「将来、どんな仕事につきたい?」
そう聞かれて、すぐ答えられる人は、そんなに多くありませんよね。
まだ決まっていなくても、大丈夫。途中で変わっても、もちろん大丈夫。
このお話は、主人公のアドさんと同級生の中学生たちが、“異世界”で仕事を選ぶ授業から始まります。
勇者や魔法使い、商人や治療師。ちょっと変わった仕事も、見たことのない仕事も出てきます。
でも、これはただのファンタジーではありません。
「自分は何が好きなんだろう」
「向いている仕事って何だろう」
そんな、きみの中にあるモヤモヤを探るために、物語の世界に入ってみよう!
※本連載は『5分でわかる私たちの未来の仕事 2040年のハローワーク』から一部抜粋して構成された記事です
※これまでのお話はこちらから
生成AIはたまにウソをつく
紅茶がくる頃には、みんなすっかりリラックスしています。
アドさんは画像生成AIを試しました。画像生成AIは本当におもしろくて無料版では物足りないほど。自分の知識や想像力では使いこなせないなあ、という気もしました。
カヤさんにそう話すと、カヤさんがうなずきました。
「そそ。いいプロンプトには、知識とスキルとイマジネーションが必要。何をしたいか言葉にできないとダメ」
理解度や知識は、人によって差がある、とカヤさんはアクションで示します。浅い知識で、ふんわりしたプロンプトをいれると、AIは無難でありふれた答えを返すのだとか。
「だから、あたしのレポートが目立っちゃったんだ」とリッチさん。
「ほかの人たちは先生の課題をそのままいれたから」
「生成AIは、何がなんでも返答しなきゃならない。そういうシステム。正しい答えを持ってないときは、ネットから拾ってくる。生成AIの返答が、正しいかどうかは人間が調べなきゃいけない」
カヤさんが、生成AIの注意事項を説明しました。
『生成AIは、使用者が意図しない不正を働く』
生成AIは言葉を流ちょうに話すためのシステムであり、善悪を感じることはありません。課題を与えられると、あらゆる方法で問題を解決しようとします。ユーザーが想定してなかった抜け穴を使用する場合や、システムを書き換えるハッキングをおこなうこともあります。
最新の生成AIは、監視用のAIと組み合わせることで正確性が向上しましたが、生成AIを使うときは可能な限り自分で確認をおこなうことが必要です。
「それにしてもこの異世界転生ジョブ選びの総合学習、おもしろい授業だね。あたしも受けたかった」
カヤさんはとっても残念そう。
「カヤちゃんなら、どんなジョブにする?」
アドさんの質問に、カヤさんの表情がパッと輝きました。その質問を待っていたんだ、とアドさんは気がつきました。
難病のカヤさんに、将来の夢を聞くのはためらいがありました……。将来のことをたずねたりしたら、カヤさんが傷つくのではないかという不安。かといって、親友のカヤさんの夢を知りたい気持ちも強くありました。
「モチロン、あたしは勇者を目指すよ」
明るい声が、アドさんの胸のもやもやを切り払いました。
「あたしは弱い。だから、世界イチ仲間の力を集める勇者になるよ!」
カヤさんの掲げた手には、未来を切りひらく剣が握られているようにみえました。
第5回へつづく(3月19日公開予定)
本書の巻末には、「冒険者手帖」と称した【性格タイプ別のお勧め進路と未来の職業予測】を掲載していますので、物語を読んだあとに現実的に自分の将来を考えることができるようになっています。
「正解の進路」や「安全な将来」は、実は誰にも用意されていないのかもしれません。
けれど、迷いながら考えること、自分の言葉で語ろうとすること、それ自体が一つの力になります。
次回は、また別の選択と、その先の現実へ。
少しだけ肩の力を抜いて、続きをのぞいてみてください。