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【レビュー】我が子のかわいいところはどこ? 自己肯定感をはぐくむ絵本

 お子さんのかわいいところ、どこですか? うちの息子は、笑うと両頬に出るえくぼ、まだまだ小さな手、ぷりっとしたおしり。毎日見ていても見飽きないかわいさです。『どこどこかわいい』は、そんな“我が子のかわいいところ”に改めて注目したくなる絵本。作者は、『ねむねむごろん』でMOE絵本屋さん大賞パパママ賞第3位を受賞した、たなかしんさんです。

 表紙には、赤ちゃん、ねこさん、うさぎさん、りすさん。そして赤ちゃんの頭の上には、ひよこさんがちょこんと座っています。みんなそれぞれ、目をつむったり、目を手で隠したり、耳や口元を隠したりしているのですが、そのわけは絵本を読めばわかります。




 最初に登場するのは、一番小さなひよこさんです。「ねえねえ ひよこさん どこどこ かわいい?」。ページをめくると「あんよが とっても かわいいね」。座っていたひよこさんがにっこり笑顔ですっくと立ち上がります。さらにページをめくると、「よちよち あるくの じょうずだね」。続いてりすさん、うさぎさん、ねこさんの順に、「どこどこ かわいい?」「〇〇がとってもかわいいね」「〇〇がじょうずだね」が繰り返されます。そう、この絵本は、登場する動物や赤ちゃんの“かわいいところ”と“上手なこと”を見つけていく絵本なのです。表紙ではそれぞれの“かわいいところ”をあえて隠していたんですね。

 最後はいよいよ赤ちゃんの出番です。座って目をつむっている赤ちゃん、かわいいところはどこ? 上手なことは何? 赤ちゃんのかわいいところなら、いくらでも思いつきますよね。特に我が子なら、顔も肩も腕も足も、もう至るところがかわいくてたまらないと感じるのではないでしょうか。でも、上手なことと言われると……絵本に登場する赤ちゃんは、やっとお座りができたくらいの月齢で、そもそも“できること”がまだ多くありません。そんな赤ちゃんが一番上手なことって……?



『どこどこかわいい』を初めて読んだとき、私はこの“赤ちゃんの上手なこと”にとても共感したのです。ネタバレになってしまいますが、あえて紹介しましょう。赤ちゃんは「えーん えーん なくの じょうずだね」とあり、顔を真っ赤にしてギャン泣きしている赤ちゃんが描かれているのです。赤ちゃんのそばには、それまでのページで登場したひよこさん、りすさん、うさぎさん、ねこさんもいて、泣いている赤ちゃんを懸命にあやしています。



 作者のたなかしんさんには、二人のお子さんがいらっしゃるそうです。たなかさんもきっと子育てをする中で、赤ちゃんが一日に何度も泣く様子をこれでもかというほど見てこられたのでしょう。そんなご自身の経験から、この場面を描かれたのかもしれません。赤ちゃんは本当によく泣きます。おなかが空いたとき、オムツが不快なとき、眠いとき、だっこしてほしいとき、暑いとき、寒いとき、退屈なとき。子育てをしていると、赤ちゃんがなかなか泣き止まなくて、へとへとになってしまうこともありますよね。でも考えてみれば、まだ話すことのできない赤ちゃんにとって、泣くことは自分の気持ちを伝えること。赤ちゃんならではのコミュニケーション方法なのです。

 ラストには、赤ちゃんの満面の笑顔。こんなににっこり笑ってくれたら、子育ての疲れも吹き飛びそうですね。読み聞かせのときはぜひ、お子さんのかわいいところ、上手なことも見つけて、語りかけてあげましょう。「かわいいね」「じょうずだね」と声に出して伝えると、我が子のかわいさ、愛おしさを改めて実感できると思います。赤ちゃんにとっては、かわいい動物たちや自分に似た赤ちゃんが出てくる楽しい絵本。ママやパパに「かわいいね」「じょうずだね」と語りかけてもらうことで、赤ちゃんの自己肯定感もはぐくまれていくはずです。「かわいいね」「じょうずだね」をキーワードに、親子の幸せな時間を過ごしてくださいね。

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作・絵:たなかしん

定価
本体1000円(税別)
発売日
サイズ
その他
ISBN
9784041098608

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