太陽はじりじり照りつけ、ムワッとした熱い空気に包まれる夏。こんな暑い時には、おやつにひ~んやりしておいしい“アイス”を食べることも多いと思います。
夏のお出かけの後にセブンイレブンやローソンなどのコンビニやスーパーで「新作」「おすすめ」の商品を見つけると、ついついかごに入れてしまいますし、お風呂上りのアイスもたまりませんよね。夏はプールに通うお子さんも多いと思いますが、水の中でも汗をかくので水分が足りなくなることも。そんなプール帰りにシャーベット系のアイスを食べると体にしみこむ感覚が最高です。
そんな「アイス大好き!」のみなさんへ、今回は「アイス」をテーマにした絵本をご紹介します。読んでひんやり、そして「今度はどんなアイスを食べようかなぁ」と想像してにんまりしてしまう楽しい絵本たちです!
アイスクリームおうこく
3~6歳
「アイスクリームおうこく」
作/ナカオマサトシ 絵/イヌイマサノリ
ポプラ社 1,430円
ある王国にアイスクリームが大好きな王様がいました。王様が朝、「めざめの アイスを もってきておくれ!」と言うと、工夫を凝らした“おめざめすっきりシャキーンアイス”が出てくるなど毎日アイスを食べています。特製のアイスを作ってもらっても「もっとおいしいアイスが食べたい」という王様は、そのためにアイスクリームコンテストを開きます。参加者たちの豪華なこだわりアイスを味わった王様にみんな、「やっと王様に喜んでもらえた」と胸をなでおろしましたが、なぜか王様は「なにかが たりんのじゃ……」と泣きながら倒れてしまいました。さあ、王様は世界一おいしいアイスに出会うことができるのでしょうか?
アイスクリームが大好きな王様を喜ばせるために、城のみんなはいつも準備で大忙し。ですが、出てくるアイスは電気うなぎのエキスを入れた、ピカピカパチパチしびれるアイスや、フルーツのおいしさを本物の宝石の形で仕上げたアイスなど、なかなか奇をてらったものばかり。数々の豪勢でふしぎなアイスを毎日食べている王様が最後に「おいしい」と感じるアイスはどんなものなのでしょうか?
絵本に出てくるアイスを眺めながら「私だったら一番は〇〇アイスかな?」など、ぜひ想像しながら楽しんで読んでみてください。
シロクマくつや すてきななつやすみ
4歳~
「シロクマくつや すてきななつやすみ」
作・絵/おおでゆかこ
偕成社 1,430円
夏休み、シロクマくつやさんは一家で海に出かけます。ペンギンのジャミーさん夫婦が作る“ジャミー・アイス”が食べられるので3兄弟は大はしゃぎ。おいしいアイスを、彼らが住む、くすくす森のみんなにも食べさせたいなあと思いますが、森のお客さんはあまり海には来ないそう。「泳げないから海に来ないのかな?」と思ったジャミーさん夫婦はシロクマくつやさんに「泳げない人も海を楽しめる靴」をお願いします。それは、氷のどうくつで開くパーティーに森のお客さんも来てもらいたかったからです。そしてパーティーの日、森の動物たちが海へ向かうとシロクマのお父さんが考えた“すいすいぐつ”が! 海の上をすーいすいと渡ると氷のどうくつへ。さあ、アイスクリームパーティーの始まりです!
暑い海辺で冷たいアイスを食べるのは格別ですよね。そして、おいしいものはみんなで食べるともっとおいしい! ということで、海になじみのない森の動物たちもジャミー・アイスを食べられるよう、シロクマくつやさんは知恵を絞ります。おかげで、海を越えて氷のどうくつのパーティーに森の動物たちが参加することができました。
パーティーのための特別アイス“おおうなばらのミントアイス”、“シロクマくつやのガトーショコラ”などのすてきなアイスの絵にうっとりしたり、アイスを味わいながらみんなで過ごす夏の夜のシーンもとても幻想的。楽しい夏の思い出にアイスクリームは不可欠! と感じられる楽しい夏の絵本です。
ぎょうれつのできるアイスクリームかきごおりやさん
3,4歳~
「ぎょうれつのできるアイスクリームかきごおりやさん」
作/ふくざわゆみこ
教育画劇 1,540円
ぐうぐう山のテンさんに、北極のシロクマさんからは「アイスクリームを作りに遊びにいきます」、南極のペンギンさんからは「かき氷を作りにおじゃまします」というお手紙が同時に二枚届きました。テンさんやぐうぐう山のみんなは遠くからくる二人のためにおいしいものをいっぱい集めました。ですが、シロクマさんとペンギンさんは、「アイスの方がおいしい」「かき氷の方がおいしい」と張り合って、作ったアイスとかき氷をどっちがおいしいかテンさんに決めさせようとします。怒ったテンさんは家にこもり、みんなはアイスとかき氷が溶けそうになったので食べ始めてしまいました。するとみんな、かき氷とアイスを一緒に食べると、とってもおいしい! ということに気づき……。
アイスとかき氷、どちらも夏のひんやりスイーツとして大人気です。シロクマさんもペンギンさんも自分の作るものに絶対の自信を持っていて、たしかにアイスもかき氷もとってもおいしそう。テンさんでなくても決められないですよね。
どっちもおいしいからこそ、一緒に食べるともっとおいしいことに気づいた二人は、おいしいもの作りにプライドを持つ似た者同士だからこそ意気投合しておいしい“アイスクリームかき氷”を作るようになりました。
シロクマさんが、ぐうぐう山の果物をいかして作ったアイスクリームは種類でいうと「ジェラート」にも分類されますが、濃厚なめらかなアイスにさっぱりかき氷を合わせるなんてたまらないな~と夢が広がるおいしそうな絵本です。
じごくにアイス
4,5歳~
「じごくにアイス」
作/ナカオマサトシ 絵/澤野秋文
ひさかたチャイルド 1,430円
おいしいと評判のアイス屋さんの店主・こたろうさんは、スッテーン! と転んで頭を打ってしまいました……。気が付くと見たこともない川岸にいたこたろうさん。鬼の船でえんま様のもとに運ばれ「しんだんかいな……」と気づきます。しかし、裁きの間に着くと、えんま様も鬼も大慌て。なんと釜茹で地獄の釜が爆発した大火事の真っ最中! 必死に火を消して鬼もこたろうさんもへとへと。「つめたいもんでも たべたいなぁ」と鬼が言うと、こたろうさんは「アイスっていう あつさを ふきとばす たべもの つくれるで」とつぶやきました。それを聞いた鬼たちは目を輝かせます。そして前代未聞、地獄でのアイス作りが始まったのです!
地獄のアイスは、材料からして一味ちがいます。マッドホルスタインのミルクにデラックスプテラノドンの卵を使い栄養てんこもり。鬼たちがアイスを手作りしている過程が本格的に描かれており、作っている最中からの鬼たちのウキウキワクワク感にも期待が高まります。
そしてできあがった“おにアイス”は地獄で大評判になり、えんま様のほっぺたも落ちてしまいそう。しかし、こたろうさんはこのまま地獄でアイスを作り続けてしまうのでしょうか? おいしいアイスを作れるからこその、こたろうさんの顛末はいかに!?
アイスのおいしさは鬼の心もえんま様の心もいやしてしまうという、ユーモア満点の絵本です。
ガリガリ君の工場〈アイスキャンディー〉
小学校低学年~高学年
「ガリガリ君の工場〈アイスキャンディー〉」
構成・文/高山リョウ 写真/添田康平
岩崎書店 2,640円
「大接近! 工場見学」シリーズ。みんなが大好きな棒アイス“ガリガリ君”、外側はシャリシャリのソーダアイス、中にはガリガリのソーダ味のかき氷。こうしたおいしいアイスはいったいどうやって作られているのでしょう? この本はガリガリ君を製造している工場に取材をし、製造過程を詳細に伝える写真絵本です。工場はオートメーション化され、「ミックス」と呼ばれる水・砂糖などを混ぜたアイスの素がパイプを通って殺菌され巨大タンクに入ります。タンク一つで10万本のガリガリ君ができるのだそう! ミックスがアイス型の外側に流し込まれ、中側にミックスとかき氷を混ぜたガリガリかき氷が流し込まれます。私たちがいつも食べているガリガリ君ができていく様に驚き、アイスのできていく過程も楽しめる絵本です。
あの大人気アイス“ガリガリ君”の製造の秘密に迫ったこの絵本。写真でガリガリ君の製造過程をつぶさに追うことで、食の安全性にとても気をつけながらも、口の中でサラサラと溶けておいしい食感となるよう工夫された仕組みが分かりやすく伝わります。
あのソーダ味の青色も天然色素から作られているそうですよ。
ガリガリ君製造の舞台・赤城乳業の本庄工場では一般の工場見学も応募できます。子どもたちにとって身近なアイスへの興味から、食品製造について考えるきっかけにつなげられる1冊です。
今回はアイスがテーマの絵本を紹介しました。
次回は、「給食」がテーマの絵本を紹介予定です。(9月公開予定)
お楽しみに。
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