紙に色水がぽとり。
表紙をめくると、「ぽとり」と、音がきこえてくるような。そんなはじまり。
美味しそうな(?)こっくりとした黄色の色水が白い紙に「ぽとり」
静かな始まりから、次にページをめくると・・・
「あ・・・」
絵本の本文に
あっ
たいよう
と、続くのですが、ページをめくってから自分の中にくる「あ」と、絵本の「あっ」が重なる心地よさがきます。
あの「ぽとり」は、たいようだったのか!
パッとひらいた色水に、「ふーってしたら、こうなるのか!」と、発見したような気もしてしまうのです。
次にページをめくると
あ、緑の色水が増えてる。
ここも、「ぽとぽとぽとり」
緑の色水のぽとりの数々がテンポよく続きます。
次は何が来るんだろう・・・・。
静かなぽとりがきて、ふーってしたら・・・
あっ、わあ!
おおお。
なるほどー。
こう来るのかー!
まさかのー!
おおおおおお!
わああああああああああ!!
こんな感じで続いていきます。
最初のたいようにも秘密があるのが私の好きなところの一つです。
2020年の夏、ニジノ絵本屋のお店で、絵本『ふーってして』の原画展を開催しました。
私は個人的に肺の病気があるので、この夏、外に出ることができませんでした。
私のように、体調を含め、色々な事情があり、外に出にくかった人は、大人だけであっても、お子さんのいるご家庭であっても多かったのではないかと思っています。
少なからず、今年は例年とは違う夏をみなさん過ごしたのではないでしょうか?
私たちの生活には、パソコンやスマホがあるので、自宅から外に出られなくても、LINEやzoomで仕事はできるし家族ともテレビ電話で話せます。
友人とも、今までよりSNSで連絡を取るようになりました。
ただ、自宅での娯楽は、やはりデジタルに依存したものが多いのが現状です。
漫画も電子版で読めますし、Netflixもパソコンでみられる。ゲームもプレステやスイッチなどなど、、みなさんもデジタルなもので過ごしていることが多くないですか?
たまに、アナログなものを・・・
と、思うと、絵本は目も心も頭も休めてくれつつ、楽しさをくれるなあ。と、感じていました。
絵本『ふーってして』の最後に「ふーってしてみよう!」というページがあります。
絵本を読んだ後に、実際に、自分たちでも「ふーってして」みることができるのです。
私は、8月に『ふーってして』のワークショップを作者の松田奈那子さんとオンラインでご一緒させていただきました。
絵本に出てくる「ふーってして」以外の「ふーってして」を見たのです。
(うちわにふーってするワークショップでした)
ワークショップがスタートし、絵本の中のお花畑のシーンに近いような雰囲気のうちわになるかな?と、パソコンの画面越しに子供たちを見ていました。
子供たち一人ひとりが「ふーってして」出来上がった、色とりどりの色水が咲いた形を見た時に、もちろんお花にも見えたのですが、たくさんの色とりどりの花火が打ちあがっているように見えたのです。
(もちろん、うちわという夏っぽいアイテムだからというのもあるかもしれませんが)
ああ。こんなに様々なカラフルが身近に作れるのは、なんて楽しいことなんだろう。と、思いました。
花火大会も中止になっていた今年の夏、予告なしに打ちあがった花火のニュースは目にしていましたが、自分たちで表現できる花火も素敵なものだなぁと、今、思い出してもしみじみしてしまいます。
SNSで「#ふーってして」を見てみてください。
みんなのたくさんの「ふーってして」がみられますよ。
色水の色を変えても雰囲気が変わります。
色画用紙でやってみてもきっと素敵です。
デジタルなものから少し離れたい大人にもぴったりの『ふーってして』。
色水が「ぽとり」と、紙の上に落ちてから、ストローで、息を吹きかけて動く、色水。
リアルに色水の動きを想像できます。色水が落ちる音、息を吹きかける音、水が紙のうえを動く音、いろんな音が聞こえてきそうな絵本でとても新鮮です。
ここからまた冬になりインフルエンザの心配もプラスされます。
例年よりもおうちで過ごす時間が長くなる冬から春になると思います。
絵本から親子で一緒に実体験につながるストーリー。
ぜひ、ご自宅で大人も子供もみんなで楽しんでみてください!
『ふーってして』クリスマスカードとか作ってみるのどうですか?
オリジナルの素敵なカードが作れると思います!
お正月にコタツに入って、トランプやすごろく、カルタ、福笑い、その中に『ふーってして』をやっている、色々なご家庭の様子が思い浮かんでしまいました!
絵本の最後のこのページに、私は、この2020年の日々を想い「いちにちも早くみんなで集まれますように」と、いつも願い事をしてしまいそうになります。