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プロに聞く!楽しいランドセル選びのコツとは? 色柄、素材、スケジュールなどを大公開


子育て中の多くのママ・パパが小学生のころは、ランドセルといえば女の子が赤、男の子が黒でした。ところが、2000年代に入ると、赤黒以外のランドセルが登場し、今では装飾が凝ったもの、有名アパレルブランドがデザインしたものなど、さまざまなランドセルが売られるようになりました。
一方で、受注生産や限定モデルのランドセルもあるため、欲しいランドセルを手に入れるためには情報収集が欠かせません。ランドセル購入のための活動を指して「ラン活」という造語も生まれています。

価格帯も色柄も、メーカーもさまざまなランドセルの中から、どんなランドセルを選んだらよいのでしょうか? ランドセルを選ぶ際に知っておきたい情報の発信や、良質なランドセルの販売を行う「ランドセルナビ」の代表、槙田美規さんにランドセルの選び方を教えてもらいました。

★選び方のポイント
★色柄について
★重さについて
★大きさ・形について
★素材について
★価格について
★スケジュールについて


ランドセル選びのポイント

6年間の保証期間はマスト。国内メーカーのものが安心

Q:ランドセルを選ぶ時、最初にどの点に気をつけるべき?

槙田さん(以下同):まず、6年間の修理保証がついているものを選んでほしいです。基準を満たしているものはランドセル工業会の『ランドセル認定証』がついていたり、メーカー独自で6年間の修理対応をしていたりします。自然、大半が日本製のものになりますね。



※資料:ランドセル工業会より

Q:海外製ランドセルというのはよくない?

箱型の背負式バッグである“ランドセル”は日本独自の文化です。子どもが6年間一つのカバンを使い続けるというのは特殊なことで、そのために各ランドセルメーカーはさまざまなノウハウを蓄積してきました。そのため、そういったノウハウのない海外製ランドセルが果たして日本製と同じ耐久性・安全性を満たしているかは疑問です。逆に、6年間修理保証がついているものであれば、機能的にどれを選んでも遜色はないと思います。修理保証がついているのは、壊れても安心ではなく、よっぽどのことがない限り6年間壊れないように作られているということなんです。

 

ランドセルの色柄

子どもが好きな色柄を選ぶのが一番!

Q:「天使のはね」ランドセルで知られるランドセルの大手メーカー「セイバン」では、2024年度向けのランドセルとして全30カラー、全175製品を展開。さまざまな色柄があるとき、まずは何を一番に考えたらよい?

きちんとしたメーカーのものであるなら機能的にはどれを選んでも間違いはないです。色柄に関しては子どもの好みが最優先なのではないでしょうか。ただ、男女によって人気の色というのはそれぞれあります。
女の子だと赤、ピンク、パープル、水色、キャメルが5大人気色です。2023年度でついにパープルが一番の人気色になりました。パステルカラーが総じて好まれますね。おそらくですが、ラプンツェルやエルサといったディズニープリンセスや『すみっコぐらし』の影響もあるのではないかと思います。
対して男の子は半数以上が黒です。ただ、最近は青や紺色も台頭してきました。稲妻の刺繍が入ったいわゆる“男の子らしい”モチーフが入ったものが好まれています。

  • 男の子

  • 女の子

※資料:ランドセルナビより


Q:パステルカラーのような淡い色は汚れが目立つ?

今のランドセルは汚れ防止の樹脂加工がされていますから、淡い色でも汚れが目立つということはまずないです。なので、お子さんの好きな色を選ばせてあげるのがいいのではないでしょうか。


Q:男の子は圧倒的に黒・青が多い。例えば男の子が女の子に人気のピンクなどのパステルカラーを選んだりすると、学校でからかわれて嫌な思いをするのではないかと心配する保護者の方もいるのでは?

親御さんが思っているほど、ランドセルの色でからかわれるということはないと思います。ただ、その可能性がまったくないとは言えません。ですが親御さんが、お子さんが自分の好きな色を選べたことに対して、最後まで味方してあげればいいんじゃないでしょうか。好きな色柄があるというのも大事な個性だと思います。

Q:子どもが選んだデザインが大人から見ると可愛らしすぎると映り、もっと大人っぽいものを選ぶように言われたという話も…。

色柄にこだわりがある子に対して、子ども本人に好きな色を選ばせてあげないのは、のちのちの“恨み”になることがあります。
ランドセルナビで現役東大生にアンケートをとったことがありますが、『自分の好きな色のランドセルを使わせてもらえなかった』と悲しい思い出になってしまっている回答もありました。


学年が上がっていって、可愛らしいデザインのランドセルを子ども本人が“ダサい”と感じて嫌がることはあるかもしれません。でも、『あなたが選んだのよ』と言えばそれですむことです。それよりも、『自分で選べなかった』と恨みになってしまうことのほうがずっと問題だと思います。
一番よくないのは、子どもに『ここから選んでいいよ』と言っておいて結局それを選ばせないということです。展示会である男の子が、男の子らしいデザインのランドセルを指して、『これがいい』と親御さんにずっとお願いをしているのに、親御さんがそれを無視して別の製品を見ているという光景を見たことがあります。そうなってしまうくらいなら、子どもに最初から大人の選んでほしいランドセルだけを見せるようにしてほしいですね。





ランドセルの重さ

「軽ければいい」はちょっと違う!軽く感じさせる工夫があるものがベスト

Q:小学生の荷物が重すぎるというニュースも話題に。ランドセルは軽量なものを選んだほうがよい?

1000グラム以下の軽量モデルもありますが、多くのランドセルは1100〜1500グラムです。6年間安全に使っていくためにはある程度の重さにはなってしまいます。
近ごろはナイロン製のランドセル型バックパックも話題ですが、耐久性を出そうとすると800〜900グラムくらいにはなってしまいます。革製のランドセルと500グラムの差があったとして、結局これは教科書2冊分くらいにしかなりません。
そのため、ランドセルの重さをどうこうするよりも、中身を軽くするほうがいいと思っています。ランドセルで見るべきは、荷物を軽く感じさせる工夫があるかどうかです。


Q:荷物を軽く感じさせる工夫とは?

登山家のバックパックを想像してみてください。重さを感じさせないように背負うには、重心は高く、背中にフィットしていることが大事です。
肩ベルトがランドセル本体についているところに、注目してみましょう。昔からあるランドセルは簡単な金具で肩ベルトがついていて、そのため肩ベルトは根元から下を向いています。 
しかし、今主流のランドセルは、肩ベルトの付け根からベルトが上に立ち上がっています。「立ち上がり背カン」というパーツがついているためですが、このことによって、子どもが意識しないで背負っても、ランドセルの重心が高くなり、かつ背中にピッタリと密着しやすくなります。 
そのため同じ重さを背負っても体感重量が軽くなり、体への負担も軽減されます。こうした工夫が、最近出てきたランドセル型バックパックにはまだないようです。


背カンが立ち上がっているタイプ(左)がよい



ランドセルの大きさ・形

Q:大きさの種類は?

現在のランドセルは“A4フラットファイル対応サイズ”が主流です。一昔前は“A4クリアファイル対応サイズ”が主流でしたが、教科書の大型化にともなって、ランドセルのサイズも大きくなっていきました。
昔よりも大きくなっている教科書などを考えるとA4フラットファイル対応サイズがよいのではないでしょうか。ランドセルの仕様を見ると書いてありますのでチェックしてみてください。


Q:どんな形がある?

ランドセルの蓋が“全カブセ”のものと、“半カブセ”のものがあります。今は、全カブセが主流ですが、半カブセのものだと、ランドセル本体を立てたまま開けられるという利点があります。
あとは、ランドセル本体の種類としては、“学習院型”と“キューブ型”とあります。学習院型はランドセルの背当てと横のメインポケットを縫いあわせた出っ張りがあるもので、こちらが一般的です。最近増えている“キューブ型”はこのヘリがないためすっきりとコンパクトな作りになります。以前は耐久性が劣ると言われていたのですが、今ではその心配はありません。



※資料:ランドセルナビより


ランドセルの素材

人工皮革は傷や水濡れに強く、天然皮革は風合いが魅力

Q:ランドセルの素材にはどんなものがある?

“クラリーノ”や“ベルバイオ”といった人工皮革のものと、動物の革を使った天然皮革のものがあります。昔は人工皮革の品質が良くありませんでしたが、今はそんなことはありません。クラリーノをはじめとした人工皮革は傷がつきにくく、水濡れにも強いです。天然皮革よりも軽いという利点もあります。

一方、天然皮革は耐久年数が人工皮革より圧倒的に長いです。人工皮革の場合、素材メーカーが保証する耐久性は10年前後と言われています。なので、将来的にメモリアルランドセルを作りたいということであれば、天然皮革のものがおすすめです。
それからなんといっても天然皮革はその風合いが魅力。特に、“革のダイヤモンド”とも言われる、馬のお尻の革であるコードバンで作られたランドセルは見惚れるほど。でも、子どもには風合いってなかなかわからないものです(笑)


Q:素材で避けたほうがいいものは?

ネットで安価なものだと“人工皮革”としか書いてないことがあります。こういったものはどのレベルの人工皮革を使っているのかわからないので、おすすめできません。

Q:6年間という長い期間使うランドセル。素材の違いによって傷がつきやすさに違いが出る?

傷が心配な場合は“クラリーノタフロック”という素材がおすすめです。クラリーノは傷つきにくく、水にも強い人工皮革ですが、それをさらに強くしたものです。ちょっとやそっとでは傷がつきません。でも、傷があってもいいんじゃないでしょうか、傷も6年生まで背負った歴史ですよ。

 

ランドセルの価格

5〜7万円代が主流。アウトレットやセールを利用する手も

Q:これだけランドセルの種類が増えたということは、値段の幅もさまざま?

20万円超の高価なものもありますが、中心価格としては5〜7万円ですね。
この価格差はどこで生じるかというと、手間の差、それからブランドの差ですね。例えば人気のアパレルブランドのランドセルになるとそれだけ高くなります。ランドセルに限った話ではないですが、刺繍がついたり、細工があったり、材質が高価ならそれだけ高くなります。
さまざまな事情から以前よりも中心価格帯が上がっていますが、購入費を負担するのが祖父母のケースが多いことなど、ご祝儀としての側面があるのも大きいかもしれません。


Q:5万円はご家庭によっては、厳しい金額と感じるかもしれません。

そういった場合は、早期割引やアウトレットを利用する方法があります。色柄やメーカーが限られてしまいますが、夏以降にアウトレット商品が出てきて、半額ぐらいにはなります。
ネットで素材や作りに不安がある海外製のものを買うなら、きちんとした国内メーカーのアウトレット品を選ぶほうがよいでしょう。

ランドセル選びのスケジュール

ランドセルは小学校入学の4月にあればよいものですが、商戦のスタートはなんと1年以上前。ランドセルの多くは受注生産のため、年中さんの冬ころから注文受付を開始するメーカーもあります。

Q:最初から欲しいブランドやモデルがわかっていれば、そのブランドの販売状況をチェックすればいいが、そうではない場合、なにをすればよい?

お子さんが通う小学生がどんなランドセルを背負っているのか見に行くことをおすすめします。多くの親御さんにとって、現在のランドセルのバリエーションの豊富さは珍しいもの。今の小学生がどんなランドセルを選んでいるのか、実際に見ることでどんな色が人気なのか、自分の子どもにどんなランドセルを背負ってほしいのか、イメージがわいてくるのではないでしょうか。

Q:子どもにランドセルを背負わせてみたい、販売されるモデルを実際に見てみたい場合は?

常設のお店に行くか、多くのメーカーでは展示会を開催しているので、そちらに行くのがいいでしょう。展示会は1社だけのものもあれば、合同展示会といって複数メーカーが集まっていることもあります。展示会は冬から夏前にかけて開催されています。

Q:人気のモデルが売り切れてしまうのはいつごろ?

限定モデルや人気モデルで完売が出てくるのは5〜7月ころです。また、早期注文割引期間を設定しているメーカーの場合、9月ころが終了目安時期です。なので、夏くらいまでに購入をすませる方が多いようです。とはいえ、アウトレットやセールが始まるのが11月ころで、色柄やメーカーに限りはありますがお手ごろな価格で購入ができます。ランドセル商戦が早まることで、早く購入しなければとプレッシャーに感じてしまうかもしれませんが、入学1ヶ月前でも“6年間信頼して使えるランドセル”は購入可能です。




Q:現物を見た方がいい?

信頼のおける国内メーカーのランドセルなら、ネットだけで見て買っても問題はないと思います。ただし、標準体型よりも小柄なお子さんの場合は、実際に背負ってみたほうが安心です。モデルによっては体に合わないということがあるかもしれません。
肩幅が狭いとどうしてもランドセルがずれやすいということがあります。どうしてもずれてしまう場合は、肩ベルトを胸の前で固定させるチェストベルトを購入するのがおすすめです。
個人的には、ランドセル商戦が早くなっていくのはよくないと思っています。子どもって1年で随分成長しますよね。体が小さくて合わないと思っていたモデルも、入学直前にはフィットするということもありえます。


身体的な面だけではなく、心の面でも、あまりにも早くランドセルを購入してしまうと、子どもの好みが変わってしまったり、どんなランドセルを選んだのか忘れてしまったりなどの問題が出てくることも。子どもの成長具合もランドセル購入時期の目安にするとよいようです。





小学校入学という節目を祝うランドセル。一番は子どものために

小学生にはランドセルというイメージがありますが、そもそもランドセルを背負わなければならないという決まりはありません。6年通して使わなければならないということもないので、途中で買い替えてもいいのです。それでも多くの人が6年間同じランドセルを背負うことを選択するのは、ランドセルが「親子、祖父母をワクワクさせ、ご祝儀のようなものになったのでは」と槙田さん。そして同時に「購入前まではあれこれ考えたりするものですが、入学以降は、あって当たり前のものになって話題に上ることもなくなります。ランドセルは縁の下の力持ち的な存在になっていくものなんです」と話してくれました。

選択肢が多く、高額のため大人の都合や好みを優先したくなってしまいますが、槙田さんのお話からは「子どもが気に入るものが一番」というのがわかりました。小学校入学という一大イベントを親子で気持ちよく迎えるためにも、まずはお子さんの話にじっくり耳を傾けてみるのがよさそうです。
 



株式会社エデュスタイル代表取締役
槙田美規

東京都出身。株式会社エデュスタイルを設立し、長年構想を練ってきた教育プラットフォームのスタートアップとして、ランドセルの情報提供と販売を目的とした「ランドセルナビ」を立ち上げる。子どもに関連するさまざまな情報やモノは、あくまでも信頼性が第一と考えて事業を展開している。ランドセルナビではコンテンツの執筆も手がけている。


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