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司書教諭志望の大学生が『世界の歴史 第15巻』を本気で読んでみた!


司書教諭志望の大学生が『世界の歴史 第15巻』を本気で読んでみた!
Reviewer 東京学芸大学教育学部4年 小松圭太(学年は執筆時。2021年卒) 

「歴史まんが」というジャンル!

 「歴史を勉強することの意味」を考えた時、どんな答えを思い浮かべますか? 過去の歴史から学ぶため、今の世界情勢を理解するため、学校で勉強するから、などなど。いろいろな意見があると思います。でも、そのハードルは高く、どこから始めればいいのか。教科書を読んでも、文字が多くてうまく入ってこない、うまく歴史の流れがつかめない。そんなあなたにこそ、この『世界の歴史』を強く強くオススメしたいです! 

知識がなくてもスッと理解できる
「横のつながり」を意識した内容

 旧来の世界史における教科書では、各国・各地域の歴史をそれぞれキリの良いところまで、といった縦に学習する構造のため、歴史的なつながりが非常に分かりづらく、「前提知識となる時代背景・状況の整理」と「歴史用語・内容の学習」という2つの学習が必要でした。子どもが覚えなくてはいけない用語が多いだけでなく、用語の整理まで求めてしまう学び方は、世界史を学ぶハードルを上げていると思います(お恥ずかしい話ですが、私も高校時代はこれがうまくできず、世界史が苦手教科でした……)。ですが、この『世界の歴史』シリーズでは、その時代を生きる架空の人物の会話などを通して、時代背景や歴史の文脈について説明し、各国の歴史的展開を挙げていく、といった形で「横のつながり」を丁寧に分かりやすく描いていました。 
 例えば、第15巻<世界恐慌と民族運動>の第3章では、世界恐慌後の世界について各国の経済復興政策を同時に描いているため、いかにして世界が第二次世界大戦へと動いたのかを分かりやすく描いています。だから世界史が苦手でも、スッと理解できる! まるでその時代にタイムトラベルをしているかのように、歴史を「実感」することができる内容になっていました。そして、だからこそ『世界の歴史』を読むと、現在の社会情勢に大きく関わっている歴史が簡単に理解できるだけでなく、「世界恐慌とリーマンショックとの似ている点はどこだろう?」といった、歴史の比較・検討もしやすくなります。「歴史学的知見と現在のニュースとを用いて物事を多角的に考える」という歴史教育の目的の1つをかなえるための力を育むことが期待できます!



教科書と歴史資料集の「いいとこ取り」な内容!

 少し専門的な話ですが、多様化・複雑化するこれからの時代を生き抜くための力として、国立教育政策研究所では「21世紀スキル」が提唱されました。その中の1つとして、「学び方の学習」が掲げられています。様々な分野で必要な知識・技能が変化する未来社会において、本当に求められる力は「学び続けることができる能力」、つまり「学び方の学習」です。学校における教育の大綱を定めている学習指導要領においても、子どもの「学びに向かう力」を育成し、そのために教師が「主体的・対話的で深い学び」を実現することが目指されています。
 そして、この『世界の歴史』はまんが以外にも登場人物の関係図やパノラマ年表が掲載されているので、まんがで学んだ歴史をさらに整理・定着させることができる、「深い学び」の実現が期待できます。また、皆さんの中に「歴史は苦手だったけど、歴史の写真資料集にある写真を眺めるのは好きだったなぁ……」という方はいらっしゃいませんか? 何を隠そう、この私もそうした子どもの1人でした。そんな皆さんの思いを汲み取るように、本書には「歴史写真館」や「世界遺産マップ」という記事が掲載されています。この記事では、巻ごとのテーマに応じた世界の偉人や当時の街の風景写真、歴史的遺産などの美しい写真など、写真資料集にも負けない内容となっています。この記事を読んだ子どもが、歴史や世界の様々な事象に対して肯定的な興味・関心を抱くことができるきっかけとなるのではないでしょうか。
 これだけではありません! まんが内で用いられる歴史用語について、監修の羽田先生が分かりやすく解説した「なるほど!納得!Q&A」も掲載されています。まんがを通して歴史を構造的に理解できるだけでなく、その学びをより深い学びにつなげ、さらに新しい歴史学習への主体的な興味・関心を引くことができる工夫がちりばめられています。まんがによって子どもたちの興味・関心を惹きつけることができる、つまり主体的な学びを促すだけでなく、子どもたちの「もっと知りたい!」という想いまでサポートすることのできる本。まさに、この『世界の歴史』が「いいとこ取り」をしているという点がオススメな理由です。



かゆいところに手が届く!
学校の授業をフォローする「文化史」の充実

 先ほど述べましたように、学校教育では主体的・対話的で深い学びを実現するために、かつての単純な知識暗記型の授業から、その知識を活かして事象を考える、という知識活用型の学力を伸ばす教育へと変化しています。ですが、実際の学校現場は教師の多忙や授業数の限度、さらに受験を背景とした暗記の必要性も相まって、歴史の学習においては重要な事件・人物の学習が重視されています。よって、美術や音楽といった「文化史」という領域は軽視され、より名称の暗記のみに終わってしまう傾向にあります。
 ですが、もし百年後にあなたがまだ生きていたとして、子どもたちに「あの時代はこんなことがあった……」と話すとしたら、何を話したいと思いますか? 新聞に載っているような、日々の政治的な内容でしょうか、世界を大きく動かしているビジネスマンや研究者に関する話でしょうか。私が話すとしたら、今現在、私たちが楽しんでいる「文化」だと思います。「あの音楽は革新的で、みんな聴いていた……」、「あの作者の本は、今までの作家にないおもしろさがあって……」「あの映画の迫力は、他の作品とは一線を画している……」などなど。 そんな文化について、単に作品の名称だけを紹介するのではなく、時代状況やそこから生まれた思想、その思想を表現した偉人とその作品など、「横のつながり」を意識した本書だからこそ、文脈の中で簡潔に説明しています。第15巻でも、1920年代のアメリカの好景気を背景として華開いた、アメリカやフランスの音楽・美術・芸能文化が描かれています。子どもに芸術や音楽などに興味を持ってもらいたい保護者の方々、今現在、歴史を勉強しているけれど、暗記だけで苦痛に感じている学生といった人にはまさにオススメできる理由です。もちろん、大人の教養として、保護者の皆様が本書を手に取って歴史を学ぶことも、子どもとの会話のきっかけになったりすることも期待できます。 
 以上の理由から、この『世界の歴史』による歴史の学習を、私は新しい学習の方法として有効だと考えます。ぜひ、皆さんも歴史まんがをお手に取ってみてください!



懐中コンパスつき!全20巻セット発売中!

世界史教育の最先端=グローバル・ヒストリーを採用した初めての歴史まんが
★最先端の歴史理解の方法を採用! 「グローバル・ヒストリー」による新構成
★さらに進化した「東大流」! 歴史の「横のつながり」をつかむ工夫が満載
★まんが4160ページの最大ボリューム!いちばんくわしい『世界の歴史』です
★どこよりも最新の情報を掲載!新型コロナウイルス感染症やブラックライヴズマターの話題まで収録

※懐中コンパスつきセットはなくなり次第終了します。


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  • 監修:羽田 正
  • 【定価】20900(本体19000円+税)
  • 【発売日】
  • 【サイズ】その他
  • 【ISBN】9784041108642

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  • 【発売日】
  • 【サイズ】四六判
  • 【ISBN】9784041054321