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保護者の皆さんは、子どもの成長とともに、実にさまざまな病気やケガがあることを実感しているのではないでしょうか。特に自分で症状が伝えられない小さなお子さんは、急に症状が現れたり、症状が長引いたりしたとき心配ですね。この連載では子どもの病気・ケガとホームケアについて、現役小児科医として多くの症例を見ている塚田こども医院院長の塚田次郎先生にわかりやすく教えてもらいます。
第2回の今月は、「熱性けいれん」についてお伝えします。初めて子どもの「けいれん」を目の当たりにすると、保護者はびっくりしてあわててしまうもの。「熱性けいれん」の対処について正しく知って、いざというときに備えておくことをおすすめします。
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Trouble
【熱性けいれん】
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幼児期にはめずらしくない「熱性けいれん」
「けいれん」とは、自分の意思とは無関係に全身や体の一部の筋肉が収縮する状態をいいます。「ひきつけ」ということもあります。その中でも、子どもが高熱を出したときに起きるものを「熱性けいれん」と呼んでいます。ほとんどは全身性のけいれんですが、嘔吐を伴うこともあります。また、意識を失うだけのけいれんもあります。
★主な症状としては
●急に手足を硬直させて突っ張る(強直性けいれん)
●手足をぴくぴくさせる(間代性けいれん)
●白目をむく、目を見開いて焦点が合わない
●全身や唇の色が悪くなる(チアノーゼ)
●嘔吐する
などがあります。
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多くはこういった状態が1〜2分続き、長くても5分以内程度で自然におさまることがほとんどです。いきなり激しい症状になるため、驚いてしまう保護者が多いのですが、まずは幼児期のおよそ10人に1人くらいが経験するといわれる、めずらしくはない病気であると認識しておいてください。
その上で、けいれんにはまれに熱性けいれん以外の、急性脳症や髄膜炎といった怖い病気が原因の場合があることも併せて覚えておいてください。
熱性けいれんを起こしたときの対処
けいれんを起こしたのが初めての場合、一刻を争う病気との区別がつきにくいかと思います。5分を超えてけいれんがおさまらない、嘔吐を繰り返す、けいれんの様子が体の左右で異なるなどの場合には、すぐにかかりつけ医または救急外来などの医療機関に連絡をとって受診、または救急車を手配してください。けいれんが30分以上続いたり、短いけいれんが連続して起こり、その間に意識が戻らなかったりする場合は「熱性けいれん重積状態」という即治療が必要な危険な状態ですので、迷わず救急車を呼んでください。
上記をふまえた上で、けいれんを起こしたときの対処をご紹介します。
1.あわてない
まずは保護者がパニックにならないようにします。とても長く感じるかもしれませんが、ほとんどの熱性けいれんは5分以内におさまってくるはずです。
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2.してはいけないこと
そのままにしておくと舌をかまないかと心配する保護者が多いのですが、舌をかむことはありませんので、口の中に指や箸などを入れるのはやめましょう。大声で呼んだり、体をゆすったりするのも禁物です。
3.楽な姿勢に
平らな場所に横向きに寝かせ、衣服をゆるめます。ピンなどの危ないものは取り外してください。
4.窒息防止策を
もし嘔吐しても戻したものがのどにつまらないように、体ごと横向きにして寝かせます。
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5.様子をよく見る
時計を見て、けいれんが起きてから何分くらい続いているかを確かめてください。5分以上続いたらすぐにかかりつけ医もしくは救急外来に連絡をとりましょう。5分以内なら、症状が落ちつきしだい医療機関を受診しましょう。けいれんの様子をよく見て、受診したときに医師に伝えてください。
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一度熱性けいれんを起こすと何度も繰り返す?? 予防は?
一度熱性けいれんを起こした子どもの約3分の1は再び熱性けいれんを起こします。また1歳未満で発症した場合や家族に発症経験のある人がいると、再発の可能性は高くなります。
5分以内に自然におさまる熱性けいれんであれば、基本的にあまり心配はいりませんが、症状がおさまったら医療機関を受診してください。その後も熱性けいれんを起こすようなら、熱に気づいたときに早めに使えば予防ができる、比較的効果の高い座薬があります。医師が予防の必要があると診断した場合は薬が処方されますので、不安なときはかかりつけ医に相談してみましょう。
気をつけておきたい薬
一部の抗ヒスタミン剤(鼻水や皮膚のかゆみを抑えるために使う薬)は、発熱したときに使用すると、より熱性けいれんを起こしやすいことがわかっています。
お子さんがアレルギー性鼻炎や花粉症などを発症して抗ヒスタミン剤を服用している場合は、医師に相談してみてください。近年開発されている薬は問題なく使用できるものが多くなりましたが、わからないときは医師に確認するといいでしょう。
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【塚田先生プロフィール】
塚田次郎(塚田こども医院 院長)
1981年自治医科大学卒業、同年医師国家試験合格。新潟市民病院にて臨床研修、新潟県立坂町病院小児科勤務を経て、1990年新潟県上越市栄町にて塚田こども医院を開設。日本小児科学会認定医。