みんなにナイショで、あたし、つくっちゃうよ。プロの舞台!
あたし、こころ。人と話すのは超ニガテだけど、セリフを妄想するのがトクイな中学1年生! でも……「妄想ノート」を学校でなくしちゃった!?
2026年6月10日発売の『かくしごとっ! あたしが天才作家の身がわりに!?』(深海ゆずは・作、tanakamtam・絵)を、先行ためし読みできちゃう!
大人気「こちらパーティー編集部っ!」「スイッチ!」「七色スターズ!」シリーズの深海ゆずはさんがおくる、元気とトキメキいっぱいの【お仕事×学園ラブコメ】はじまるよっ☆
『かくしごとっ! あたしが天才作家の身がわりに!?』
深海ゆずは・作 tanakamtam・絵
6月10日発売予定!
プロローグ
「…………」
だれか――っ! だれか、聞いてくださ――――いっ!(心の叫び)
あたし以外、みんな気がついていないけれど――。
うちのクラスの村田さんと佐野くんはつきあってる。
両片想い(お互い好きだけどつきあってない)のときは、ずっと一方通行だったお互いの視線が、一本線でつながったのを見たとき――!
「二人が両想いになったんだー♡」って、大コーフンしちゃって!
あたしは夢中になってノートにペンを走らせたんだ。
え? ノートに何を書いてるかって?
ううっ。どうか引かないでほしいんだけど、あたし三度の飯より妄想が大好物でして。(照)
告白シーンとかをいっぱい妄想して、ノートにせっせと書きためているんだ。
あ! 自己紹介がおくれました!
あたし――桃山(ももやま)こころ。中学校1年生の12歳!
人と話そうとすると、超キンチョーして、目の前がチカチカ。
声がうわずって、サイアクなときは気を失いかける。そんな超ビビりな女の子。
そんなわけで入学してしばらくたつのに、友だち0記録を更新し、一人で妄想をふくらませていたのでゴザイマス。
その3時間後に、ある男のせいで地獄に突きおとされるなんて――。
その時はまったく気づかなかったんだ。(涙)
1 あたしの「命」紛失中!
ガタッ。バタバタバタ。
マズイ、マズイ、どどどど、どうしたらいいのおおおおお―――っ!
だれもいない教室にはいつくばっていたあたしは「ウオオオ」と頭をかかえた。
ZE・TSU・BO・U!
打ちひしがれるあたしの耳に、ぴんぽんぱんぽーん♪ と、かろやかなメロディが届く。
「最終下校の時間になりました。教室や校庭に残っている生徒のみなさんは、すぐに帰宅してください。くりかえします――」
入学早々、『学園パーフェクト』の称号を得た超人気者・村雨(むらさめ)リオウの、本日最後の放送だ。
首席合格の超天才で、顔もヨシ、しかもお兄さんは今大人気の脚本家・村雨チハルってウワサもあるカンペキ王子。
放送が流れた瞬間、「キャー!」「リオウ様ああああああっ!」と黄色い歓声があがる。
手をとめて窓から校庭を見ると、「リオウ命」という文字の書かれたハチマキを巻いた生徒たちが一生けんめい、うちわをふりあげているのが見えた。
「……すごっ。村雨リオウ、あたしの人生でいちばん、縁がない人だわ」
そう思っていたのに――。
人生って、本っっ当に、わからない!
☆ ☆ ☆
「やばっ、学園パーフェクト様の放送が流れてたってことは、もう7時! と……とにかく、今日中にアレを見つけなきゃ!」
あ。今、血まなこになってさがしている「アレ」っていうのは――。
脳内の妄想をたれ流しまくった『妄想ノート』。
ありとあらゆることを、心のおもむくままに、書いて書いて書きまくったノート。
もしもアレが、だれかの目にふれてしまったら……。
ピッピッピッ、チーン。バキッ!(想像して心がこわれる音)
「ひいいいいぃ! 終わるっ。あたしの人生、終わっちゃう―――っ!!」
あたしは頭をかかえながら、ゴロゴロと床を転げまわった。
「この前も授業で失敗しちゃったのに。今月はツイてないのかも」
今日の午前中にあった「自己紹介スピーチ」を思いだし、両手で顔をおおった。
選択授業では各クラスの生徒がシャッフルされるから、自己紹介タイムがあったの。
だけどあたし、極度の人見知りな上に、あがり性なんだよね。
教壇に立ったら、頭がまっしろになっちゃって。
ズドーン! って、マンガみたいに盛大に倒れちゃってさ!
教室中がシーンとなって、沈黙が永遠に感じられて――。
JI・GO・KU!
地獄のような時間に突入しちゃったんだよおおおおっ!
起きあがるのもはずかしいし、このまま海のもくずになりたいって思ってたら……。
「大丈夫? ケガはない?」
って、イキナリお姫様だっこで助けてくれたのが、クラスメイトの桐生(きりゅう)マドカさん。
マドカさんのファンの子ににらまれたのもあって、きちんとお礼も言えず逃げてしまった。
お礼すら言えなかったポンコツが、あんなノートを書いていることがバレたら。
人見知り人生、即・ゲームオーバーでしょ!?
「ゴフッ。――人生、12年でつんだ」
バターン!
そのことを想像したあたしは、バタンと前のめりに床につっぷした。
ピー、ガガッ。
「――忘れ物のお知らせです。心あたりのある方は、放送室へ取りにきてください」
こわっ。今の放送なに!? ボイスチェンジャーで声が加工されてる!
忘れ物が見つかったのはうらやましいけど、あんなあやしげな放送で呼びだされて、かわいそうだな。
そんなことを思いながら、あたしはその場で、放送に耳をすました。
「『こんなところにこいって、どういうつもりだよ?』『……わかるでしょ』」
ガバッ。
「うそっ。ななななんでっ!?」
あたしはいきおいよく身体を起こし、ぼうぜんとした顔でスピーカーを見あげる。
「『――部活の練習サボったからだろ』『ばか。本当に鈍感』『なんだよ。あと、そんな目で……こっち見んな』」
「うおんぎゃあああああああああっ!」
こここここここ……これはあああああっ!
あたしがさっきまで書いていた、うちのクラスの村田×佐野カプの妄想!
なんで、それが放送で流れてくるわけええええええええっ!?
「『佐野はさ、もしかして私といてドキドキしてるの? 私は……ドキドキしてるよ』」
ヒイッ、朗読してるヤツ、名前を隠さずそのまま読みやがったっ!
鬼、鬼なの――――――っ!?
これ以上話が進むと、どのクラスのだれか特定されちゃう!
それだけは、やめてええええっ!
取りみだしたあたしは、ものすごい速さで立ちあがると、全力で放送室まで走りだした。
『かくしごとっ! あたしが天才作家の身がわりに!?』
ためし読み 第2回につづく(5月26日公開予定)
作: 深海 ゆずは 絵: tanakamtam
- 【定価】
- 880円(本体800円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 新書判
- 【ISBN】
- 9784046324115