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【専門家がアンサー!】自宅保育って? 3歳未満児は保育園に行く・行かない、どっちがいい?


お茶の水女子大学特任教授で、幼稚園教諭やこども園の園長なども務めてきた宮里暁美先生。3才未満の子どものママやパパが悩みがちな保育園に行く・行かない問題について、話をうかがいました。


3歳以下で保育園に行っている子・行っていない子の割合

 



出典:内閣官房こども家庭庁設立準備室「こども・子育ての現状と若者・子育て当事者の声・意識」より(内閣官房ホームページ

令和5年1月19日に内閣官房長こども家庭庁設立準備室から出された「こども・子育ての現状と若者・子育て当事者の声・意識」の資料によると、0歳児は約84%、1歳児は約55%、2歳児は約49%が保育園やこども園などに通っていません。通っていない子について、「自宅保育」という言葉が使われることがあるのですが、それはどのような意味なのでしょうか?
幼児保育に携わる宮里先生にお話を聞きました。



育休中やどこかのタイミングで復職したいと考えている人、今は専業主婦(主夫)をしているという人など、保育園やこども園などに子どもを預けていないご家庭が、自宅を幼稚園や保育園のようにすることを『自宅保育』と呼んでいるとしたら、誤解が生じるかもしれません。
子どもにとって一番必要なのは、安心できる場所があることであり、その中心は家庭です。そこにはママやパパの存在がとても大きく、大好きなおもちゃがあったり、お絵描きを楽しめる場所があったり。それは保育園に行っている・行っていないに関係なく、子どもにとって絶対に必要なものです。
そのため、自宅を保育園化してしまうと、子どもにとって一番必要である家庭という要素が薄くなってしまうかもしれません。保育園に行く・行かないは選択することができますが、子どもが安心できる家庭という場所は絶対に必要。なので、無理に自宅を保育園化しようと考えなくてもよいと私は思います。

0歳児、1~3歳児の保育に必要なこと

全国の保育園での保育の基礎となる【保育所保育指針】には、次のような記述があります。



<0歳児>

乳児期の発達については、視覚、聴覚などの感覚や、座る、はう、歩くなどの運動機能が著しく発達し、特定の大人との応答的な関わりを通じて、情緒的な絆(きずな)が形成されるといった特徴がある。

これらの発達の特徴を踏まえて、乳児保育は、愛情豊かに、応答的に行われることが特に必要である。


出典:「保育所保育指針」より(厚生労働省

 



<1~3歳児>

この時期においては、歩き始めから、歩く、走る、跳ぶなどへと、基本的な運動機能が次第に発達し、排泄の自立のための身体的機能も整うようになる。つまむ、めくるなどの指先の機能も発達し、食事、衣類の着脱なども、保育士等の援助の下で自分で行うようになる。発声も明瞭になり、語彙も増加し、自分の意思や欲求を言葉で表出できるようになる。

このように自分でできることが増えてくる時期であることから、保育士等は、子どもの生活の安定を図りながら、自分でしようとする気持ちを尊重し、温かく見守るとともに、愛情豊かに、応答的に関わることが必要である。


出典:「保育所保育指針」より(厚生労働省

保育園ではこのようなことを意識しながら子どもに接していきますが、これは家庭でしなくてはいけないことではありません。
家庭はあくまでも暮らしの場所なので、保育園のような保育をする必要はないのですが、乳幼児期に経験させたいことのひとつに、『いろいろな人に出会う』ということがあります。それは、保育園に通っていなくても、ご近所さん、スーパーのレジの方、交番にいるおまわりさん、児童館や公園で会った親子など、どんな人でも構いません。年齢や天候によっては無理をしなくていいですが、1日1回は外に出ることで、いろいろな出会いを体験できると思います。

幼稚園の入園が3歳からなのには意味がある

 



幼稚園の入園(年少さん)は3歳ですよね。子どもが人のことを理解して一緒に何かをできるようになるのは3歳と言われています。1、2歳でも一緒に遊んでいるように見えることもありますが、実際は1人1人のカリキュラムが本筋にあって、それを一緒にやっている状態なのです。
3歳まではひたすら“個”を育てる時期なので、子どもが安心できる家庭という場があれば、成長に問題はありません。

【3歳までに家庭でやってあげたいこと】

・子どもの思いを受け止める

・たくさん話しかける

・いろんな人に出会える場所に行く



このようなことを意識しながら育児をしたいけど、毎日・毎時間、子どもと一緒にいると、イライラしたり、つらいと感じたりしますよね。それが普通です。だからそんな時は、一時保育を利用したり、ジイジバアバを頼ったり、助けてもらいながら適度に気分転換することが大切!
親が子どもの前からいなくなることで、子どもの様子が好転することも大いにあります。我慢しながら一緒にいるのは、お互いのためによくないこと。家事や育児の役割分担をパートナーと話し合ったり、自分がリラックスできる方法を考えたり、『自分でなんとかしなきゃ!』と力み過ぎないで育児をしていきたいですね。

次回は、実際に自宅保育が始まったら、何をすれば良いのか?
0~3歳の自宅保育がうまくいくコツ」を宮里先生と先輩ママにお伺いします。

監修:宮里 暁美(みやさと あけみ)
お茶の水女子大学特任教授
お茶の水女子大学こども園園長として園運営に携わり、「つながる保育」を主軸に置いた教育・保育活動を展開。保育の現場や保育者の養成に30年以上にわたり従事。


画像提供:pixta


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