KADOKAWA Group
ものがたり

『宇宙級初恋』先行連載 第3回 だからちがうって言ってんじゃん!


となりのおうちにひっこしてきたのは、地球でいちばんカッコいい男の子!?

学園ラブコメ「ぜったいバレちゃいけません!!!」で大人気♡ 水無仙丸さんの新シリーズは、
反則級にときめくカレと、地球でいちばんステキなロマンチックラブ♡

.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*

運命の人っているのかな?
そもそも、出会ったその人が運命の人ってどうやってわかるんだろう?

だけど。
この地球の遠くの向こう、
何光年も先からやってきたキミと出会って、
ひと目見て分かったよ。

キミがわたしの運命の人だ、って──

.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*

3.だからちがうって言ってんじゃん!

 ──放課後、家に帰ると。

 今日の朝見かけたひっこしのトラックが、もうなかった。

 ひっこし作業、終わったみたい。

 新しいおとなりさん、どんな人かな。

 私と年のちかい子がいたら、友だちになりたいなあ。

 あ、でも竜晴みたいな男子だったら、はげしくイヤだな。

 竜晴のことを思い出して、ムカムカしながら家の中に入った。

「おー、つばさおかえりー」

 お父さんがソファーに寝転がりながら、おせんべいを食べてる。

 もう帰ってたんだ、今日ははやいね。

 おせんべいのかけらを、ソファーにこぼさないようにしてよ。

 お父さんのすぐそばでは、翔が「こんにゃろー!」とさけびながらゲームしてる。

 いちいち大声出さなきゃ操作できないんかい。

 洗面所では、お兄ちゃんが髪の毛を整えてる。

 きっと今から女の子とデートなんだろう。

 あいつ……一体どの子が本命のカノジョなんだ。

 ま、どうでもいいや。

 さて私は、部屋で最新ヘアアレンジ動画でもチェックしよう。

「つばさ~、さっきお前に電話があったぞ~」

 リビングからのお父さんの声に、二階に上がりかけていた足を止める。

 私に電話? めずらしいなあ。

「だれから?」

「赤川くんから」

「げええっ!」

 思わず、変な声が出た。

 竜晴から電話!?

 ウソでしょ!

 あいつが私に、一体なんの用よ!?

「へえー、お前もしかしてつきあってんの? その赤川くんて子と」

 お兄ちゃんが、洗面所から、にやにやしながら出てきた。

 私は全身にブワッと鳥肌がたった。

「んなワケないでしょ、じょうだんでもやめて!」

 今日はこういう感じのこと言われてばっかりだな。

 なんでよりにもよって一番キライな竜晴と、仲がいいだの、つきあってるだの言われなくちゃなんないの!?

「おいおい、えらくあせってんじゃーん?」

 お兄ちゃんが、さらににやにやと、イヤな笑顔でまとわりついてくる。

「私、あせってなんかないよ!」

「照れんな照れんな」

「照れてない!」

「みんな聞いてくれ~、つばさにカレシができたらしいぞお~」

 お父さんと翔が、すごいいきおいで廊下にとびだしてきた。

「マジで!? ねーちゃんカレシできたの!?」

「どんな子なんだ? まず父さんに紹介するのが先だろう」

「赤川くんていう子だよ。ほらここに写ってる」

 お兄ちゃんが、学級写真を持ってきて、二人に見せてる。

 どっから持ってきたのよそれ!

「ちょっとお兄ちゃん! カレシじゃないって言ってるじゃん!」

「わかったわかった、そういうのもういいから」

「もういいからってなによ!?」

「で、どっちから告白したんだ? お前からか?」

「はああ?」

「照れずに言えよぉ~お前~」

「ねーちゃんスゲー! 告白したんだ!」

「つばさ、カレシくんを今度うちにつれてきなさい。父さんも会ってみたい」

「おお~、いいじゃん、つれてこいよ、つばさ!」

「ねーちゃんのカレシ、俺も見たーいっ!」

「ほら、翔も見たいってさ」

「菓子を準備しないとな……。つばさ、赤川くんの好物を教えてくれ」

 ブチッ、と私の中でなにかが切れた。

──だからちがうって言ってんじゃん!

 せおってたランドセルを床にたたきつけ、ドアを開けて庭へとびだした。

 

 ──私、どっかおかしいのかな。

 なんだか、だれともうまくわかりあえない。

 お母さんが生きてたころは、こんなんじゃなかった。

 でも今は、だれと話してても、変な感じがする。

 気持ちが、ずっとすれちがってるみたいな。

 クラスのみんなには、ちゃんと好きな人がいて。

 告白して、つきあったりもしてるのに。

 私だけ、だれのことも好きになれない。

 クラスの男子も、女子も、家族も、だれのことも好きじゃない。

 こんなんじゃ……。

「……私、お母さんみたいになれない……?」

 泣きたくなくて、あわてて顔を上げる。

 夕焼け空がひろがっていた。 

 ──お母さんは、いつも笑顔だった。

 お母さんみたいな大人になりたいって、ずっと思ってた。

 なのに、私は毎日毎日、怒ってばかりだ。

『つばさの気持ちを大切にしてくれる人に出会ったら、つばさも、その人の気持ちを大切にしてあげるのよ』

 ムリだよお母さん。

 そんな相手、どこにもいないよ。

 だれも私の気持ちを大切にしてくれない。

 いや……私がだれの気持ちも大切にしてないから……大切にしてもらえないのかな。

 きっと、そうだ。

 私が、ダメなんだ。

 わかってる、ほんとはぜんぶわかってる。

 私がダメだから、私は、いつまでたってもこのままだ。

 このまま、だれのことも好きになれなくて、

 だれからも好きになってもらえなくて、

 私だけ、幸せになれなくて。

 運命の人なんて、いないのもわかってる。

 そうだ、私はひとりぼっちだ。

 死ぬまで、ずっとずっと……。

 ずうっと私は、ひとりぼっちなんだ!

 ぎゅうっと目をつぶって走りだす。

 すると──。

「──うわあっ!」

 道路に出てすぐ、だれかとぶつかって、おもいっきりしりもちをついた。

「す、すみませ……」

 しりもちをついたまま、見あげる。

 

 ──きれいな瞳と視線が合った。

 

第4回に続く>

【書誌情報】

1月発売予定の胸キュン新シリーズ『宇宙級初恋』!
地球でいちばんステキな男の子と、ウルトラ級にときめく初恋がはじまります!


作:水無仙丸  絵:たしろ みや

定価
814円(本体740円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046322593

紙の本を買う

 

こちらもおすすめ!

▶男女コンビが事件解決!『超一流インストール』ためしよみへゴー!

 

▼ほかにもためし読みがいっぱい!



この記事をシェアする

ページトップへ戻る