
「先生の話に集中できない」「友達と話が合わない」「自分のペースを大事にしたい」……そんな自分の特性に悩む10代に向けて、発達を専門とする人気精神科医・本田秀夫先生によるアドバイスをまとめたのが『10代からのメンタルケア 「みんなと違う」自分を大切にする方法』です。臨床経験30年以上の本田先生だからこそ語れる具体的な悩みと対処法を、マンガ付きで紹介します。子どもの気持ちを理解したい保護者、教育関係者、支援者にもぜひ手に取ってほしい1冊です。
※本連載は『10代からのメンタルケア 「みんなと違う」自分を大切にする方法』から一部抜粋して構成された記事です。一部写真は本には掲載されていません。
自分が発言したときだけ雰囲気がちょっと変になる
学校で、みんなと一緒に何かをしているとき、自分だけ何かがズレてしまうということに悩んでいる人もいると思います。
例えば、上のマンガのように、数人でおしゃべりしていて、誰が何を言っても盛り上がっているのに、自分が発言すると、雰囲気がちょっと変になってしまう。同じ話題でおしゃべりしているのに、自分の発言だけ、みんなと何かが違う。その違いがみんなにはわかっているのに、自分にはよくわからない。そういうすれ違いが起きると、誰でも戸惑ってしまうものです。
話が合わないのは、自分のせいなのか。自分のほうがズレていて、おもしろさを理解できていないのだとしたら、友だちに合わせて話し方や話す内容を変えたほうがいいのでしょうか。
それとも、相手のほうがズレているのか。みんながいろいろとわかっていなくて、自分の話についてくることができないのだとしたら、その人たちよりも話の合う相手を探したほうがいいのでしょうか。
ただお互いの相性が合っていないだけ
会話がすれ違うときというのは、どちらかがおかしいというよりは、お互いの相性が合っていないのだと思います。
冒頭のマンガのように、相手のほうは何人もいて、自分一人だけがうまく話せていない場合、自分が変なんだと思ってしまいがちですが、必ずしも多数派が正しくて、少数派は間違っているというわけではありません。
どちらかが正しいというわけではなくて、おもしろいと思っていることがお互いに違うというだけのことでしょう。
自分とみんなの違いをどう考えていけばいいのか
ただ、「少数意見をおかしいと思う必要はない」と言っても、いつもみんなと話が合わないのは、やっぱりつらいですよね。「盛り上がっている会話に入りたい」という気持ちや、「共感できる友だちがほしい」という気持ちもあると思います。
この本は、そういう悩みや迷いにこたえる本です。「みんなと違う」自分の考え方を大切にしながら、まわりの人とも無理なく交流していくためには、どんなことを心がければいいのか。そのヒントをこれから紹介していきます。

あなたは変わることも、変わらないことも選べます
私がみなさんに伝えたいのは、「あなたは変わることも、変わらないことも選べます」ということです。
そもそも人生は、変わるか変わらないかの二択ではありません。「この部分は変えるけど、ここは変えない」という選択をすることも多くあります。
そういう意味では、みなさんには「変えなくていい部分」を見極めてほしいと思います。自分の好きなこと、自分らしいやり方が「変えなくていい部分」です。自分らしさを大切にしながら、それ以外の部分はまわりの人にも合わせていく。その見極めができれば、心地よく過ごすことができます。
書籍情報
著者: 本田 秀夫
- 【定価】
- 1,540円(本体1,400円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 四六判
- 【ISBN】
- 9784048974110