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【レビュー】動物たちがくしゃみをするたび、何かが起こる!? 子どもも大人も一緒になって笑っちゃう、読み聞かせにぴったりの絵本『はっはっはくしょーん』

いたずら好きのくしゃむしくんが鼻先に止まると……絶妙の3ステップ

とてもシンプルな内容なのに、子どもが驚くほど笑ってくれる絵本というのがあります。何度も読んで、内容はわかっているはずなのに、毎回飽きずに楽しんでくれる。これって、親にとってはものすごくありがたいことなんですよね。
わが家の息子が3歳のときに出会った『はっはっはくしょーん』がまさにそんな本でした。




まず「いたずらずきのくしゃむしくん」というのが最初のお気に入りポイント。読み聞かせをしながら息子の横顔をうかがうと、まるでくしゃむしくんのように、ニヤニヤ(ニコニコ?)しつつ、いたずらを隠しているような顔で絵本をながめています。

くしゃむしくんが「ぶーーーん」と飛んでいき、動物たちの鼻先にとまると、動物たちが「はっはっはっ」とくしゃみしそうになり、がまんできずに「はくしょーん!」と思いっきりくしゃみをするのですが……。このくしゃみのときにとんでもないことが起こるのです!



たとえばカメの甲羅が飛んだり、キリンの首が縮んだり……。子どもはここで大笑い。「飛んでっちゃったよ」とか、「なんで縮んでるのー!」とツッコミを入れながら、おかしな動物の姿に笑います。
親ももちろん、一緒にニヤニヤ。初めて読んだときももちろん笑いましたが、何度読んでもおもしろい……。だって、動物が目を丸くしてくしゃむしくんを見つめる顔、がまんする顔、くしゃみの瞬間の表情……この3ステップが、たまらなく絶妙な空気を漂わせているんですから。

ちなみに息子のお気に入りはゾウとライオン。「ゾウさん、おはなが長——くなっちゃった」とケタケタ笑いながら、「だってかわいいんだもん。だから好き」とお気に入りです。




ライオンは表紙になってるくらいですからもちろん大人気のページ……いったいどうなってしまうのか、ぜひ絵本でたしかめてください!

「ああ、楽しかった」と笑顔で本を閉じる

『はっはっはくしょーん』は、全国の協力幼稚園・保育園に読み聞かせテストをしてもらいながら、絵本作家ユニット、たあ先生(あいはらひろゆき・ちゅうがんじたかむ)が手がけた絵本です。
文を担当されたあいはらひろゆきさんは、映画やTVアニメにもなっている人気シリーズ「くまのがっこう」の作者。絵を描かれたちゅうがんじたかむさんは、今作が絵本デビュー作となる新進アーティスト。

ちゅうがんじさんがあいはらさんの似顔絵を描いたことがあり、あいはらさんが本のアイディアを思いついたときに、ちゅうがんじさんに声をかけて、その味のある絵を気に入ったことから、ふたりでの絵本づくりが実現したのだそう。

アンケート協力などで本づくりに関わった幼稚園・保育園の子どもたちの数は全国で1000人にものぼり、子どもたちの意見を反映して、描く動物や場面を決めていったとか。なるほど、すべてがツボを押さえたように、笑える絵になっているのも納得です。



シンプルな展開にもかかわらず、くりかえし笑って大満足できる理由は、ちゅうがんじさんの絵の力、あいはらさんのリズムよい文の力ももちろんなのですが、個人的には“終わり方がとてもハッピーなこと”も大きな理由だと思っています。

さんざん動物たちにくしゃみをさせたくしゃむしくんが、最後に「ああ たのしかった」と笑顔で花にとまる姿が描かれるのですが……。「ああ たのしかった」と読んで、「おしまい」と絵本を閉じるときのハッピーな空気が、私たち親子にとっては、本当にかけがえのないものでした。

寝る前、1日のあれこれで疲れ果て「もう本は読みたくない~、今日は1冊だけ!」とママが言いたくなる日でも、息子がさんざんぐずって泣いて機嫌を損ねた後でも『はっはっはくしょーん』は短くてすぐに読めるし、親子でひと笑いして互いの気持ちを立ち直らせ「ああ たのしかった」「きょうもいい日だったね」と笑顔で読み終えられる“お役立ち”の本だったのです。

息子も毎回「ああ たのしかった」「おしまい」と閉じれば、楽しさが絵本の中に閉じ込められ、また読みたい、また同じ楽しさを味わいたい、とくりかえし開きたくなるようでした。

幼い息子と一緒に笑いあえるかけがえのない時間をくれたもの、それが「くしゃみ」であり『はっはっはくしょーん』の絵本だったこと。絵本に助けられるってこういうことか、だから読み聞かせはやめられないよね、とあらためて思う1冊なのです。

本の詳細はコチラ!


作:たあ先生 文:あいはら ひろゆき 絵:ちゅうがんじ たかむ

定価
本体980円(税別)
発売日
サイズ
その他
ISBN
9784041084595

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