
ディエゴの部下たちの声が聞こえてきた。もうすぐそこまでせまっているのか! このままではつかまる…その時、風上から、
「ココニイルヨ! コッチコイ!」
という声が聞こえた。風の流れる方向に音や声も流される。風上から、風下にいる君たちにも声が聞こえて、君たちの後ろを追いかけていた部下たちが「あっちだ!」とさけんだ。足音が遠ざかっていく。
「ポポ大丈夫かな…」
ソフィーが心配そうに言った。でも少しして、ポポが元気そうにもどってきたので、みんなほっとした。
「えらい!」
ジェイクとターゼンがポポをなでくり回したので、ポポがいやそうな声を出した。君もフフッと笑いがこぼれる。
ターゼンが何かに気づいて顔を上げた。先ほどよりも少し近い場所にふたたびブルーバックのすがたがある。
「まるで祝福してくれているみたいね…」
シェリーがおだやかな表情で言った。手にはアナライザーがある。
「シカに似ているけどウシの仲間らしいわ。あの美しい毛並みのせいで、人間に狩られてほろんだのよ。美しいというだけで――」
今までに会った絶滅種はどれも人間のせいでほろんでいる。ターゼンも本当は動物たちから、人間へのいかりをたくさん聞かされているのかもしれない。
「つみほろぼしにはならないけど、この島の生き物たちを守らなければ…」
君たちは身支度を整えて気合を入れた。しばらく歩いて森をぬけ草地に出る。
「!?」
遠くから見ても大きい体が目に飛びこんできた。サイだ! もしかしたら絶滅種のキタシロサイかもしれない。アナライザーをかざすひまはない。あんな動物にタックルでもされたら一瞬で終わりだ! すぐにどう行動するか考えなくては。
サイはたしか…
