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子育て・教育

オノマトペ絵本の読み聞かせが子どもの発達によい理由とは?


 スポンジのような吸収力でグングンと言葉を覚えていく幼児期。「もっと子どもの言語力を伸ばしたい」と考えているママパパにおすすめなのが『まいごのたまご』(作:アレックス・ラティマー作、訳:聞かせ屋。けいたろう/KADOKAWA)です。
この絵本は2018年に刊行されて以来、優しいタッチで描かれた恐竜の絵や、オノマトペを使ったリズム感のある文章が子どもたちに喜ばれています。
興味深いのは、子どもの発達の専門家である今井むつみ先生が、書籍『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(中公新書)の中で、「オノマトペの表現が子どもの発達によい」と、この本を紹介していること。
今回は、今井先生に、オノマトペ絵本が子どもの発達にあたえる影響や、おすすめのオノマトペ絵本を聞きました。


取材・文/吉田あき

オノマトペとは……音や声(擬音語)、物事の状態や動き(擬態語)などを音で表したことば。


①オノマトペは子どもを本に引きつけます

――『まいごのたまご』は、「この本読んで!と毎日持ってくる」「とても集中して聞いてくれる」と子どもたちに大ウケの絵本。オノマトペをたくさん使った絵本を読むと、子どもたちが釘づけに!

「子どもはオノマトペの音やリズムが好きです。語彙(ごい)が少ない子どもでも、オノマトペが書かれている文脈や音をヒントに、ことばの意味を想像しやすく、本に描かれている場面の情景が生き生きと目に浮かびます。それで子どもは絵本を好きになるんです。」(今井先生)



②オノマトペ絵本が子どもの「思考力」を育てる

――『まいごのたまご』を繰り返し読んだ子どもは、卵がころがる時の「ころころ」という動作の音や、ステゴサウルスが自分の背中についたプレートを説明するときの「ツンツン」という名詞を、真似して口に出すようになります。

「『ツンツン』ってもともとはモノの状態を表す形容詞ですよね。それを、絵本の中では物の名前のように名詞として使っています。このようなオノマトペを投げかけることで、「ツンツン」という言葉は形容詞でも、名詞でもどちらでも使えるよ、こういう広い使い方をすることができるよ、ということを子どもに教えることができますね。こういう、言葉の広い使い方を、絵本の読み聞かせから自然に学ぶことで、絵本っておもしろいな、と思うようになりますし、絵本から本の楽しさを学びます。オノマトペが思考力を育てる基礎になるんです」(今井先生)



③「読み聞かせ」だからこそ、子どもの語彙が増える

――『まいごのたまご』は、<聞かせ屋。けいたろう>さんによるリズム感のある文章が大きな魅力です。言葉を話すようになった子どもに読み聞かせをすると、「『ドコドコ』のページをもう一回読んで」というリクエストや、「恐竜にはみんなギザギザの歯があるの?」といった質問が飛んでくることもあるでしょう。

「2歳の子どもに、自動でページが進むデジタル絵本を読み聞かせた時と、大人の膝に乗せて紙の絵本を読み聞かせた時と、どちらが新しい言葉を覚えるのか調べた研究があります。結果は、デジタルだと興味は持つけど言葉を覚えられない。ところが、じかに読み聞かせをすると新しい言葉を覚えていました。大人が子どもの表情を見ながら、分からなそうな表情をしたら別の言葉に言い換えたり、繰り返したりしてあげる。そこに幼児教育のエッセンスがあるのではないでしょうか。読み聞かせだからこそ、子どもの語彙が増えるのです」(今井先生)



④オノマトペを「絵本」で聞かせることが大事

――言葉を覚えさせるなら、絵本ではなく「動画」でもいいじゃないか、と思われるかもしれません。しかし、言語習得を促すなら、動画より絵本のほうが優れているのだと、今井先生は語ります。

「子どもは動画を喜んで見ますが、それは面白い音がするとか、激しく動くとか、そういうところが目立つから。要素が多すぎて、ストーリーを楽しむところまでは難しい。だから、選ばれた言葉で、エッセンスだけが書かれた絵本はとてもいいのです。意味を伝える言葉とはどういうものなのかを体感できます。幼い頃に絵本を読んでもらった体験が、言語を創造的に使うことや思考力を育てることにつながり、自分で本を読む時にも生かされます。ぜひ、オノマトペをたくさん使った絵本を子どもに読んであげてください」(今井先生)

今井むつみ
慶應義塾大学名誉教授、今井むつみ教育研究所代表理事。
1989年、 慶應義塾大学大学院博士課程単位取得退学。1994年、ノースウェスタン大学心理学部Ph.D.取得。専門は認知科学、言語心理学、発達心理学。子どもの言葉の発達や教育に関する著書や研究に定評がある。

 

「まいごのたまご」シリーズ

『まいごのたまご』


作:アレックス・ラティマー、訳:聞かせ屋。けいたろう(KADOKAWA)


「本格的に言葉を学んでいく年齢の子どもが読める絵本。まだ語彙が少ない中で言葉の意味を考えることは、語彙を増やすだけではなく、思考力を育てるのにとても大事なことです。その取っ掛かりとして、オノマトペが上手に使われています」(今井先生)

風に吹かれて巣からころがり落ちた、まいごの卵が、お母さんをさがしています。
あたりにいた恐竜たちも心配して、たまごの親さがしに協力します。
やがて、夕方になったとき、奇跡がおこり、たまごの親がだれなのかがわかりました!ティラノサウルス、トリケラトプス、ブラキオサウルス、プテラノドン……。
子どもが大好きな恐竜たちが、勢ぞろい!
それぞれの恐竜の特徴も紹介されており、はじめの恐竜絵本としても、おすすめ!





作: アレックス・ラティマー 訳: 聞かせ屋。けいたろう

定価
1,760円(本体1,600円+税)
発売日
サイズ
その他
ISBN
9784041065631

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『きょうりゅうかくれんぼ』


作:アレックス・ラティマー、訳:聞かせ屋。けいたろう(KADOKAWA)


人気恐竜のティラノサウルス、ブラキオサウルス、トリケラトプスなど様々な恐竜たちがかくれんぼ。 
海や森、空など、さまざまな場所に隠れた恐竜たちを一緒にさがしてみよう!
”親子で楽しめる参加型絵本”に、「子どもが競って探しています」「毎晩”きょうりゅう よむ!”と絵本を持ってきます」「何度でも楽しめてコスパが最高!」と読者からも大好評!





作: アレックス・ラティマー 訳: 聞かせ屋。けいたろう

定価
1,760円(本体1,600円+税)
発売日
サイズ
その他
ISBN
9784041125694

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『きょうりゅう たんけんたい』


作:アレックス・ラティマー、訳:聞かせ屋。けいたろう(KADOKAWA)


カラフルな恐竜たちが、あかちゃんの誕生をいわうプレゼントをさがしに行くよ! きみもいっしょにさがしに行こう! 
リズミカルな文章が気持ちよく、聞いているうちに子どもたちも一緒に声がでる。 読み聞かせで盛り上がる1冊!
カラフルな恐竜たちも大人気。
大ヒット絵本『きょうりゅうかくれんぼ』コンビが作ったお誕生絵本。
保育園や幼稚園のお誕生日会、大人数が参加する絵本の読み聞かせ会でも大活躍!





絵: アレックス・ラティマー 文: 聞かせ屋。けいたろう

定価
1,540円(本体1,400円+税)
発売日
サイズ
その他
ISBN
9784041150641

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