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歴史が苦手な子どもや学び直しをしたい大人にぜひ読んでほしい! 『世界の歴史 別巻 まるわかり地域史』の発売を記念し、監修者・羽田正先生に“世界史が興味深くなる話”を聞きました!


2021年2月の発売以来、累計135万部を突破した角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』(全20巻)から、初めての別巻が登場!「地域史ダイジェスト」で、古代から現代までの重要な項目を一気に学べる『世界の歴史 別巻 まるわかり地域史』が、2022年6月29日に発売されます。本編まんがが全20巻で同時代に世界各地で起こった出来事を語る「横の歴史」に対し、この別巻は地域の歴史を年代順に語る「縦の歴史」で構成しています。この「横の歴史」と「縦の歴史」を組み合わせた歴史理解の方法が、世界史教育の最先端「グローバル・ヒストリー」です。
ここでは、別巻の見どころ、そして本編まんがと組み合わせての勉強活用術などについて、監修を務めた東京大学名誉教授の羽田正先生にお話を伺いました。

取材・文=河合哲治郎 撮影=ヨメルバ編集部

古代から現代まで“世界史の教科書”をわかりやすくまとめたらこうなった! 

本編まんがを刊行した当初から、角川まんが学習シリーズ編集部では「教科書の内容、つまり縦の歴史をわかりやすく学べる本が作れないか?」という意見が出ていたそうです。羽田先生と相談する中で生まれたのが、この『世界の歴史 別巻 まるわかり地域史』です。
本編まんがで描かれているのは、近年、世界史学習で重要視されている「横の歴史」です。この「横の歴史」をより理解するために必要なのが、学校の教科書で取り入れられている地域史や各国史といった「縦の歴史」です。「横の歴史」の理解を助けてくれる1冊として別巻の制作がスタートしました。

「中学・高校の授業で世界史を学ぶ際、過去から時系列をたどっていく学習方法が取られています。別巻はまさにそれと同じ正統派のスタイルです。しかし教科書のような無味乾燥なものとは異なり、ストーリー仕立てになっていて、古代から現代までの歴史の流れを一気に知ることができます。かつイラストもたくさん交えていて、面白く歴史が学べます」(羽田先生)

時系列と並び、別巻のもう一つの特徴は、国別ではなく5つの地域別に分かれているところ。第1章は「東・北・中央アジア」、第2章は「南・東南アジア」、第3章は「西アジア・アフリカ」、第4章は「ヨーロッパ」、そして第5章は「アメリカ・オセアニア」という順番になっています。


『世界の歴史 別巻 まるわかり地域史』について語る羽田先生


「我々は日本人なので、自分たちに近い地域の歴史から学んだほうが身近に感じると思い、この順番にしました。しかし必ずしも第1章から読まなければいけないということはありません。自分の興味がある地域から読んでいただいて構いません」(羽田先生)

「なんでも! 世界の歴史ベスト3」など子どもの興味を引く仕掛けが満載!

『世界の歴史 別巻 まるわかり地域史』には、子どもたちに世界史へ興味を持ってもらえるよう、さまざまな仕掛けがちりばめられています。その一つが巻頭カラーページの「比べる世界の歴史図鑑」。世界各地の文字や時計、建築物、王冠、ゲームなどを、図鑑形式で一堂に並べて紹介しています。


「比べる世界の歴史図鑑」


「これは子どもたちにまず世界史って楽しいというイメージを持ってもらうために設けました。例えば、時計のページでは、現代のスマートウォッチも入れています。歴史は過去のことだけだと思われている方が多いですが、実は現代に密接につながっています。写真を見てそのことを身近に感じてもらえたらうれしいですね」(羽田先生)

また、巻末の「なんでも! 世界の歴史ベスト3」も子どもたちの興味を引く内容になっています。世界の歴史的な人物を「永遠のライバルベスト3」「学級委員になってほしいベスト3」などユニークな視点でランキング形式にして取り上げています。


「なんでも! 世界の歴史ベスト3」


「これは編集部が考えた独自のランキングなんですが、なかなか面白いですよ。例えば『ネコチャン大好き!!ベスト3』なんて、私では思い付かない発想。そういう意味では私も勉強させてもらいました。人選がヨーロッパに偏ったり男性中心になったりしないように配慮しました」(羽田先生)

最新の世界情勢を理解するには…?

本書のメインである5つの「地域史ダイジェスト」では、可能な限り最新情勢までカバーしています。2020年にアメリカで広まった「Black Lives Matter運動」(黒人に対する人種差別への抗議運動)、さらには今現在起こっているロシアによるウクライナ侵攻などについても触れています。このように世界史を学ぶことは、現代の平和について考えるきっかけになると先生はおっしゃいます。

「まさにウクライナ侵攻がそうですが、現在我々が置かれる状況を理解することが大切です。なぜこのような状況になっているのか? あるいは我々が今このように思っているのはなぜなのか? それらの答えは過去の歴史の中にあります。過去にあった出来事を暗記するために学ぶのではなく、その出来事の結果、現代にどんな影響を及ぼしているのかを考えることが、世界史を学ぶうえで最も大切なことだと思います」(羽田先生)


歴史を学ぶことの大切さ、そのポイントを語る羽田先生


では、子どもたちに世界史に興味を持ってもらうための早道はありますか?

「これは私の体験談ですが、歴史的な出来事を1人の人物の話として捉えるとすごく面白くなると思います。それは王様の話でもいいですし、皇帝の話でもいいです。1人の人物が苦労しながら生きていき、時には笑ったり、泣いたり、人を愛したりして、何かを成し遂げました。そういうことを知ると身近に感じられますし、その人物と比べて、自分はいかに恵まれているのか、恵まれていないのか、あるいは何が足りないのかなどを考えるきっかけになると思います。」(羽田先生)

「1人の人物の話を深く知る」という意味では、角川まんが学習シリーズ『まんが人物伝』も最適です。現在発売中の24冊(2022年6月29日現在)の中から、先生におすすめを選んでもらいました。
 


角川まんが学習シリーズ『まんが人物伝』を選ぶ羽田先生


「2024年より千円札に起用される『北里柴三郎』はまだあまり知られていませんが、相当立派な人物ですよ。あとは『島 秀雄 新幹線をつくった男』や『ウォルト・ディズニー』なんかもいいと思います。その人たちの生涯を知って、現在の社会にどういう影響を与えているのかを紐づけて考えてみてほしいですね」(羽田先生)
⇒角川まんが学習シリーズ『まんが人物伝』は▶コチラ

「グローバル・ヒストリー」という視点

ここからは羽田先生ご自身のお話を伺いました。世界史に最初に興味を持ったのは、あるテレビ番組がきっかけだったそうです。

「中学生か高校生の時に、NHKでシルクロードのドキュメンタリー番組を見たことですかね。もともとアジアの歴史に興味があったのですが、当時はまだ中国の西の方やソ連(当時)の中央アジアに簡単に行ける時代ではありませんでした。そんな中、番組を見て、こんな世界があるのかと感動を覚えました。そしてそういう地域の歴史を知りたいと思うようになりました」

歴史学者になられた当初は、イランや中東の国々の歴史が専門だったそうですが、現在は“世界は1つ”の観点から「グローバル・ヒストリー」という歴史理解の方法で、世界史全般を研究されています。そんな羽田先生にとって世界史の魅力、そしてそれを学ぶ意義とは?

「一般的に世界史というと、例えばフランス革命であったり、インドの皇帝の時代の話であったりと、部分部分を切り取って考察されています。それはそれで興味深い話がたくさんありますが、私自身は現代の世界情勢を理解するために、役立つところが魅力だと思っています。もともとイランの歴史という狭いところをずっと研究していましたが、そこから視野を広げて世界全体を紐付ける『グローバル・ヒストリー』として考えるようになってから、本当に世界史が面白くなりました。『グローバル・ヒストリー』の観点では、空間は1つなんです。だから日本の歴史だけでなく、中国などよその国の歴史も自分の歴史になります。そう考えるとより興味がわいてくると思います。何より、地球全体を自分の故郷だと思って、物事を考えられないと、各地で起きている問題は解決できないのです」(羽田先生)

大人は学び直し、子どもは全20巻への足掛かりにピッタリ!

『世界の歴史 別巻 まるわかり地域史』は、実は大人の方にこそ読んでほしい、と先生は力説します。

「特に40代以上の方が学生時代に学んだ教科書の解釈と、今とでは異なっているところが多々あります。例えば古代文明は、メソポタミア、エジプト、インダス、黄河を“四大文明”として習いましたが、今はそう言いません。なぜかというと、当時の文明は四つではないしすべてが大きな川のほとりで起こったわけではないからです。たいていの人は、高校までに学んだことはそこで完結してしまい、以降アップデートすることはありません。しかし古い知識のままだと、今世界で起こっていることを間違って理解してしまう恐れがあります。そういう意味でも学び直しは大切で、それに適した一冊ですので、ぜひ大人の方にこそ読んでほしいと願っています」(羽田先生)

最後に「これから歴史を学ぶ」あるいは「歴史が苦手」な子どもたちへのメッセージをお願いします。

「本編まんがの全20巻を全部読むのはなかなか大変ですので、まずはこの別巻を手に取ってみてください。イントロダクションとして本当によくできた一冊です。そのあとに全20巻に挑戦してもらうと、理解の仕方がより深くなりますし、内容もより易しいと感じると思います。そして世界史を学ぶことで、世界の状況を知り、それを自分自身の将来にどう生かすかに役立ててもらえればうれしいです」(羽田先生)

世界史に初めて触れる小学生の取っ掛かりに、中学生・高校生の受験勉強の教材に、そして大人の学び直しの一冊に、とあらゆる世代に読んでほしい『世界の歴史 別巻 まるわかり地域史』。角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』全20巻と併せて、ぜひ手に取ってみてください!


羽田先生羽田正(はねだ まさし)
1953年大阪市生まれ。東京大学名誉教授。専門は世界史。現在は、東京カレッジ長を務める。従来のヨーロッパを中心とした世界史像からの脱却をめざし、国民対国家やヨーロッパ対アジアという構図にとらわれない新しい世界史=「グローバル・ヒストリー」の方法による世界史理解を提唱し、各国の歴史学者との共同研究にとりくんでいる。著書に『新しい世界史へ』(岩波新書、2011年)、『グローバル化と世界史』(東京大学出版会、2018年)など多数。

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監修:羽田 正 カバー・表紙:近藤 勝也

定価
1,045円(本体950円+税)
発売日
サイズ
四六判
ISBN
9784041115985

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