
6月は梅雨で雨が多くなる季節ですが、雨の日のいきものと言えば、カエルやカタツムリなどを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
今回はそんな梅雨の時期にぴったりなカタツムリについてお話ししていきます。
その他の昆虫についてはこちら
カタツムリってどんな昆虫?
カタツムリとは「陸上に住む、巻貝状の殻をもつ貝類の総称」とされています。大きいグループでは「巻貝のなかま」になるのですが、そのうち、陸上に住んでいるものでなおかつ、ナメクジのように殻を持たない種類を除いたものが「カタツムリ」という名前で呼ばれていることが多いです。
人によっては、陸上に生息する巻貝のなかまであっても「キセルガイやヤマタニシなどはカタツムリではない」という認識であり、その線引きは曖昧です。分類上ではさまざまな科を跨いで含むグループになってしまうため、「カタツムリ」というグループを定義することはできません。

キセルガイ

ヤマタニシ
カタツムリは日本中にさまざまな種類が生息しています。種類によっては都会の公園などでも見られ、大きさも種類によって1cm程度の小さなものから、5cmほどの大きな殻を持つものまでさまざまです。

カタツムリは湿度が高く薄暗い環境を好むので、日中は殻の中に体を隠しています。雨が降ったり、夜になると殻から体を出して活動します。この殻はカタツムリの体の一部で、成長と共に大きくなっていき、成長するにつれて殻の巻き数も増えていきます。寿命も種類によってさまざまですが、比較的長生きするものが多く、3〜5年飼育できる種類が多いです。
そんなカタツムリやナメクジなどの陸生貝類のなかまは日本に約800種類ほどいるといわれています。昆虫のように羽を使って長距離を移動することができない生物のため、地域によって種類が細かくわかれています。
今回の記事では筆者の住んでいる関東でもっとも代表的な種類のミスジマイマイについてお話ししていきます。

カタツムリの見つけ方は?
カタツムリは6月のイメージが強いですが、春から秋まで見られるいきものです。雨の日や雨上がりなどの湿度が高い日に活発に活動する種類が多いため、梅雨時はたくさんのカタツムリが見られるシーズンとなります。カタツムリは種類によって好む場所が違い、木の上に住む種類や、木の根元や地面に住む種類、朽木の下に住む種類などもいます。
筆者の家の周りでもよく見られるミスジマイマイは樹上性のカタツムリで、街路樹や公園の木などで多く見られます。晴れた日の明るい時間は休んでいることが多く、基本的には湿度の高い夜に活動します。雨上がりの夜は、街路樹や公園の木の幹や枝を懐中電灯で照らしているとよく見つけられます。

カタツムリを見つけたら、殻を摘んでそっと木から剥がして捕まえましょう。力強く張り付いている時は無理に引っ張ってはいけません。後述しますが、カタツムリには危険な寄生虫が住み着いていることも考えられるため、素手で触った場合は必ずすぐに手を洗いましょう。
カタツムリの飼育方法
カタツムリは簡単に飼育することができます。カタツムリは湿った環境を好みますが、風通しがよい状態で飼育してあげる必要があるため、空気穴がしっかり空いている飼育ケースで飼育してあげましょう。ケースの底にキッチンペーパーなどを強いて、たっぷり霧吹きをしてあげましょう。産卵をさせたい場合はキッチンペーパーの代わりに土を敷く必要があります。ミスジマイマイの場合は、木登りが好きなので登り木なども立てかけてあげるとよいでしょう。
エサは野菜を中心にいろんなものを食べます。ニンジンやナスやキャベツなどの野菜、しめじなどのきのこ類、そのほかにはニボシやたまにキッチンペーパーまで食べます。
カタツムリは食べたものの色の糞をします。にんじんを食べたらオレンジ色の糞、きゅうりだと緑色、キッチンペーパーだと白色など、さまざまな色の糞をします。いろんな食べ物を与えてみて、何を食べたか糞の色から観察してみるのも面白いです。

オスとメスがない?
カタツムリにはオスやメスという性別がありません。カタツムリは雌雄同体といって、一つの体の中にオスとメスの両方の性質が備わっています。繁殖期に成熟した2匹が出会うと、その場でお互いが持っている精子を交換しあうことで交尾が完了し、お互いが産卵できるというとても不思議な生体をしています。
このような性質を持っているのは、カタツムリの移動能力が少ないからと考えられています。長距離を移動することができないカタツムリは、一生を狭いエリアで終えます。しかしそこで同性のカタツムリにしか出会えなかった場合は、自分の遺伝子を残すことができないまま一生を終えてしまうのです。そのために雌雄同体という性質が備わったと考えられています。

カタツムリは危険?
前半部分でもお話ししましたが、カタツムリにはとても怖い寄生虫が潜んでいる可能性があります。それは広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)という寄生虫です。この線虫の成虫はドブネズミやクマネズミなどに寄生する生物ですが、ネズミ類などに寄生する前にはカタツムリやナメクジ、カエルなどに寄生しています。広東住血線虫が潜んでいるカタツムリのうち、日本で発見されたもののほとんどは、沖縄で特定外来生物にも指定されているアフリカマイマイから発見されたものですが、本州のネズミからも広東住血線虫が発見されていることから、身近な種類のカタツムリに潜んでいる可能性もあります。そのためカタツムリやナメクジなどを触った後は必ずしっかりと手を洗いましょう。

アフリカマイマイ
今回はカタツムリについてお話ししていきました。存在は知っていても、あまり見たことがない人も多いかもしれません。雨が多い季節に見つけやすい生き物なので、ぜひこの時期ならではの生き物観察を楽しんでみてください。
写真:PIXTA
【検証】カタツムリの一番好きな食べ物は?
【プロフィール】
むし岡だいき
昆虫採集YouTuber 。チャンネル登録22万人 、一番好きな昆虫はコロギス。