「身近な虫」といえば何を思い浮かべますか?
お庭や目の前の街路樹など、いろんなところでさまざまな虫を見かけるかと思いますが、きっとそのほとんどの場所に潜んでいる虫「ダンゴムシ」についてお話しします。
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ダンゴムシはどんな昆虫?
ダンゴムシとは軟甲綱ワラジムシ目に含まれる一部の科の生物の総称です。
日本ではオカダンゴムシと呼ばれる種が一般的で、みなさんが最も見たことあるダンゴムシがこれにあたります。しかしこのオカダンゴムシは、元々日本に生息していた生き物ではありません。明治時代に船で海外から荷物を運んできた時に、日本に侵入したと考えられています。日本にはコシビロダンゴムシなどの別の種類のダンゴムシも生息していますが、みなさんの身近ではあまり見られない種類です。
今回はこのオカダンゴムシを「ダンゴムシ」として紹介していきます。
これまでの連載記事では「昆虫」というグループを中心に扱ってきましたが、ダンゴムシは昆虫ではありません。昆虫というグループは、脚が6本で、体の構成が頭・胸・腹に分かれており、成虫になると多くの種類が翅を持つ、という特徴がありますが、ダンゴムシはそうではありません。ダンゴムシの脚の数は、子供の頃は12本で、大人になるにつれて1対増え、14本になります。
ダンゴムシはいろんなものを食べる雑食性です。枯葉や朽木や植物、昆虫の死骸など、さまざまなものを分解して土に返してくれる役割を担っています。そのため、庭先や街路樹の根本など、土と枯葉がある環境であれば、都会でも見つけることができる生き物です。
ダンゴムシに似ている種類だと「ワラジムシ」という生き物がいます。ワラジムシもダンゴムシと同じ、ワラジムシ目に分類される生き物で、見た目もとても似ています。一番簡単な見分け方は「丸くなるか」どうかです。ダンゴムシの大きな特徴は、刺激を受けた時にボール状に丸くなります。これは外敵から身を守るために、小さく丸くなって柔らかい腹部を隠す行動です。しかしワラジムシは刺激を受けても丸くなりません。そのかわりダンゴムシよりも脚が速く、体も平べったいため、素早く走って枯葉の下や石の隙間などに逃げ込みます。
どちらも同じ環境で見られることが多いので、見つけた際には触ったりして確認してみましょう。
ダンゴムシの飼育は難しい?
ダンゴムシは簡単に飼育することができます。最近は海外のダンゴムシなどもペットショップなどで購入することができますが、今回は身近で採集できるオカダンゴムシの飼育について紹介します。
まずはダンゴムシを採集しましょう。ダンゴムシは湿った場所が好きなので、お庭の植木鉢の下や枯葉が積もった場所などを探してみましょう。ダンゴムシは逃げ足が遅く、触ると丸まってじっとするので、簡単に手で捕まえることができます。
ダンゴムシは一般的な昆虫用のプラケースで飼育することが可能です。土を敷いて、落ち葉を敷いてあげるだけで飼育環境は完成します。ダンゴムシを採集した場所の土を使用するのもよいですが、野外の土にはさまざまな生き物が含まれており、その中にはヤスデやムカデなども一緒に入っていることがあります。そういったことが嫌な人は、カブトムシ用の腐葉土などを使用しても良いでしょう。
ダンゴムシは乾燥を嫌うため、ケース内が乾燥しないように、頻繁に霧吹きをしてあげましょう。ただし、蒸れすぎるのも嫌うため、風通しの良い容器で飼育してあげる必要があります。ダンゴムシは基本的に落ち葉を食べるため、落ち葉をたっぷり入れておくと、乾燥を防止しながら餌を与えることができます。
ただし長く飼育するためには、カルシウムを摂取させる必要があります。カルシウムが不足すると、うまく脱皮ができずに死んでしまうことなどもあるようです。そのためペットショップで売っているカルシウム餌や、貝殻や卵の殻などを入れてあげることで、ダンゴムシにカルシウムを摂取させる必要があります。
このようにうまく飼育することができれば、ダンゴムシが卵を産んでたくさん増えていく様子を観察できます。
さいごに
今回はみなさんのとても身近ないきもの「ダンゴムシ」についてお話ししました。
誰でも知っている虫でも、いざ観察や飼育をすると、たくさんの発見があります。
あまり虫に慣れていない人でも簡単に飼育できる生き物なので、ぜひチャレンジしてみてください。
【プロフィール】
むし岡だいき
昆虫採集YouTuber 。チャンネル登録22万人 、一番好きな昆虫はコロギス。