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『こども六法』山崎聡一郎さんインタビュー 第3回 選択する力を育てるために


大ヒット中の『こども六法』の著者、山崎聡一郎さんのお話を3回にわたってお届けしています。第3回目で最後となる今回は、今の子どもたちへ伝えたいことを語ってくださいました。「もっとみんな自由に生きたらいいんだよ」という山崎さんの思いが込められたメッセージです。
取材・文:大和田 佳世

やりたいことは1つでも多くやってみる

――これまでの回で、小学校から中学・高校・大学まで、山崎さんがどのように道を選んで来たのかをお聞きしました。これからを生きる子どもたちへ向けて、何かアドバイスはありますか?

子どもたちには、「やりたいことがあったら、1つでも多く、何でもやってみなよ」と言いたいです。その中には3日坊主で終わるものがあるかもしれないし、極めてみたいと思うものが見つかるかもしれません。やってみなければ分からないですから。むしろ心配なのは、大人が、子どもの「やりたいこと」を止めがちなことです。

――たしかに大人は、子どもによかれと思って、いろいろなことを制限したり、強制することがありますね。

大人が「よかれ」と思ってやることが、本当に子どもにとってよいことなのか、僕には疑問があります。僕の周囲の、進学校出身の友人の中には、20代後半になった今も、親との関係に悩んでいる人が少なからずいます。強制的に勉強させてその子は果たして本当にいい人生が歩めるのかという疑問はずっと感じてきました。

たとえば、僕自身は小学生のときにたくさんの偉人伝を読みましたが、ほとんどの人に共通するのは、社会的な正しさより、自分がこの謎を解明したいとか、わくわくする目の前のことを追求したいという思いの強さから物事に没入して、結果として何かを成し遂げ偉人になったというところなんですね。自己満足を深く追求していくと、いつのまにか多くの人のためになっている。「よかれ」と思って何かを犠牲にして生きるより、いっそのこと、自己満足を追求して生きてみたら?と思います。

選択する権利が子どもにはある

――大人と子どもは、それぞれお互いをどのように考えるべきなのでしょうか。

“子どもには人生を選択する力がある”と僕は思っています。“たとえ子どもでも、すべての子には自分の人生を選択する権利があり、その結果にはその子自身が責任を負うべきだ”と。この認識は、小学生の頃から持っていていいと思います。「自分で選んだことだ」という意識を持てなければ、一生、親や周囲の大人のせいにしてしまうことだってあります。
親も子どもに意見するとき、気軽に言いたくなる気持ちをぐっとおさえて、「その選択をしたときどうなると思う?」と子どもが自分で考えるようにうながしたほうがいい。
子どもと向き合う努力をしながら、子ども自身にきちんと考えさせ、結果を想像させ、子ども自身が選択する、というふうになるように神経をつかってほしいと思います。
「それはやっちゃダメだ」とビシッと言うほうが本当は楽なんですよ。でも、親に言われたから、先生に言われたから、言われたようにやっていればいいという子に育てば、将来は自分で責任もとれない、何も自力で選ぶことのできない人間になってしまいます。


オンラインインタビューに答える山崎さん(画面キャプチャより)


自分の人生は、自分のもの

――あらためて、子どもたちに伝えたいメッセージはありますか?

「自分の人生は、自分のために生きなきゃ」と言いたいです。お父さんやお母さんに言われたとおりにしているんだよ、しょうがないじゃん、と言いたい子は、きっといると思います。お父さんやお母さんのアドバイスは、人生の先輩として有益なものだから、聞いたほうがいい。けれども、やるかやらないかは、結局、自分の選択なんです。
お父さんやお母さんの言う通りにすることを、選んで、うまくいかなかったとしても、それは自分の責任です。逆に、お父さんやお母さんに言われたとおりにしないこともできます。その結果、自分のやり方でうまくいったら「やったあ!」と喜べばいいし、うまくいかなかった責任は引き受けないといけないですね。

行動は、自分で選択できる。選択する力が、すべての子どもにはあります。自分の人生は、自分のものです。

いじめの現場で、いじめる側はたいてい悪気がなかったりします。たとえば、もしも何か気に入らないことがあったからと、腹を立てて相手を殴ったり蹴ったりしたら? その子に悪気があろうがなかろうが、大人になれば「殴ったり蹴ったりする行動を選んだ」ということが重視されます。自分が選んだのだから、それによって相手がケガをした、傷ついたという結果には、その子が責任を負わなきゃいけない。いじめという行為が許されないのは、その行為をすることで人を不幸にした責任を負わなければいけないから。そして、例え被害者が先にむかつくことをしたとしても、いじめという行為を選択したという事実は正当化できず、被害者がやった「むかつくこと」とは別に非難されることになるのです。

この意識を身に着けるために子どもたちには「自由と責任」をきちんと学んでほしい。だからこそ自分の生きたいように生きればいいし、そのために大人は使うものだと思ってほしいです。
「これをやりたいんだけど、どうやったらいいと思う?」と大人にどんどん聞いてください。大人の協力が必要なら「これをやりたいから、お父さん手伝ってよ」と頼んでいいと思います。逆に、虐待する大人からは逃げていい。SOSを出せば、きっと助けてくれる人はいます。

法律には「やったらいけないこと」やペナルティがありますが、実は「やったらいけないこと」以外は、誰かの迷惑にならなければ、好きなことをやってもいいんです。自分の「選択する力」に自信と責任を持って、自分の人生を好きなように生きてほしいなと思います。

書籍情報


『こども六法』
著:山崎 聡一郎/絵:伊藤ハムスター
【定価】本体1,200円(税別)
【サイズ】A5 並製
【発売日】2019年08月
【ISBN】9784335357923
【公式HP】https://www.kodomoroppo.com/


 


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