
一方ディエゴは、いくつものはくせいがかざられた自室でパソコンに向かっていた。絶滅種売買のネットワーク上で、取引先の客たちと会話している。
『中継を見たのだが…一体どうなっているんだ?』
それを聞いてディエゴは冷や汗をかいた。客たちにはふだんから島の様子を中継していたのだ。
『島には君たち以外入れないかんぺきなセキュリティーだと言っていたではないか…』
『侵入者が確認された以上、取引しているわれわれの存在が世に知られてしまう可能性がある。ディエゴ、君との取引はここで終わりだ』
『君も早く店じまいをして身をかくしたほうがいいだろう。せいぜい今までしはらってやった金をかき集めて、長生きしろよ』
客たちはそれぞれ言いたいことを言って、次々と通信を切った。
「…おれが苦労して作り上げた『金のなる島』が、あいつらのせいで――」
ディエゴはいかりでワナワナとふるえた。ドン! こぶしをテーブルにたたきつけたせいで、そばにあったワイングラスがたおれて、じゅうたんを赤くそめた。
そのころ、君たちは話し合っていた。
「このままルイスたちの救援を待ってにげることはできるけど、ソフィーのママはそれに応じるかな?」
君が言うとみんなだまった。ソフィーの母クレアはきっと、自分が守り育ててきた絶滅種を放っておけないだろう。君だってあの、あいきょうのあるステラーカイギュウのミーティアをおいてにげるのはいやだ。それにほかの動物たちだってみすてるわけにはいかない。
「やらなきゃいけないことの一つは、ディエゴたちをたおすこと。もう一つは――島の機密を記録して脱出することだ! ディエゴの犯罪を世界中にうったえることで、島の動物たちを助けられるかもしれない」
君は声に力をこめて言った。ジェイクが「おう!」とこたえて手をさし出した。シェリーが、ターゼンが、そしてソフィーがその手の上に手を重ねる。君は一番上に手をおいた。その時――。
ドガガガガガガ!!
地面をけずるようなごう音がなりひびいた。何かが君たちにせまってきている! あまりに音が大きすぎて、どこから向かってくるのか分からない。
やがて巨大な重機が君たちの前にすがたを現した。
「オマエたち! ゆるさんぞ!!」
「その声はディエゴか!」
ゴゴゴ…ッと地を鳴らし現れた重機は二つのアームの先にハサミ型のアタッチメントが装備されていて、おそろしく強そうだ。
「四脚式クローラー双腕型重機ーっ!」
アナライザーをかざしてジェイクがさけんだ。