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映画「天気の子」、ドラマ「ブルーモーメント」の気象監修を務める荒木健太郎氏による、「すごすぎる図鑑シリーズ」の最新作『最高にすごすぎる天気の図鑑』。
最高におもしろくて興味深い気象のトリビアを紹介しつつ、今回は身近なものを使った実験や観察も満載です!
連載第3回は、「すごすぎる気象と気候のはなし」の中から「シャボン玉でわかる目に見えない風」「季節は春夏秋冬の4つだけじゃない」「天気予報で良く聞く『平年並み』とは」を紹介します!
※本連載は『最高にすごすぎる天気の図鑑』から一部抜粋して構成された記事です。
シャボン玉でわかる目に見えない風
私たちは生活のなかで、空気の流れである風を感じる場面があると思います。空気は透明なので風は目に見えませんが、簡単に風を見る方法があるのです。
そのひとつが、シャボン玉です。シャボン玉は軽いので、風に乗って移動します。つまり、シャボン玉の動きから、風の吹き方がわかります。シャボン玉が横方向に移動する場合、1秒間に動く距離(m)から、だいたい何m毎秒の風速(風の速さ)かや、動く向きから風向(風の向き)もわかります。上下に動くシャボン玉からは、上昇気流や下降気流も読み取れます。
これはシャボン玉だけに限りません。工場などの煙突から出る煙や、凧あげの凧からも風向がわかりますし、もちろん雲も同じです。雲は風によってかたちが変わるので、上空の風をまさに見えるようにしてくれています。
見えないものが見えるようになるのは、とっても楽しいもの。ぜひ風を読み解いてみてください。
豆知識
シャボン玉は虹色です。波の性質を持つ可視光が重なり合うと、強め合ったり弱め合ったりする干渉が発生。シャボン玉は膜の表面で反射する光と内側で反射する光が干渉するため、強まった色がいくつも現れて虹色に見えています。
季節は春夏秋冬の4つだけじゃない
日本には春夏秋冬の四季があり、多彩な空に出会えます。驚くことに、さらに細かい季節の分類があるのです。
それが、二十四節気です。季節をわけて考える方法のひとつで、春夏秋冬をそれぞれ6つにわけて名づけています。春分、夏至、秋分、冬至も二十四節気に含まれ、冬にこもっていた虫が目覚めて動きだす時期という意味の啓蟄や、麦や稲など穀物の種をまく時期である芒種、秋めいて朝露が降りる時期の白露、雪が降りだす時期という意味の小雪などがあります。
二十四節気のひとつひとつをさらに3つ(初候、次候、末候)にわけた七十二候という分類方法もあります。七十二候の名前は自然現象や動植物の行動・変化を意味する言葉なので、季節の移ろいを細かく表現できるのです。
二十四節気は中国大陸の気候をもとに名づけられており、日本の気候と合わないものもあるので、土用など日本独自の雑節もつくられました。暦は奥が深いですね。
地球の公転運動と季節
豆知識
春分と秋分は昼と夜の長さが同じといわれています。しかし、太陽が地平線から少しでも出てきたら日の出、太陽が全部沈んだら日の入なので、じつは太陽の大きさ1個ぶんだけ太陽が動く約2分間、昼のほうが夜より長いのです。
天気予報で良く聞く「平年並み」とは
テレビの天気予報などで平年並という言葉が登場することがあります。平年並とは何か、そのヒミツに迫ります。
まず、一定期間(30年間)の気象データの平均値を平年値といいます。最高気温などの要素ごとに平年値があります。平年値は年々変化する気候に合わせて10年ごとに更新され、2024年現在は1991〜2020年の30年間の平均で、2021〜2030年の間はこの平年値を使います。
平年並という言葉は、週間天気予報や季節予報などで「低い」「高い」の区分と一緒に使われます。まず年ごとに平均した値を低い順に並べ替え、そのうち1〜10番目が「低い」、11〜20番目が平年並、21〜30番目が「高い」としているのです。
また、10年に一度しか起こらない現象の目安として、下位3年分の値以下を「かなり低い」、上位3年分の値以上を「かなり高い」とし、著しい高温や低温、大雪を表現します。このような言葉の意味を知っていると、天気予報の見方が変わるかも。
「平年並」とは
地域平均の平年並の求め方
豆知識
気象庁は原則毎週月曜日と木曜日に、その日の6〜14日後を対象として、5日間平均気温がかなり高いかかなり低い確率が30%以上のときなどに早期天候情報を発表しています。この情報が発表されたら天気予報などを要確認です。
防災や減災に役立つ!
天気や気象は、ふだんの生活に直結していること、空は誰でも観察できることからとても身近で楽しい情報が盛りだくさんですよね。その知識は、じつは防災や減災にとっても役立つんです。楽しみながら、防災にも役立つこの本。大人でも十分たのしめる内容ですので、ぜひ親子で読んでみてください。
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