘さんの場合は、まだ難しいようですね。

 11歳、小学6年生となると、異性の目も気になりだし、このままでは嫌だなと思ったりする時期なのですが、それより過敏の方が勝ってしまうということなのでしょうか。

 それでも、まきさんが心配されるように、生理のこともあるので、そろそろパンツを履いてもらわないと困りますよね。

家の外では他の人の目もある、ということを話す
 締め付けられる感覚が嫌で履きたくない気持ちもわかるけど、学校の男の子に見られたら何か言われるかもしれないし、他の男の人に何かされて怖い目に遭うかもしれない、ということをことあるごとに話してください。自分の身を自分で守るためにも、せめて家以外の場所では、パンツを履いてもらいたいと、まずは知識として、本人に、他の人からの目があるということを理解してもらいましょう。

女児用パンツにこだわらない
 下着のパンツは履けなくても、パジャマのズボンは履けるのなら、パジャマのズボンを短くしてパンツとして履くのはどうでしょう? 普通のズボンを一回り小さくしてパンツ代わりに履くのでもいいですし。締め付けない男性用のトランクスでもいいと思います。「下着用の女児用パンツ」でなくても、構いません。

 なるべく締め付けない、パンツらしくないものを履く練習をしてみてください。最初は5分、次は10分、その間、美味しいものを食べたり、お気に入りの動画を見たりしていると、あっという間に時間が経つでしょう。

 そうやってだんだん慣れていければいいと思います。

なるべく日々のストレスを無くす
 また、娘さんは起立性調節障害があるとのこと。起立性調節障害は、自律神経の乱れから朝起きられなくなり、大体5時間ほど生活のリズムが後ろにずれてしまいます。小学校児童で5%、中学校で10%の患者がいると言われており、男女比は1:1.5〜2で女子の方が多いです。5年生まで普通級にいたけど6年生で特別支援学級に変わった、ということで、お友達関係とか勉強とか、なにか問題があったということなのでしょうか。

 ストレスがあると、過敏症がより強く出てしまう、ということがあります。今のクラスの居心地が良く、5年生の時よりはストレスが軽減されていると良いのですが。

 まきさんも、心配でしょうけれども、根気強くノーパンでいることの危険性を話したり、パンツがわりに履けそうなものを手作りしたりして、付き合ってあげてください。何があってもまきさんは娘さんの味方であることを知らせることで、娘さんも安心して、一歩踏み出して大嫌いなパンツを履こう、という気になってくれるかもしれませんよ。

「うちの子ちょっと変わってる?」子どもの発達お悩み相談室はこちらから

 

 

久保田競先生
1932年大阪生まれ。
東京大学医学部卒業後、同大学院で脳神経生理学を学ぶ。米国留学で最先端の研究を身につけ、帰国後は京都大学霊長類研究所で教授・所長を歴任。
『バカはなおせる 脳を鍛える習慣、悪くする習慣』『天才脳を育てる3・4・5歳教育』『あなたの脳が9割変わる!超「朝活」法』等、脳に関する著書多数。

原田妙子先生
福岡大学体育学部修士課程卒業後、久保田競に師事し博士号取得。海外特別研究員としてフランス国立科学研究センター(College France CNRS)認知行動生理学研究室、パリ第六大学 脳イメージング・運動制御研究室を経て、現在は浜松医科大学 子どものこころの発達研究センターの助教。専門は子どもの脳機能発達。


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