KADOKAWA Group

Children & Education

子育て・教育

2026年入試で問われるのは“地図・年表・思考力”。四谷大塚が考える、社会のベストな勉強法

NEW

中学受験の社会といえば、地名や年号をひたすら覚える“暗記するだけの科目”ととらえていませんか? 「いまの中学入試の社会は、暗記で解ける問題ばかりではありません」と話すのは、中学受験指導のパイオニア・四谷大塚の先生。最近の社会における中学入試の傾向や求められる力、ベストな勉強法について詳しくお話をうかがいます。

暗記だけでは解けない中学入試の「社会」

 かつて社会は知識重視の科目だといわれていましたが、現在の中学入試では、覚えれば解ける問題だけでなく、問題を見てその場で考え、分析して解く問題が増えています。

 たとえば地理分野では、複数の地域の米作りの時期を示し、どのスケジュールがどの地域のものかを考えさせる問題が出題されました。「沖縄は暖かい気候を生かした二期作だから3月ごろに田植えが始まるはず」などと、受験生として身につけた知識をもとにその場で考え、分析する力が求められます。歴史分野でも、テキストや資料集に載っていない資料を掲載し、条件にあてはまるように記述形式で答えさせる問題も出題されています。

「思考力」と「知識」はいわば車の両輪

 思考力や分析力が求められるようになったとはいえ、地名や歴史の流れなどの基礎知識なしに入試問題は解けません。一部の問題に解答できたとしても、知識を確かめる問題でつまずけば、思考系の問題で得たアドバンテージを失ってしまいます。

「知識」と「思考力・判断力」は、いわば車の両輪です。どちらか片方だけが大きいと、バランスをくずしてまっすぐ走れなくなります。でも、車輪のバランスがとれていれば、安定して速く走れます。土台となる知識があってこそ、思考力が求められる問題にも対応できます。ある程度の知識を身につけることは絶対に必要です。

 近年の中学入試の社会は出題範囲が広く、求められる知識量は膨大です。でも、多くの学校の入試問題に共通する「中核となる知識」は全体の6〜7割ほど。これをいかに身につけるかが鍵となります。

 隅から隅まで完璧に頭に入れようとすると子どもも親もストレスになります。そのため、親が取捨選択という観点を持つことが大切です。どこまで覚えるべきか判断に迷ったときは、通っている学習塾のスタッフに相談してみましょう。

社会の知識を効率的に身につける4つのコツ

では、「中核となる知識」はどのように身につけるといいのでしょうか? 11月26日に発売した学習書『四谷大塚の やさしくスタート中学入試 白地図まとめノート』『四谷大塚の やさしくスタート中学入試 歴史年表まとめノート』の誌面をまじえながら、四谷大塚の先生に教えていただいた「社会の知識を効率的に身につけるコツ」をご紹介します。

 




【コツ1.】一度に覚える情報量は絞る

 子どもは、あと100個やろうというより、「あと10個やってみよう」とうながすほうが圧倒的にがんばれます。一方、「オールorナッシング」の傾向があるので、目に入る情報が多いと圧倒され、抵抗感を感じてシャットダウンしてしまうことも。目に入る情報量を減らすと、こうした抵抗感がやわらぎます。



『四谷大塚の やさしくスタート中学入試 白地図まとめノート』は、地方ごとの都道府県名からスタート。全国各地の都道府県の県庁所在地へと展開します。


 

【コツ2.】知識は関連づけて覚える

 暗記が苦手な子どもは、膨大な知識を“点”で覚えようとします。この方法は労力がかかるうえ、その部分の記憶が薄れると解答できなくなります。私たちがおすすめしているのが、“面”で覚える方法です。たとえば、地理は地方ごとに各産業の知識を関連づけ、歴史はひとつの出来事に対して「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」したのか、その結果「どのように」なったのかと、5W1Hを関連づけて覚えます。こうすると、知識量がグンと増え、一部の暗記が薄れても、周辺の知識で対応できます。


つまずきがちな明治時代。『四谷大塚の やさしくスタート中学入試 歴史年表まとめノート』では出来事の因果関係や流れを視覚的にわかりやすく整理して解説。書き込み式で覚えます。


 

【コツ3.】ゴロ合わせは、ここぞというときに“インパクト重視”で

 ゴロ合わせは、たまにあるからこそ効果を発揮します。すべてゴロ合わせで覚えようとすると飽きてしまうため、ここぞというときに使いましょう。ゴロ合わせは、インパクトが大切です。たとえば710年の平城京遷都の覚え方といえば「なんと(710)見事な平城京」がよく知られていますが、小学生には「納豆(710)食べて平城京」のほうが受け入れられます。小学生の感性に合うものを、数を絞って使いましょう。


入試で頻出の、享保の改革から天保の改革までの一連の出来事は「きたか おでん!」のゴロ合わせでインプット!


 

【コツ4.】知識は重要度別にグレード分けして達成感につなげる

 中核となる知識を一度に頭に入れるのは難しいので、重要度別にグレードをつけて覚えると取り組みやすくなります。「まずはこれ」「次はここ」と段階に分けて、「これ知ってる!」をたくさん作っていけるといいですね。


『四谷大塚の やさしくスタート中学入試 白地図まとめノート』では入試に特によく出る問題や、できたらすごい激ムズ問題をマークで表示。スモールステップで知識を身につけます。


 今回監修した『四谷大塚の やさしくスタート中学入試 白地図まとめノート』『四谷大塚の やさしくスタート中学入試 歴史年表まとめノート』は、膨大な知識を身につける第一歩として、すんなり知識が入る、知識と知識をつなげてインプットできるように工夫しています。書き込み式ワークで「中核となる知識」を身につけていきましょう。


赤シートと別冊「答えの本」つき。重要な用語をくり返しチェックでき、知識の総復習にも活用できます。


 地理は、地方ごとに分けることで目に入る情報量を抑え、頭に入りやすいようにしています。歴史は、人物や出来事の流れを視覚的にとらえられるように、年表に書き込んで覚えます。地理も歴史も、間違えやすい漢字や画数の多い漢字はまずなぞり書きをして、「ふりかえりチェック」でチャレンジ。社会は画数の多い漢字がよく出るため、温かみのある「UDデジタル教科書体」というフォントを使用しました。少しでも取り組みやすさにつながればうれしいです。


保護者の悩みにアンサー!

Q. 社会の勉強は、何年生から本格的にスタートすれば間に合いますか?

A.  小学校と同じ3年生からのスタートでOK!
小学校では、社会は3年生から本格的に始まります。近年は何事も早めに先どりする風潮がありますが、小学校と同じ3年生からスタートすれば十分だと思います。 少しでも先に準備したいということであれば、日常生活の中で社会の学びにつながるようなアクションをするのはいかがでしょうか? たとえば、一緒にスーパーに買い物に行って売り場で「〇〇県産」などの表示を眺めたり、旅行に行ったときに地図アプリで現在地を確認したり、史跡や博物館に出かけたり。住んでいる街の地名の由来や歴史的背景を親子の話題にするのもいいですね。見たことがある、経験したことがある情報は、子どもの頭に入りやすいですよ。


Q. 地理と歴史、どちらから先に勉強するのが効率的?

A. 子どもの興味関心によってどちらから始めても◎!
一般的に、学校でも学習塾でも、地理の学習からスタートします。これは、先に地理の知識を身につけたほうが、歴史の流れが理解しやすいからです。たとえば戦国時代の天下統一までの過程を学ぶとき、地理の知識が助けになります。とはいえ、歴史を学ぶために地理の知識が必須というわけではありません。歴史に興味があるようなら、歴史から始めても大丈夫です。

Q. 時事問題の対策として、子どもに新聞を読ませたほうがいい?

A. まずはニュースを見たり新聞を読んだりする親の姿を見せましょう
最近の入試問題で時事問題は珍しくなく、今年のように政局で大きな動きがある年は、関連した事柄が出題されることがよくあります。時事問題の下準備として保護者の方によくお伝えしているのは、「親御さんがニュースを見ている姿を子どもに見せてほしい」ということです。興味を持てば一緒に見るでしょうし、質問や会話になればしめたものです。まずは「触れる」ことがとても大事です。

親子の会話が学びの糸口に

 覚えるのが苦手という子どもには、親子の会話が学びの入り口になることも。「親子の会話は、子どもに大きな影響を与えます」と四谷大塚の先生は話します。

「『お母さんがニュースを見て〇〇と言ってた』『お父さんが〇〇と話していた』など、保護者の方が想像する以上に、親子の会話は子どもの記憶に残るものです。地理も歴史も時事問題も、身のまわりのことを題材にして親子でコミュニケーションをとりながら、子どもの社会への関心を高めてみてください。クイズを出し合うなど、楽しくアウトプットしながら知識を磨くのもおすすめですよ」

 まもなく入試本番を迎える子どもにも、これから社会の学習をスタートする子どもにも。四谷大塚の先生が教えてくれたコツを参考に、楽しく学びを深めていきましょう!

取材・文:三東社

<プロフィール>

四谷大塚出版
独立自尊の社会・世界に貢献する人財を育成するという教育理念のもと、首都圏の30を超える直営校舎において熱誠指導を行っている中学受験指導のパイオニア。 1954年の創業以降、難関私立中・国立中学へ多くの合格者を輩出している。 オリジナル教材『予習シリーズ』は、受験生から絶大な信頼を集める「中学受験のバイブル」。 年2回主催する「全国統一小学生テスト」は、累計400万人以上が参加する全国規模の模試となっている(2025年9月30日時点)。


 

『四谷大塚の やさしくスタート中学入試 歴史年表まとめノート』の書誌情報を見る

『四谷大塚の やさしくスタート中学入試 白地図まとめノート』の書誌情報を見る


この記事をシェアする

特集

ページトップへ戻る