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本格派参考書としての角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』


『世界の歴史』を子どもの学習に活用したい場合、適切な年齢なのか、具体的にどう読めばいいのか迷われる方もいるかもしれません。そこで『日本の歴史』を学んだ小学生から大学受験まで、それぞれの立場における活用術を、保護者や塾講師によるレビューでご紹介!
レビュアー:教育系YouTuberで個別指導塾CASTDICE塾長 小林尚

世界史が圧倒的に難しい理由

みなさんは「世界史」という科目に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。大学受験科目としての世界史は、小学生から親しんでいる日本史と比べると少しとっつきにくいイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし高校で履修し、大学受験でも選択科目として選ぶ受験生が多いことも事実です。

大学入試では、ご存知の通り歴史上の事実について詳細な知識や理解が求められます。例えば大学受験の日本史用語集では、(これらをすべて暗記するとは限りませんが)1万語以上の用語が取り上げられています。一方で世界史は5,000語強ですから「意外と楽な科目なのかな」と思ってしまう方もいるでしょう。

しかし実は真逆で、世界史の方が苦労することは多いのが事実です。用語の数だけでいえば日本史より少なく見えますが、実際は覚えることが多いというわけです。その理由は2つあり、「用語を見たことがない」、そして「時間軸と地理軸の2軸を認識しなければならない」からです。

まずは「用語を見たことがある」状態に

いきなりですが、みなさんは「モルトケ」という言葉はご存知でしょうか。おそらく世界史をしっかり学習していないと知らない言葉だと思います。答えはドイツ帝国の参謀総長、すなわち歴史上の人物名です。言われればなんてことはないのですが、世界史ではこのように「正体不明の横文字」がたくさん登場します。極端にいえばその横文字が人物か、場所か、国か、そこから用語のイメージを構築しなければなりません。

日本史であれば親しみのある言葉なので人物か場所かくらいはわかりますし、何よりも漢字は表意文字(文字の一つ一つが一定の意味を表す)のため、用語に対してイメージを作りやすいのです。

ですから世界史用語はイメージを持ちにくく、頭に残りにくい。さらにあらゆる地域を対象とするので、地域ごとの肌感覚も少ない。だから苦労する人が多いのです。そのため、世界史学習においては、まずは「その用語を見たことがある」「なんとなく聞いたことがある」状態を作る必要があるのです。

事象を2軸で捉える

次にぶつかる壁が「時間軸と地理軸の2軸を認識しなければならない」という点です。世界史は歴史ですから当然古い時代から新しい時代までをカバーしているので、時間軸が存在します。そしてあらゆる地域の事象を扱うのでもう1つ地理的な軸が存在します。例えば日本史であれば日本が明治維新の頃を学ぶ際はとにかく明治維新を細かく学べば良いのですが、世界史の場合、同時代には他の地域で何があったかを必ず確認しなければなりません。日本で明治維新が起こった頃でいうと、アメリカであれば南北戦争が起こり、アフリカではスエズ運河が開通しました。

つまり歴史を縦横2つの軸で学ばないというわけです。さもないと、世界史という科目の範囲が膨大なためすぐに迷子になってしまうのです。そのため、世界史資料集の巻末についている年表を利用しながら学ぶのが良いですが、それだけ見ていても話は進みませんし、いきなり教科書を開いても前述の通りよくわからない言葉の連続で、なかなか学習が進みにくいのも現実です。

教科書を読む前に、角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』

その際に有用となるのが、角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』です。日本史であればまんがで学習することがかなり一般的になっていますが、世界史と言われると意外に思う方もいらっしゃるでしょう。

しかし、本書は前述の世界史学習の2つの課題をうまく乗り越えられるように構成されており、世界史学習に相当有益であるといえます。また、まんがということで信頼性に疑問を持つ方もいるかもしれませんが、本書は監修に東京大学名誉教授の羽田正先生を擁しており、その点も安心して利用できるポイントです。

イメージを利用して素早く「見たことがある」状態を作る

本書はまんがですから一般的な文字ベースの教科書や参考書と比べて、当然スピーディーに世界史を眺めることが可能です。またまんがという特性上、人物の姿に対してイメージを持ちながら学習を進められる点はメリットでしょう。ただ本書にはさらにイメージを利用して素早く「見たことがある」状態を作る工夫が散りばめられています。

まず、巻頭の資料を見てみましょう。まんがの弱点としてストーリーを重視する分、教科書のように急に資料を挿入することが難しい点が挙げられますが、本書ではこういったカラーページを用意し、弱点を補強しています。




また、地図描写はより秀逸といえます。まんがの特性を生かし、さりげなくストーリーの中に地図を入れることで文字ベースで理解するのではなく、地理的かつ視覚的にイメージを持ちながら勉強できるでしょう。

例えばこちらの「ファショダ事件」は、世界史学習上非常に有名であるもののファショダはどこなのかわからずに勉強している生徒さんや、事件の背景であるイギリスの縦断政策とフランスの横断政策を地理的に曖昧なまま学習している生徒さんを見かけます。本書であればストーリー通り読み進めるだけで、事前の歴史の流れと地理的背景を理解できるのです。



受験勉強での角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』活用法

最後に、実際の受験勉強で『世界の歴史』を活用する方法を紹介します。大前提として受験勉強全てを本書のみで乗り切ることは難しいため、別途教科書や問題集、過去問に触れる必要があることは言及しておきます。とはいえ、受験勉強において一番最初にして最も時間を要する「歴史の全体像を掴む」際には、本書を活用した以下3段階のアプローチが有効です。

まず最初は『世界の歴史』を普通に読んでいきます。できれば漫然と読むのではなく、世界史資料集の年表(時代と地域の2軸で整理されているもの)を横に置いて、「今はどこの歴史を見ているのか」を明確に意識しながら読み進めてください。手元に資料集がない場合は本書にそれぞれ対象となる年表が巻頭に用意されているので安心です。きちんと時代と地域の2軸があるので、学習箇所を明確にしながら読み進めていくことができます。



1回読み終わったら、次は2回目。資料集を読みながらまんがを読み進めましょう。まんがでもかなりイメージを持つことができますが、資料集にはカラー写真という強みがありますし、まんがや教科書には載っていない情報を得ることができます。できれば人物名や事件名、国名などを意識しながら読んでおくと後々の暗記の手助けになるでしょう。

そして最後3回目は、教科書を読みながらまんがを読んでください。これまで2回読んで、相当イメージを持ちながら2軸(時間軸・地理軸)を整理できているので、それを受験勉強で利用する教科書に移植していくのです。教科書は記述もコンパクトですし、大学受験に必要な情報がうまく詰め込まれています。しかし前提知識なく読み進めると、ただの歴史用語の羅列になってしまい、非常に無味乾燥な暗記地獄に陥りがちです。本書を活用し、事前の知識が整理できた上で教科書にそのイメージを移植しながら読み進めていくことで、急激に歴史用語を整理できます。また、同じ事象でも違う切り口から情報を吸収することで多角的に用語を理解することが可能です。

受験勉強が本格化すれば、自ずと学習の中心は教科書+問題集になってきます。しかしその手前のスパイスとしてまんがを活用することで実は劇的に学習効果を高めることができます。また、受験勉強を進めていく中で苦手な分野が出てきた時には、その分野だけでも改めてこの3段階のアプローチで復習するのも非常に有効です。

小林尚
教育系YouTuber/個別指導塾CASTDICE塾長
高校・大学受験を支援する個別指導塾CASTDICEを運営。開成高校、東京大学法学部卒。『大学受験 教育系YouTuberデータブック』監修、『開成流ロジカル勉強法』執筆。YouTube(https://www.youtube.com/c/castdicetv)では大学受験の勉強法、参考書レビュー、大学選びといった受験生に役立つ情報を発信している。

 

数量限定!
『角川まんが学習シリーズ 世界の歴史 3大特典つき全20巻セット』
11月10日(水)発売!

大人気の角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』に、3大特典が付いた限定セットが登場! 数量限定生産です。
気になる3大特典の内容は…

特典1
【世界史まるみえゲーム[1929~45]】
二択問題に答えて楽しくゲームを進めるうちに、第二次世界大戦の5つの国の動きがしぜんに身につく!
特典2
【ユーラシア大冒険すごろく】
マルコ=ポーロ・イブン=バットゥータ・鄭和・天正遣欧少年使節の、13~16世紀の4組の冒険者たちのユーラシア旅行をすごろくで体験!
特典3
【世界の偉人 名セリフ付箋】
ブッダ・ルイ14世・チャーチルの名セリフが入った付箋3本セット…キミならどう使う?

※『世界の歴史』全20巻は、他のセットや単巻と同じものです。


監修:羽田 正

定価
20,900円(本体19,000円+税)
発売日
サイズ
その他
ISBN
9784041117705

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