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【レビュー】世界一の小学6年生たちが集結!『世界一クラブ』から学ぶ、個性の活かし方

角川つばさ文庫を代表する人気作品『世界一クラブ』シリーズ。天才、柔道家、エンターテイナー、美少女、忍び———、様々な“世界一”の能力を持った小学6年生の男女が、そのスキルを駆使したチームワークで難事件を解決していく、痛快な児童小説である。
普段は、絵本専門士として絵本に携わることの多い筆者であるが、これまで児童小説を読む機会は正直に申し上げてほとんどなかった。しかし、近所の書店に行くと児童小説コーナーが設けられており、うちの小4の娘も最近はそちらで過ごす時間が多くなってきたようである。
ある日、娘の本棚にこの『世界一クラブ』が納めてあるのを見つけ、パラパラと眺めていたのだが…。およ、およよ。面白い。こりゃあ、なかなか面白いぞ!こりゃ、世の小学生たちがハマるのも頷ける。

まず、登場人物たちの一長一短のある設定が分かりやすくて良い。世界一の天才少年で主人公の徳川光一、世界一の柔道少女 五井すみれ、世界一のエンターテイナー小学生 八木健太、世界一の美少女 日野クリス、そして世界一の忍び小学生である風早和馬。各々が世界一のスキルがありながらも、人間味溢れる面も持っていて親近感が湧くのだ。読者ごとに感情移入できるキャラクターが、きっと見つかるはずだ。イラスト担当の明菜さんが描くイケメン・イケジョ達は、当然の如く令和の小学生たちの、どストライクであろう。というか、令和のおじさんの筆者が見ても目の保養になる。娘にお気に入りの登場人物を尋ねてみると、「五井すみれちゃんって、すごいよね!」とのことだった。行く手を阻む大人たちをバッタバッタとなぎ倒す、世界一の柔道少女がお気に入りのようである。パパ(筆者)はというと、やっぱり三枚目の役所である八木健太くんを応援したくなってしまうのだ。世界一のエンターテイナーであり、得意のモノマネでピンチを切り開く活躍を見せながらも、おっちょこちょいでドジな健太くん。ガンバレ!! おじさんは影ながら応援しているぞ!!
そして、彼らの通う小学校で起こった凶悪脱獄犯4人組による立てこもり事件をどのように解決していくのか!? 人質となった学校司書の橋本先生は無事に救出できるのか!?という明確なテーマがあり、ハラハラ・ドキドキしながらも小気味良くストーリーが進んでいく。主人公の光一たちは、それぞれが持つ素晴らしい長所を発揮し、時にそれぞれの短所をフォローし合いながら、親や警察の目を掻い潜って脱獄犯たちを欺き翻弄していくため、テンポ良く読み進めることができる。

最後になるが、作者の大空なつきさんは学校図書館にお勤めだったそうで、"あとがき"の中で、図書館で『ギネスブック』の人気の高さを目の当たりにした経験が、本作品の着想に繋がったと語っておられる。ということは、反対に『世界一クラブ』をきっかけに、“世界一”に興味を持って、家族でギネス世界記録を調べてみるというのも面白いかもしれない。世界は広く、千差万別の個性があり、多種多様な“世界一”があるのだ。 本作品を通して、親子で“個性”について語り合ってみるのも楽しそうである。

『世界一クラブ』シリーズは、本作を含めて現在8作品が発売中。様々な事件に巻き込まれながらも、力を合わせて解決していく光一たちの活躍、そして共通の経験を通して成長していく彼らの姿からは、目が離せなさそうだ。

(圓山哲哉)

 

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