2023年7月1日(土)~2023年8月31日(木)にわたって行われた、第12回角川つばさ文庫小説賞。応募総数は〈一般部門〉341作品、〈こども部門〉405作品と、たくさんの作品が寄せられました。本当にありがとうございました!
この度、受賞作が決定し、3月24日(日)ところざわサクラタウンにて、第12回角川つばさ文庫小説賞の贈賞式が行われました。
対面での開催は、じつに約4年ぶり!
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〈一般部門〉では、2作品が《金賞》を受賞しました。
1作品目は、橘花やよいさんの『かわいいもの同盟!』。かわいいものが大好きな主人公の少女はある日、学校で人気のクール男子が「かわいいもの好き」というヒミツを知ることになります。男でかわいいものが好きなのはヘンなの? 子どもたちの等身大の悩みに寄り添うストーリーです。
2作品目は無月蒼さんの『アオハルチャレンジ!』。SNS上で出されるお題に対し、青春っぽい写真や動画を上げる「#アオハルチャレンジ」にハマる女の子が、同じ部活の男の子といっしょに、お題をクリアしていくストーリーです。
選考委員を務める宗田理さん、藤ダリオさん、本上まなみさんからは、それぞれ選評が寄せられました。その一部をみなさんに紹介します。
◆宗田理さん
『かわいいもの同盟!』は、ほのかな恋愛感情や友達関係が変化していく様子など、主人公、色葉の心の成長がよく描けていた。3人の絡ませ方をもうひと工夫して、物語に奥行きをもたせることができたら、もっとよくなったと思う。
『アオハルチャレンジ!』は、アイディアを評価したい。SNSと現実世界の書き分け、SNSを使って仲間を集めて事件を解決するなど、現代風にうまくまとまっていた。
女の子の心理を丁寧に描写した小説も良いのだが、そればかりでは、角川つばさ文庫の読者層は広がらない。女の子だけでなく、普段少年マンガを読んでいるような男の子を振り向かせるくらいの、ハラハラドキドキするスケールの大きな応募作を待っている。
◆藤ダリオさん
『かわいいもの同盟!』は、モチーフとテーマは抜群にいいです。小学5年生になり、周りはかわいいものから、大人っぽいものが好きになっていく。その中で、主人公は周りに流されずに、かわいいものが好きだという気持ちを変えない。自分らしさを失わないというテーマは、大人にも通じるものです。
『アオハルチャレンジ!』は、SNSという現代的なモチーフが最高にいいです。登場人物も良くできています。主人公が恋をする安達くんは、ミステリアスで魅力的です。きらりと光るものがあり、大化けする可能性を秘めていると思います。
◆本上まなみさん
『かわいいもの同盟!』は、主人公の素直さ・明るさに心奪われました。「好きなものは好き」と言い切れるって清々しいです。その彼女が、好きなものを好きって言わない、言えないでいる友だちに出会って、そのわけを知っていく過程が丁寧に描けていました。
『アオハルチャレンジ!』は、読者世代に最も興味のあるテーマのひとつだと感じました。物語自体がSNSと適切に関わっていくことのお手本となるような展開で、日常の楽しみ、ちょっとした幸せをシェアし合うという本来の目的に即しているのも良かったです。
今年度は生活の日常の延長線上にある物語が多い印象でした。「こんな世界見たことない!」とのめり込まされてしまう、創造力+想像力みなぎる作品も引き続きお待ちしています。
受賞された橘花さん、無月さんのお二人には、選考委員の本上さんから賞状と目録が贈られました!
お二人の作品は、角川つばさ文庫から刊行される予定です。
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〈こども部門〉では、受賞者・入賞者の19名の方が、ご家族と一緒に参加されました。
みなさんお一人ずつ壇に上って、選考委員の藤ダリオさん、つばさ文庫の編集長から、直接賞状を受けとっていただきました。
編集長は、「集まった作品はどれも個性にあふれており、自由で枠にとらわれない、小説の可能性と未来を感じました」と総評を述べました。
さらに、選考委員の宗田 理先生からは、「大人も子どもも、男の子も女の子も、アッと驚く作品を期待しています。おめでとう」と、ビデオメッセージをいただきました。
最後に選考委員の藤 ダリオ先生から「今日受賞したみなさん、これからもたくさん物語を書いて、ぜひ大人になったときにつばさ文庫でも書いてほしい」というコメントと共に、締めのごあいさつをいただきました。
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こども部門のグランプリ、準グランプリ、そして特別賞受賞の計7作品をまとめた小冊子『みらいのつばさ』が、今年も受賞者への記念品として配られました。
2024年の夏休みには、第13回角川つばさ文庫小説賞が行われます。
次の受賞者は、あなたかもしれません。
熱意のこもった原稿を、心よりお待ちしています!
受賞作の詳しい選評は角川つばさ文庫HP内、小説賞ページにて公開中です。
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