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知る・まなぶ

どっちが強い!? 記憶の島 第5話-32


 銃を向けたディエゴの動きが止まった。ひどくおどろいたような表情だった。ソフィーの背後を見ると、森の動物たちが集まってきてディエゴをにらんでいたのだ!
「みんな、おこってる。ディエゴ、たおす!」



 ターゼンが言った。それを聞いて何が起こっているか君たちは理解した。もうし合わせたように、みんなサッと左右によけると、動物たちがいっせいにディエゴに飛びかかった! サイやゾウなどの大きい動物からにげても、ネズミなどの小動物がしつこくディエゴの足下を攻撃した。
「おわああ! やめてくれ! 助けてくれ! もうお前たちの自由にしていいから!」
 ディエゴはにげまどいながらあやまり続ける。ついにヘリポートのはしまで追いつめられた。君たちが見ていると、ションブルクジカがその大きく広がった角でジリジリとディエゴを海のほうへ追いやって――。
「わっ!? わああああああ!!」
「あ! ディエゴ!」
 ディエゴがさけび、クレアとシェリーも声を上げた。ディエゴが足をすべらせて海に落ちたのだ。
 バシャーン! 海に落ちる音がした。下はがけに波が打ちつける深い海。落ちたら恐らくは助からない。
「ディエゴ…死んだのか?」
 ジェイクがボソッと言った。君はゆっくりと動物たちをかき分けて、がけのほうに向かった。
「…あ、あれは――!!」
 がけの下をのぞきこんで、きみは大きな声を上げた。その声にジェイクたちも走ってくる。
 そこには――おぼれて、あばれているディエゴを取り囲んでいるミーティアたちがいた。
 ミーティアはディエゴによりそい、自分の大きな体の上にディエゴをおし上げるようにして乗せた。
「ディエゴ…ミーティア…」
 その様子を見ていたクレアが、ささやくように彼らの名をよんだ。ミーティアがディエゴの肩をだきよせ、大きなひれで包みこむ。
 それを見た動物たちは、いかりをしずめたように静かに森へもどっていった。ポポが空を高く高く飛んでいく。
「いかり…きえてく…」
 ターゼンが森に帰っていく動物たちをながめながらつぶやいた。

 君もジェイクもシェリーも。そしてソフィーとクレアも。
 動物たちのいかりが、空にすいこまれる蒸気のようにかき消えていくのを感じ取っていた――。


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