
「交渉しよう」
君が前に出て声をかけるが、ディエゴの部下たちはニヤニヤして、まともに対応してくれない。
「交渉なんてムダさ。どうせ助からない」
不敵に笑う部下たち。女の子たちをつかまえているやつらが、彼女たちをジープに乗せようとしている。何か手段はないか――君は冷や汗をかきながら考えた。
するとそこに、
「まて! ナカマ、イジメル、だめ!」
君たちのそばの岩場からターゼンの声が聞こえてきた!
「ターゼン! 無事なのか!」
ジェイクの声が明るくなった。
「『トモダチ』、つれてきた!」
ようやくターゼンがすがたを現した…それを見て君たちはおどろく。ターゼンは大きな角を生やしたヒツジにまたがっていたのだ!
「バッドランドオオツノヒツジ! 『バッドランド』とよばれる岩山に生息していた絶滅種か!」
アナライザーの説明を読んで、ジェイクが感心した声を上げた。
ターゼンがヒツジとともに、けわしい岩場をかけ下りてきた。岩をけるたびにゴツッゴツッと重い音がひびく。ちょっとひるんだディエゴの部下の大男が気合いを入れ直してヒツジと向き合った。
大男vsオオツノヒツジ! ガツッと大男がヒツジの角をおさえる。そのままおしずもうが始まった。
「がんばれターゼン! いや、バッドランドオオツノヒツジ!」
君たちはみんな声を上げて応援した。大男のひたいや腕に血管がうき出て、顔が真っ赤になった。
「うがーーっ!!」
ターゼンと大男、どちらが大声を出したか――次の瞬間分かった。気合いのさけびで力がまさったのは、ターゼン&バッドランドオオツノヒツジのほうだ!
力負けした大男がヒツジの角に引っかけられ、遠くまで投げ出される。地面にたたきつけられるドスンという音がして、ほかの部下たちが「ひえっ…」と声にならない声を上げた。今度はヒツジがジープにねらいを定めて、頭を低くしつま先で土をけっている。人質どころではなくなったほかの部下たちは、シェリーとソフィーを解放するとジープもすててにげていった。
