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本当はすごい!チョウの飛翔能力 『すごすぎる身近な昆虫の図鑑』ためし読み


カラフルだったり、巨大だったり、世界中には変わった昆虫も存在しますが、この連載で取り上げるのはあえて「身近な昆虫」です。「知っているつもりのあの昆虫に、こんな姿が!」という新しい感動が巻き起こること間違いなし! 知識やトリビアはもちろん、実際に観察できる場所、探し方も紹介します。夏休みの自由研究にも役立ちます!
 ※ためし読みでは、本書の内容の一部を抜粋してお届けします。

本当はすごい! チョウの飛翔能力

 規則性などなしにふらふらと飛んでいるように見みえるのに、ちゃんと目的地にピタリと止まることができるチョウ。チョウを捕まえようとしても、簡単にはいきませんよね。

 なぜか予測と違う方向に飛ぶため、チョウのコースは読みきれない。それでもチョウは自分が行きたい目当ての場所に辿り着くのだから、おもしろいものです。



上下 、左右にカーブする複雑な軌跡
チョウの飛んだ軌跡に線を引くと、図のような上下にゆるやかな波線を描きます。
これは横から見た図ですが、じつは上から見ると、左右にも波線を描いていることがわかっています。



 パッと見るとチョウは2枚の翅で羽ばたいているように見えますが、実際持っているのは4枚。前と後ろの翅が同時に動いているので2枚のように見えるのです。

 4枚の翅のうち後翅が1枚破れても、安定して飛翔したり目標に着地するチョウの姿をよく見かけます。

 実際、胴体が無事であれば繁殖はできるので、「1枚くらい破れても飛べる」という選択が功を奏したのでしょう。

 このように自分の体が多少欠けても繁殖まで生きられるようになっていることで、たとえカマキリや鳥に捕らえられても、翅が破れることで逃げられる可能性が上がります。すごい生存戦略だと思います。


翅が1枚ぐらい破ぶれても力強く飛ぶことができる
写真は後ろの翅が1枚破れてしまったカラスアゲハ。
これにより飛翔姿勢などに影響があるかと思いきや、3枚でもしっかり飛翔できます。


<豆知識>
チョウの仲間は卵→幼虫→蛹→成虫と形を変えて成長。幼虫はご存じ、イモムシや毛虫です。アゲハやモンシロチョウの成虫は毎年春になると飛び始め、秋が深まると姿を消します。

 


この連載を読んでくれた大人の方へ

 昆虫に興味を持ったら、お子さんたちに自然の中で過ごす時間を増やしてあげてください。初めて見る生き物や美しい風景が心に深い印象を与え、自己肯定感を高める要素となります。研究によると、自然環境での体験はストレスを軽減し、心理的な健康を促進する効果があることが示されています。

 子どもたちが自らの好奇心を持ちながら事象を探求し、学ぶプロセスを通じて、子どもたちが自らの足で歩み、世界を探求する力を育まれることを願っております。

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