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子育て・教育

絵本の悩みにこたえます 第1回 近藤麻智子

「どんな絵本を選んであげたらよいか分からない」
「絵本好きの子どもに育ってほしい」
など絵本に関するさまざまなお悩みに、絵本のプロがこたえます!



【近藤麻智子さんからの回答】
愛するわが子を思うからこその不安な気持ち…ママたちからよく聞きます。結論から言えば、どんな風に読んでも大丈夫!大好きなママが、家事や仕事などすべての手を止めて、こころもからだもぴったりと寄り添ってくれる。それだけで、子どもはうれしく、安心するものです。
読むときのコツをすこしお伝えするなら、「3つの間(ま)」を心がけてみませんか?

①言葉の間
②ページをめくる間
③子どもの反応を待つ間

言葉の間を意識してあなたの好きなリズムで読み、ページをめくる前にひと呼吸おいて、お子さんの反応を見ながら読み進めるのはどうでしょう。一番大切なのは、親子のコミュニケーションを楽しむこと。まずはママ自身がおおらかな気持ちで絵本を開き、いっしょに遊ぶように読めるといいですね♪

参考までに、実際の絵本を使った読み方のヒントをお伝えします。


『そんなに みないで くださいな』 作:accototo


言葉と絵のリズムが軽快で、親子で楽しくやりとりしながら遊べる絵本です。カメやウサギやピーマンなどが、見つめられた照れかくしに、かわいらしく変化! このあとどうなるのかな・・・!? 絵本の醍醐味である、ページをめくるときのワクワクする気持ちを、くり返し味わえる1冊です。 

カメのシーンから始まります。



 

「そんなに みないで くださいな」
①    言葉の間
ここは、自由に読んでOK!読み手が読んで心地よいリズムは、子どもの聞き心地のよさにもつながります。

ちなみにわたしは・・・リズミカルな文章を活かして、歌うように読むのが好きです♪ 昼間の子どもが元気いっぱいな時には、言葉の間を短くして、速いテンポで読んだり。おやすみ前には、言葉の間を長くして、ゆったりとしたテンポで読んだり。その時の子どもの様子に合わせて、読み方をいろいろ変えてみるのも楽しいですよ。子どもにとっても新鮮に聞こえるようで、喜んでくれます。

「そんなに みてると・・・」
②    ページをめくる間
「そんなに みてると・・・」と読んだあと、想像が膨らむように、すこし間を置いてから・・・サッとページをめくる!



「かくれちゃうよ ごろーん」
③    反応を待つ間
笑うかな。隅々まで絵を楽しんだかな。かたつむりもかくれちゃったの、気づくかな。何かお話ししたいことはあるかな。「ごろーん」と読んだあとは、そっと子どもの表情を見て、反応を待ってみましょう。

読み進めていくと、
スカンクがおならをするシーンがあります。



わが家ではこのページで、鼻をつまんだり手振りをつけたりしながら、親子で「くさいくさい!」と動きも加えて遊んでいます。右はしには、おならがくさくて逃げちゃうてんとうむしがいますね。この小さな変化も、さすが子どもは見逃しません! 毎回笑ってしまうツボのようです。反応を待つ間があれば、遊び方は無限にうまれます。

ちなみにわたしの息子は、この絵本を3歳で初めて読んだときに、「これたのし~い! 2さつほしい!!」と大興奮。まさかもう1冊おねだりされるなんて・・・びっくり笑ってしまった記念すべき絵本でもあります。もっと小さなお子さん・・・1歳くらいから楽しめますよ。

 

読み方に正解なんてありません。何度もくり返し読んでいくなかで、目の前にある絵本の楽しみ方を、親子いっしょに「創造」していくような、自由な気持ちが大切だと思います。読み手のこころは、必ず子どもに伝わりますから。まずはわたしたち大人自身が、楽しむゆとりを持てるといいですね。

また大人は、ついつい文章ばかりを目で追ってしまいますが、子どもは絵をよく見ています。大人が気づかなかった面白さを教えてもらうこともたくさん! いつだって、絵本のよき案内人は子どもなのです。すてきな発見を、親が素直に驚いたり喜んだりすると、子どももうれしいもの。絵本を通して、お互いがじんわり満たされていく・・・そんなかけがえのない豊かな時間がうまれることも、絵本のある子育ての大きな魅力ではないでしょうか。



 


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