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知る・まなぶ

どっちが強い!? 記憶の島 第5話-33


 エピローグ

 ディエゴは泣きながらミーティアに抱きついている。
「ゆるしてくれるのか、こんなオレを…!」
 やがてミーティアは、その大きな体をうまく使って、ディエゴを海岸に上げた。君たちもディエゴの様子を見に岸へおりていく。
「…ミーティアがオレを助けた。だからこれ以上、オレはもう、ミーティアもほかの動物たちもきずつけない」
 地面に、ぬれた手をついてディエゴが言った。ディエゴは説得に応じたのだ。
 晴れた空に鳥のようなシルエットが近づいてきている。バタバタバタバタ…と大きなプロペラ音。救助のヘリだ!
 地震は今も続いている。
「この島は…動物たちはどうなるの?」
 島と動物たちの今後のことを思い、クレアが、だれに問いかけるでもなくつぶやいた。

 全員がヘリに乗りこむと、ホッとしたような顔のルイスが肩の力をぬいたが、すぐにジェイクにくってかかった。
「おい! ジェイク! 島がアチコチ爆発してんじゃねーか! お前何やったんだよ!?」
「オレのせいにするなよ! お前は何もしてないくせに!」
 もめるルイスとジェイクを横目に見て、君もシェリーもツッコめないほどにつかれていた。ソフィーとクレアは遠くなっていく島をずっと見つめている。
 同乗していたスミスさんがタブレットモニターをかかげた。パッとダーウィン博士が映し出される。
「ご苦労だった、諸君。島は大変なことになっているようだが、問題ない。その島が人工島で巨大なうき島だという話は聞いている。今の場所から島ごと移動させるぞ!」
「ええーーー!? そんなことができるんですか!?」
 みんなとてもおどろいた。なかなかできない発想だ。
「このわしに不可能はない!」



 この言葉がモニターから流れたと同時に、君たちの乗ったヘリの横を、ほかのヘリが数機すれちがっていった。海を見るとたくさんの船が島へと向かっている。
 きっと島はだいじょうぶだ――君は安心して目をとじた。

 ――それから数か月。
 あの島は海底火山の噴火からのがれることができた。元の場所から少しはなれたところに島を移動し、ダーウィン博士の指揮のもと、地熱発電システムの再構築をこころみた。これで、動物たちも今まで通りに暮らすことができる。
 前と変わったところは――ディエゴのやしきがあった場所に居住区が増えた。島はクレアたち環境団体が管理して、そのまま絶滅種保護の島となったのだ。
 ディエゴのその後は――まずつみのつぐないをしなければならなかった。しかし反省をしていることが伝わり、ダーウィン博士の計らいで、いつかこの島にもどってきて環境団体の手伝いをすることになっている。ミーティアのそばでくらしたい…それが彼の願いだった。

「ソフィー、ダイスキ! ダイスキ!」
「もうっ…ポポの好きなのはフルーツでしょ!」
 リゾートホテルのような居住施設で、果物をついばむポポにソフィーが言った。
 ソフィーは今、クレアとポポとこの島でくらしている。
「ホント、良かったわ。ソフィー」
 幸せそうなソフィーを遠くから見てシェリーが言った。シェリーは南国の花のかざられたフルーツジュースを飲んでいる。そこは居住区に造られたプライベートビーチだった。



「島がこんな観光地みたいになるなんてな~。悪くないぜ!」
「モグ…わるくない、ウマイ!」
 ジェイクとターゼンと、さらにメガラダピスたちが集まって一緒にフルーツを食べている。ビーチパラソルの下には、ねころぶルイス。ビーンは島の絶滅種を観察するのに夢中だ。それぞれ思い思いにすごしていた。
 リゾート気分で島を楽しむXベンチャー調査隊のメンバー。そこに――。
「…みな、訓練が足りないようじゃな! すっかりだらけおって!」
 どこからか分からないが、ダーウィン博士のどなり声が聞こえてきて、みんなひっくり返った! 島内放送が使われているようだ。
「やれやれ…。おい、新入り! 次の任務だってよ!」
 ジェイクのよぶ声に、海に入っていた君はふり返った。
「今行くー! あとジェイク、そろそろ『新入り』じゃなくて名前でよんでってば!」と、ジェイクに向かって言ってから、となりで一緒に泳いでいたミーティアたちに手をふった。
「行ってきます!」



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