
カラフルだったり、巨大だったり、世界中には変わった昆虫も存在しますが、この連載で取り上げるのはあえて「身近な昆虫」です。「知っているつもりのあの昆虫に、こんな姿が!」という新しい感動が巻き起こること間違いなし! 知識やトリビアはもちろん、実際に観察できる場所、探し方も紹介します。夏休みの自由研究にも役立ちます!
※ためし読みでは、本書の内容の一部を抜粋してお届けします。
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アリジゴクは本当にアリの地獄か
アリジゴクはとてもユニークな方法で獲物を捕まえます。まず後ろ向きに歩いて巣に適した場所を探します。そしておしりから地面に潜ったら頭に乗せた砂を放り投げます。すると手前には軽くて細かい砂の粒が落ち、大きな粒は遠くに飛んでいきます。その結果、アリジゴクの巣は穴の底からが細かい砂ばかりになって獲物が登りにくい危険な構造になっていくのです。
もし穴に落ちたアリが逃げようとしたら、穴の底から次々に砂を投げつけ、登って逃げられないようにし、アリを捕まえたアリジゴクは体液を吸い尽くします。
アリジゴクは絶食に強く、3か月も何も食べずに生きたという記録があります。運よく餌を食べることができたら成虫(ウスバカゲロウ)になります。なお、成虫になったばかりのときに、幼虫時代に食べたものを消化した大きな糞を排泄します。幼虫はまったく排泄しないといわれてきましたが、ある小学生の観察により、少し液体を排泄することが確認できました。

アリジゴクの毒はフグの130倍!
アリジゴクは獲物に咬みつくと、あごから毒を注入します。それはフグ毒の約130倍もの毒性があるそう。獲物が動けなくなると消化液を注入して、筋肉や内臓を溶かしてそれを吸い取ります。

「アリジゴク」という昆虫がいるわけではなく、ウスバカゲロウ科の仲間全般の幼虫を指します。
巣はどうやってつくるの?

巣づくりに使う砂にはこだわりあり
巣の材料は土や砂なら何でもいいわけではありません。砂と粘土の中間の細かさのシルトを使います。アリジゴクは後ろに歩きながらおしりから砂に潜り、頭に砂を乗せ、放り投げて巣をつくります。食べ終えた獲物を巣の外に捨てるときにも頭に乗せて放り投げます。
<豆知識>
アリジゴクはウスバカゲロウの仲間の幼虫。北海道から南西諸島まで生息し、平地や砂丘、河川敷などで見ることができます。種によって巣をつくらずに、歩き回るものもいます。
この連載を読んでくれた大人の方へ
昆虫に興味を持ったら、お子さんたちに自然の中で過ごす時間を増やしてあげてください。初めて見る生き物や美しい風景が心に深い印象を与え、自己肯定感を高める要素となります。研究によると、自然環境での体験はストレスを軽減し、心理的な健康を促進する効果があることが示されています。
子どもたちが自らの好奇心を持ちながら事象を探求し、学ぶプロセスを通じて、子どもたちが自らの足で歩み、世界を探求する力を育まれることを願っております。
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- 【定価】
- 1,430円(本体1,300円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 四六判
- 【ISBN】
- 9784046065841