角川つばさ文庫小説賞《金賞》受賞作の意欲作★
『ともだち弁護士リッカ 転校生は正義のミカタ!?』が、もうすぐ発売!
発売前にドドンと【ためし読み】しちゃおう!
わたし、六法律花の夢はカッコイイ弁護士になることっ! 1年生にまちがえられちゃう「おちび」な6年生だけど、ナカミには法律とあきらめないココロがつまってる。転校した学校でおこる事件だって、絶対見のがさない! 「呪いの手紙事件」に、「宿題の神様事件」。犯人だと疑われてる子たち、ホントにそうなのか!? モヤモヤしているのにだまっているのは、もうイヤなんだ。真相をあきらかにするため、やろうよ、「おたすけ裁判」! もちろんわたしが、こまってる子の弁護士になるから――!
『ともだち弁護士リッカ 転校生は正義のミカタ!?』
(夢乃ひいろ・作 霧海ななせ・絵)
4月8日発売予定!
【1】 一年生じゃありません!
ゴゴゴゴゴーン!
目の前に、そびえたつ靴箱。
その高さ、もはや高層ビル!
「これはなにかの試練か!? わたしの靴箱が……一番上とはっ」
ぐぬぬぬぬ……っ。
精いっぱいの背伸びをしたら、つま先がプルプルふるえる。
申しおくれました!
わたしの名前は、六法律花(むつのり・りっか)。
十一歳。今日から、この桃千小の六年生だ。
なんだ、その「えっ? 一年生じゃなくて六年生?」って目は。
たしかに、見た目はかなり小さい。
ときどき、幼稚園児にまちがえられることまである。
しかーし!
ズバリ、わたしの将来の夢は、ママみたいなカッコイイ弁護士になること!
この小さな体のなかには、正義の心と、法律の知識が、パンパンにつまっているのだーっ!
「うう……つま先が痛いが……よし、もう一回」
思いっきりジャンプしてみ……た、のだが、やはりムリだ。全然とどかない!
そのとき。
「だいじょうぶ?」
ふりむくと、そこには、やたら背の高い男子がいた。
すらーっと長い手足。
はるか上には、さらさらの髪にふちどられた顔。
「一年生だよね? 入学式は来週だよ。まちがえちゃった?」
わざわざしゃがんで目線を合わせてくれている、親切な男子だが……。
「コホン。よく聞け。わたしは六年生だ」
「……え」
男子の表情がかたまり、頭から足までマジマジと見られる。
「─もしかしてキミ、うわさの転校生?」
ドンッ
無言で立ちあがった男子は、わたしにむかって一歩ふみだし、靴箱に手をついた。
え、え、え?
壁ドンっ!?
ちょ、ちょーっと待った!
「壁ドンは刑法第百七十六条により、不同意わいせつ罪! 法律違反で、アウトだ─ッ!」
つま先立ちで、男子にむかって指差しドーン!
……って、あれ? 無反応?
男子は、わたしの頭上でなにやら作業中。
「聞けえ─ッ! そのあやしい動き、迷惑防止条例違反につき─ッ」
その場でピョンピョンして、手をブンブンふってみる。
「ん? なにか言った? ……はい、交換したからこっち使って」
「……へ?」
男子は、はるか頭上の靴箱にはってあった、わたしの名前シールをはがし、一番下の自分のシールとはりかえて─サッサと行ってしまった。
オーマイガーッ!
わたしとしたことが。
善良な少年のおこないを犯罪と誤解し、決めつけてしまった。
未来の弁護士として、はずべきことっ!
「善人どのっ……、あ、いや、ちがうっ。あのっ、名前……」
わたしは靴箱のてっぺんに目をこらす。
「えっと、岸本……静流どのッ! 感謝する!」
胸にドンとこぶしをあて、男子の背中に心からの「ありがとう」を伝えた。
せっかく親切にしてくれたのに、悪かったな。
思わずため息をついたら、キーンコーンカーンコーンと鐘が鳴った。
『ともだち弁護士リッカ 転校生は正義のミカタ!?』
ためし読み
第2回につづく
書籍情報
- 【定価】
- 858円(本体780円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 新書判
- 【ISBN】
- 9784046323897
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