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【レビュー】イケメンたちが命がけで教えてくれた勉強が面白くなるコツって?

 「……こんなもの、いらないッ!」
 ゴミ捨て場に、教科書を力いっぱい投げつける、かなり過激なシーンから物語はスタートする。主人公は、小学5年生の女の子、花丸 円(はなまる まどか)。名前はハナマルとまん丸の円でも、そのテストの点数はというと、社会15点、国語18点、理科16点、算数ときたら7点というサイアクなもの。いくら何でも、ひどすぎる成績だけれど、円も努力をしていないわけじゃない。捨ててしまった教科書も、くりかえしめくったせいで、どのページもボロボロになっているくらい。
 成績が上がらなくても努力を続けられたのは、大好きなママが「いつも勉強がんばってえらいね!」とほめてくれたから。でも、ママはとつぜん、天国へいってしまった。
もうどうだっていい、もう勉強なんてしない! と心をとざす円の前にあらわれたのが、同じ小学5年生の転校生“科目男子”たちだった。国語カンジ、算数ケイ、理科ヒカル、社会レキ、どの男子も個性的なイケメンぞろいで、女子たちは大さわぎ。
 むずかしい言葉も、わかりやすい表現で教えてくれる、本好きで頼りがいのある、国語カンジ。クールでぶっきらぼうだけど、ときどき見せる優しさに胸がキュンとしちゃう、算数ケイ(私の推しメン!)。なぜか頭にカメレオンを乗せている、動物や植物と仲良しの理科ヒカル。おしゃれで背が高くて女の子に親切で、地理や歴史にくわしい、正統派モテ男子の社会レキ。でも実は、科目男子たちは、円が捨てた教科書の化身で、その寿命は、円のテストの点数にかかっていた! 成績アップしないと、科目男子たちが消えてしまう!? 科目男子たちと一緒に、勉強に本気で取り組みながら、本音で気持ちをぶつけ合ううちに、いつしかママを失った円の心も、少しずつほどけてきて……。
科目男子の寿命は、円のテストの点数で決まる。一番ヤバイのが、7点で7日の寿命しかない算数ケイ。1週間後のテストで、円はいい点が取れるのか? 

 成績アップのために、国語、算数、理科、社会、それぞれの科目男子たちが、マンツーマンで家庭教師役をしてくれるのだが、おもしろいのがその勉強法だ。どうやって勉強していいのかがわからない、自分がどこがわからないのかさえわからない、勉強ニガテな人あるあるの状態になっている円に、興味が持てそうなところからアプローチしていく。
例えば国語なら、漢字を覚えるゴロ合わせ。社会は、お買いものデートをしながら食材の産地を調べて、理科はピクニックでお花を摘みながら植物のことを知る。
 さらに、勉強ギライの円は、勉強中に「森の仲間たちとおいしいプリンを食べるの〜〜〜、ウフフフフフ」と、森の動物たちとお茶会をする妄想で現実逃避する、ちょっとあぶないクセがあるのだが、それを知った科目男子たちが、森の仲間たちとプリンをもとにした問題を作って、円に寄り添ってくれるのもいい。

 私も算数がとってもニガテだったので、円の気持ちはよくわかる。最初に、算数ケイに「このプリントを、全部やれ!」と、無理やり計算問題ばかりやらされて、「少数のかけ算? 立方体の体積の求め方の公式??? そんなのわからない!」とさらに算数が嫌いになるシーンがあるのだが、「そうだそうだ! 算数がニガテなのに、計算問題ばっかりやらされても、できるようになるわけないよ!」と、小学生だった自分を重ね合わせてしまった。
 一番ニガテな算数も、大きなバケツサイズのプリンを、どうやって森の仲間たちと分けるのか? と考えると、親しみがわいてくる。むずかしい公式を使わなくても、プリンはちゃんと6等分できる! 算数は、公式ばかりを丸暗記させるのではなく、こういう身近な切り口からはじめたら興味を持てるのに! 覚えるのがむずかしい九九の九の段にも、自分の手を使ってわかる裏技があって、これも実際にやってみると、目からウロコでおもしろい。算数以外にも、物語の途中でいろいろな問題が出てくるので、円になった気分で解いてみると楽しめる。
 さて、1週間の勉強ウィークを乗り切って、勉強が少し好きになった円のテストの結果はいかに……? 

市川 椿

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