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どっちが強い!? 記憶の島 第4話


 君たちXベンチャー調査隊は絶滅種がいる島で、すでに絶滅したとされるステラーカイギュウのミーティアに出会い、ソフィーの母クレアにも会うことができた。しかし、クレアを島にとじこめている張本人、環境マフィアのボス・ディエゴにつかまってしまう。
「この島の気候調整…どうなっていると思う?」
 ディエゴが白い歯を見せながらニヤリと笑った。この島では、小さな島にも関わらず不自然に熱帯雨林とサバナのような気候がとなりあっている。
「バイオスフィア2は知っているか?」
「アメリカのアリゾナ州オラクルに建設された人工生態系の実験施設ね。巨大な密閉空間の中にさまざまな地域の環境を持ちこんで、宇宙空間での生存実験や環境問題の検証をするための施設よ」
 シェリーがすらすらと答えた。
「でも…あれは巨大なドーム状の密閉空間でしょ!? ここは島だし…開放された空間だわ!」
(たしかに…自分たちは海からこの島に上陸しているし、この空がドームにえがかれているものとも思えない。どうなっているんだろう?)
 と、君が不思議に思っていると、ディエゴがじまんげにしゃべりだした。
「『セントラル・バイオスフィア・コントロールシステム』――エアバリアタイプの複合型環境実験施設だ。火星移住技術を応用、発展改良したものなのさ。この島自体が人工のうき島なのだ!」
 そんな高度な環境システムが実在しているなんて――話だけなら、夢物語だと信じなかったかもしれない。しかし君はそのまほうのような技術力を、身をもって体験してきた。
「そんな技術があるならもっとほかにやることあるだろ! なんでおまえたちが金もうけなんかに使っているんだ!!」
 たしかに、砂漠地域の緑地化や、弱った土壌の改良など、その技術があればできることがたくさんある。もっと効果的な使い方があるはずだ。
「ムガ…おまえら、はらたつ!」
 ジェイクとターゼンがおこりだした。ソフィーとクレアも静かないかりをディエゴに向けている。
「最初の投資はケチらなかったんでね、世界各地の研究者と技術者をつかまえて造らせた。このクレアもそうさ!」
 名前をよばれてクレアはキッとディエゴをにらんだ。ディエゴは言葉を続ける。
「ゆくゆくはこの島の環境調節システム自体を世界中に売り出し、おれは金も名誉も手に入れる! その時は…今までの環境犯罪をなかったことにするために、絶滅種ごとこの島を消す。当然おまえたちもみんな――」
 言葉は最後まで語られなかったが、それがよけいにみんなを恐怖させた。君の背中にも冷たいあせが流れた。ディエゴは部下たちに命令して、君たちをクレアから引きはなすと、研究所がある建物に連れて行き、倉庫部屋にとじこめた。そこには天井に届くくらい絶滅種のはくせいのケースが積まれていた。はくせいにするために多くの絶滅種が殺されたということだ。ターゼンの表情もこわばっていた。
「なんてひどい…」
 ソフィーが口に手をあて、泣きそうになるのをこらえている。君は脱出の計画を立てようと、山積みのはくせいのケースに目をやった。

防犯システムを利用できるか? はくせいのケースをわってみる
はくせいのケースを登れないかやってみる
 


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