--紙皿パレット、手作りイーゼル、手作りデスク-- たなかしんさんのアイデア溢れる創作アイテム
ざらざらとした海の砂の上に、やさしい物語を描く――独特な技法で絵を描く、画家・絵本作家のたなかしんさん。前編では、「砂の上に絵を描く」というのがどういうことなのかをご紹介しました。後半では、絵を描く上でしんさんがこだわっているモノをのぞいてみます。
▶▶<前編>はこちらから
① アトリエ
しんさんのアトリエは、築80年以上の平屋。自宅からも海からもほど近い、絶妙なロケーションにある古民家を見つけ、お風呂以外は友人に手伝ってもらって自分でリフォームしました。アトリエ内には、アンティークの調度品や手作り家具などこだわりのモノが並び、一歩足を踏み入れるだけで、しんさんの作品世界に入り込んだかのような雰囲気を醸し出しています。
② デスク
しんさんが構想を練ったり絵を描いたりするのに欠かせないデスク。大きなデスクの方が作業がしやすいため、アトリエのリフォーム時に余った木材を使って、自分で1.8mのデスクを作ったそう。使い込まれて、いい色になっています。
③ イーゼル(キャンバス立て)
こちらもリフォーム材を使った手作り。木材を2枚、組み合わせただけだけど、小さなキャンバスから中くらいのキャンバスまでマルチに対応できるんだとか。
④ 絵の具
絵を描くときは、アクリル絵の具かデジタルで。絵の具の場合は、「チタニウム ホワイト」「カドミウム レッド ミディアム」「プルシャン ブルー ヒュー」「カドミウム イエロー ミディアム」の4色を組み合わせて色を調合しています。「たまにほかの色を合わせることはあっても、この4色さえあれば、しんさんの手にかかればどんな色でも作ることができるんです。」と語ります。
⑤ 筆
しんさんのキャンバス絵には砂が貼り付けてあるため、まるでヤスリのようなザラザラした状態。そのため、筆の消耗が早いのだそう。だからこそ、手頃で使いやすいものをたくさん用意して使っています。
⑥ パレット
しんさんのパレットは、なんと紙皿! 数年前のイベント用に買った10枚入り100円の紙皿を使っています。
元々は油彩画用の木のパレットを使っていましたが、肩が凝るので軽い紙皿に落ち着いたんだとか。紙皿に絵の具が残らないように可能な限り絵の具も使い切りますが、洗うことがないので絵の具が何層も重なっています。
⑦ 砂
明石の海で採取した、こだわりの砂。海の砂にたどり着くまでに、「おもしろい下地はないかな?」と、さまざまなものを試したけれど、きれいすぎたり、逆に美しくなかったり、しっくりこなかったそう。「海の砂はどうだろう?」と試したところ、しんさんの世界観にぴったり! それ以来、キャンバスに砂を貼り付ける方法を確立したそうです。
おまけ
たなかしんさんのアトリエで、気になるドアがありました。とても細く低いドア。長身なしんさんは、作業部屋に入るためにはこのドアをくぐるように通ります。なぜ、このようなドアを作ったのでしょう? しんさんに尋ねると、こんな答えが返ってきました。
「アトリエをリフォームするときに、自分で作ったんです。このドアを入るとき、出るとき、いつも頭を下げることになります。いつまで経っても頭が高くならないように。感謝を忘れないように。という自戒の念をこめているんです。大きな作品は、めちゃくちゃ運びづらいんですけどね・笑」
たなかしんさんのアトリエに並ぶお気に入りのモノたちは、どれもシンプルで実用的。そして、ひとつひとつに大切なストーリーが秘められていました。その温もりある道具や家具は、まるでしんさんの丁寧で温かな人柄そのものを映し出しているかのようです。
【書籍情報】
▶▶ なぜ海の砂に絵を? 画家・絵本作家たなかしんさんが織りなす 「砂アート」の秘密
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