KADOKAWA Group
知る・まなぶ

新しい環境での人間関係の育み方 第1回


「友達をつくるのが苦手」「将来がなんとなく不安」「なんにもやる気が起きない」……。この本はそんな悩みで「いっぱいいっぱい」になっている中学生・高校生のための「毎日のお守り」です。「学校生活」「親」「友達」「自分」の4つのカテゴリーの悩みに寄り添う内容で、解決のヒントが見つかる1冊です。

※本連載は『いっぱいいっぱいの自分から脱出する方法 今を生きる10代のための40のヒント』から一部抜粋して構成された記事です。一部写真は本には掲載されていません。


新しい環境での人間関係の育み方

 世の中には、年齢性別関係なく、どんな人にも物怖じせず、積極的に話しかけられる人がいます。そういう人たちは、クラスメイトだけでなく、他校の生徒であっても、あっという間に親しくなってしまいます。

 一方、多くの人が、直感的に気になる人がいても、変な人に思われたらどうしようという不安、拒絶されてしまうかもしれないという恐怖心、そして恥ずかしさもあって、なかなか自分から話しかけることができず、もどかしい思いをしているのではないでしょうか。

 気になる相手から話しかけてきてくれたら嬉しいのですが、なかなか思い通りに物事は進んでくれないのが現実です。


世の人たちの平均的なスタンス

 生理的に無理なケースを除き、世の中の大部分の人たちが次のようなスタンスで人と接しているのではないでしょうか。

 気になる人や親しくなりたい人がいても、いろんな理由があって、自分からは話しかけられない。でも、話しかけられれば喜んで話をする。

 もしこれを読んで、だったら自分から積極的に話しかけようと思い立った人は、是非そうしてください。でも、ほとんどの人は無理だと思います。


なるようになる

 私は思います。友達づくりって、自分なりのペースで、いいんじゃないかって。

 だって結局は、なるようになるんだから。

 今までだって、そうだったのではないでしょうか。気づいたら、いつの間にか自然と仲良くなっていた。そんなものだと思います。

 もちろん何か劇的な出来事がキッカケとなっていれば覚えているかもしれませんが、たいていは(特に長い付き合いとなるケースでは)、どんな経緯で仲良くなったのか、その部分に関してはうろ覚えの友達の方が多いのではないでしょうか。

 友達関係の構築には、いろんなパターンがあると思います。正解や公式なんて、ありません。

 お互いに警戒し、探り合い、様子を見つつ、照れながらも、一進一退を繰り返し、少しずつ距離を埋めるパターンもあれば、係や委員会が一緒になったり、通っている塾で同じクラスになるなど、何かをキッカケに急接近するパターンもあるでしょう。

 人間関係の構築は、そんなふうにケースバイケースだと思います。

 余談になりますが、私には30歳を過ぎてから仲良くなった友人がいます。

 初めて会ったとき、私から彼に挨拶をしたのですが、無視されてしまいました。

 会話をしていても、素っ気ない態度を取られ続け、目も合わせてくれませんでした。

 その後、彼は人見知りでシャイな性格だから、そのような態度を取っていたことが分かり、少しずつ、お互いの距離が縮まっていきました。

 今では、会えばハグをするような仲になっています。


タイパを重視するのなら

 そうは言ってもタイパ重視の時代です。

 気になる人となかなか親しくなれないモヤモヤを解消するためにも、なるべく早く、人間関係を築きたいと思うのが本音でしょう。

 もし、そうしたいのであれば、お互いの共通点を見つけることです。

 それが人との距離を縮める一番の近道になります。

 たまたま共通の知人がいたり、同じ趣味があると知り、急にぐっと距離が縮まった経験はありませんか。

 アーチスト、タレント、漫画やゲームに登場するキャラクターなど、推しが同じであったりすれば、話は一気に盛り上がります。

 では、その共通点を見つけるために、どうしたらいいのでしょうか?

 そのためには、まずは正直に自己開示することが大事です。

 自分は本音を話さず、心の内を隠しているのに、相手は本音で心の内を包み隠さず話してくれるなんてことはありません。お互いが正直に自己開示しあうことによって、共通点が見つけやすくなるはずです。

 悩み、コンプレックス、苦手なもの、恐れていることなど、本来であれば隠しておきたいマイナスの側面に関しては、もちろん勇気のいることなので、「できるだけ」という限定はつきますが、なるべく最大限の自己開示をしてみてください。


画像提供:PIXTA


自己開示以上に大切なこと

 もちろん自己開示も大事なのですが、自分が話す二倍の時間を目安に、相手の話に耳を傾けることを心がけてください。

 こんな格言があります。「人には口が一つなのに、耳は二つある。それは、自分が話す倍だけ、他人の話を聞かなければならないからだ」

 聴くという行為に対して、受動的なイメージを持つ人が多いと思いますが、そんなことはありません。

 良好な人間関係を育んだり強い信頼関係を築くにあたって、聴くという行為は、間違いなく能動的な行為です。

 ぜひ相手の話をたくさん聴いて、共通点を見つけてください。

 

まとめ
▶ 友達づくりは自分のペースで大丈夫。結局は、なるようになる。
▶ 距離を縮めるには、自己開示で相手との共通点を見つける。
▶ 自分が話す二倍の時間、相手の話に耳を傾けよう。


書誌情報


紙の本を買う

電子書籍を買う


この記事をシェアする

ページトップへ戻る