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「すぐに癇癪を起こして姉を叩いたりします。どう対応したらいいですか?」子どもの発達お悩み相談室


みなさまが、小学生以下のお子さまを育てていて、「うちの子ちょっと変わってる?」と思い、お子さまの発達などに関してご心配になっていること、お悩みになっていること、お気づきになったことなどについて、脳科学者の久保田競先生と、その弟子で児童発達研究者の原田妙子先生が児童の脳や発達の最新研究をもとに回答します。

Q26:4歳の次女は、他の子に興味がなく、すぐに癇癪を起こして姉を叩いたりします。どう対応したらいいですか?

■家族状況
ダメな母(相談したい子の母、40代前半)、夫、長女、次女(相談したい子、4歳)

■ご相談
2歳位から、同じ歳の子が公園にいると帰りたがったり、怖がってる様子がありました。幼稚園に入りどうにか泣かずに登園出来る様になりました。他の子よりもとても遅かったです。日常では、自分が食べたいデザートが食べられない事や、注意されて自分の悪い所を指摘されると癇癪を起こし、私や姉を叩いたり蹴ったりします。物に八つ当たりもします。頭がおかしくなりそうな大声を出して騒ぎます。幼稚園ではそういう事はないそうです。

A. 専門家の回答

他の子とは比べず、その子自身の基準で、できたことを褒めましょう。

4歳は社会性が芽生える時期
 定型発達のお子さんの場合、4歳くらいになると同じくらいの年の子に興味を持つようになり、話しかけたり一緒に遊ぼうとしたりします。娘さんの場合、あまり他の子には興味がないのかもしれません。

 それでも泣かずに幼稚園に行っているというのは、自分なりにガマンしているのかもしれませんね。そこは是非、大げさに褒めてあげてください。「今日も幼稚園に行けてえらかったね!」「お弁当を残さず食べてえらいね!」など、ことあるごとに毎日褒めてあげましょう。

幼稚園でストレスをためているのかも
 
嫌だな、と思いながらも頑張って毎日幼稚園に行き、他のお子さんともおそらく最低限は関わって、クタクタになって帰宅しているのかもしれません。だから、家でちょっと気に入らないことがあると、我慢していた気持ちが爆発して癇癪を起こし、お姉ちゃんやダメな母(決してそんなことないですよ!)さんに暴力を振るってしまうということなのかもしれません。

癇癪を起こしても取り合わず、タイムアウト法で対応
 しかしもちろん、ストレスがあるからといって、暴力を振るったり騒いだりしていいわけではありません。お姉ちゃんはやられっぱなしなのでしょうか?  そんな妹の理不尽な行動を受け入れていてはいけません。お姉ちゃんのほうがストレスとなり、妹は癇癪を起こせばなんとかなる、と誤学習をしてしまいます。

 そんな時はQ16でご紹介した「タイムアウト法」が有効です。娘さんの癇癪には取り合わずに、クールダウン用の別室に連れていき(クールダウン用のイスに座らせるのでもいいです)、一人にして気持ちを切り替えさせます。決して癇癪の原因となったデザートを買ってきて与えたりしてはいけません。ダメな母さんやお姉ちゃんは、凛として最初の態度を貫きます。癇癪を起こしても何もいいことはない、と学習させましょう。

他の子と比べるのではなく、その子自身の基準で成長を見ること
 
家族が癇癪に付き合わないことで、それが間違ったことだと学ばせる一方で、娘さんのストレスを少なくしてあげることも必要です。

 ご相談の文章に「他の子よりもとても遅かったです」とありましたが、他のお子さんと比べるのではなく、娘さん自身の基準で成長を見てあげましょう。

 幼稚園では大声で騒いだりはしていない、とのことですが、お友達との関係はどうでしょうか。先生に、「小さい頃から同い年のお子さんに苦手感があったので、何かあったら教えていただけますか」と言っておくと、様子がわかると思います。

 そうすればダメな母さんも状況が把握でき、「お友達に嫌なことされたんだってね。つらかったね。嫌だからやめて、って言えるとよかったね」と、具体的なサポートができるのではないでしょうか。

 少し周りの子たちとうまくやりづらい特性があるらしい娘さんを、まずはそのまままるっと認めてあげましょう。

「うちの子ちょっと変わってる?」子どもの発達お悩み相談室はこちらから

 

久保田競先生
1932年大阪生まれ。
東京大学医学部卒業後、同大学院で脳神経生理学を学ぶ。米国留学で最先端の研究を身につけ、帰国後は京都大学霊長類研究所で教授・所長を歴任。
『バカはなおせる 脳を鍛える習慣、悪くする習慣』『天才脳を育てる3・4・5歳教育』『あなたの脳が9割変わる!超「朝活」法』等、脳に関する著書多数。

原田妙子先生
福岡大学体育学部修士課程卒業後、久保田競に師事し博士号取得。海外特別研究員としてフランス国立科学研究センター(College France CNRS)認知行動生理学研究室、パリ第六大学 脳イメージング・運動制御研究室を経て、現在は浜松医科大学 子どものこころの発達研究センターの助教。専門は子どもの脳機能発達。


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