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【インタビュー】累計150万部のミリオンセラー作家・原裕朗氏が、新作「ハリーとケント」に込めた思いとは⁉


『大迷路』シリーズが累計150万部を突破している大人気絵本作家・原裕朗氏が、KADOKAWAから新作『ハリーとケントはなぞときポリス ハリせんぼん ぶちこみますよ!』を発売! 新作に込めた思いを、著者・原裕朗さんに伺ってきました!



――いよいよ発売を迎えますが、今作はこれまでの「大迷路」シリーズとも一線を画す内容となっています。作品の構想はいつごろ思いついたものなのでしょうか?

『大迷路』16作目の『魔法の王国』の制作が終わったあとだったと思う。2018年の10月くらいからかな。なにかちょっとこれまでと違ったことをやりたいな、という思いがあったんだ。突然ではなくずっと思っていたことだったんだけど。
1つは年齢的なターゲットをちょっと低くしてみたいと思って。『大迷路』って当初は小学5年生くらいをターゲットにしていたんだけど、ハガキの返りとかを見ていると、案外小学校低学年の子もたくさん買ってくれていた。そういう子たちにとっては、『大迷路』はちょっと難しかったみたい。でも、探し絵のほうはすごく細かいところまで見て楽しんでいるんだよね。「そうか探し絵だと小さい子でも楽しめるんだな」と分かって、おじいちゃんおばあちゃんが老眼鏡をかけなくても、孫といっしょにできるくらいの難易度の、要するに細かすぎないってことだけど、そういったものを作れないかな、と思っていたんだ。


迷路や探し絵を楽しみながら、犯人捜しの捜査を進めていく本作。おまけ要素もいっぱいあるので、ながーく遊べる絵本だ。


それから、『大迷路』は本を開いた子が主人公になって読み進めるなりきり本! プロローグで「きみにたのみがある!」で始まるでしょ? その形をずっとやっていたんだけど、今度は主人公キャラを決めて、そのキャラクターを本のタイトルにして打ち出してみたいな、って思ったんだよね。


物語の主人公。ハリネズミのハリーとコアラのケント。こうみえて凄腕の警察官で、わるものたちからは「ニューコークシティのハリケーンポリス」と恐れられている。


――主人公のコアラとハリネズミ、というのはすぐに決まったんですか?

ハリネズミのハリーだけ。とにかくハリネズミが活躍する話が作りたかったんだ。それから今回、表紙にも入っているけど、「ハリせんぼん ぶちこみますよ!」っていうのを決め台詞にしたい、というのは最初からあったかな。「ウソついたら、ハリせんぼん ぶちこみますよ!」っていう。意外と未就学児くらいの子でも、気まずくなるとウソついてごまかしたりするんだよね。それで親に怒られたりして。そういう経験もあるだろうから、このセリフが心に響くんじゃないかな、と思ったんだ。あとはハリネズミだから、「ハリケーン」とか、そういう言葉も使いたいな、って必殺技のネーミングにしたんだ。
そして、刑事モノだから1人よりは2人のコンビで事件を解決していくような、「相棒が欲しいな」って考えたんだ。ハリーがすごく小さいから、大きくてのんびりしたキャラクターがいいな、っていろいろラフは描いてみたんだよ。そんな中でコアラに行きついたんだよね。デカいコアラがいいな、と。僕は帽子が好きでよく被っているんだけど、ケントが帽子を被っていて、その中からひょこっとハリーが出てきたら面白いんじゃないかな、って思ったんだよ。で、「体には帽子に合う何か着せたいなぁ~」って思い始めて、ポンチョを着せてみたりして。そういうフラッシュアイデアみたいなものの積み重ねで、キャラクターが出来ていったんだ。

――主人公の設定で悩んだことはありましたか?

ケントの表情は何度も描き直したかな。コアラがよく眠る、というのは特徴としてあるものなので、眠そうにしているのは良いんだけど、ただ寝ぼけまなこでいつも眠そうなのも面白くないし。なにかもうちょっとアクセントが欲しいな~。で、体を使う技みたいなものを持たせようと思って、コアラン師匠のもとで拳法を学んだ、という設定にしたんです。あののんびりしたコアラが、その時だけすばやく動いたら面白いんじゃないかなって。コアラって実は、サーカスの曲芸師のように腕と肩にはずばらしい力を出せる筋肉がついているんだよ!


いつもお腹を空かせていて、眠そうなケントだけど、実は、コアラン流拳法の使い手なのだ。


――ハリーとケント以外にも、たくさんのキャラクターが設定されています。今回、活躍の場がなかったキャラも含めて、原さんお気に入りのキャラクターはどのキャラクターですか?

お気に入りはやっぱりゴリゴリ署長だね。男っぽくてカッコよくて。設定もかなり早い段階から出来ていたんだよ。サングラスをかけようかどうしようか、けっこう迷ったんだけど、外した時のネタを2冊目に取っておくことにしたんだ。もう次のプロットもできているんだけど、ゴリゴリ署長は活躍させたいと思っているよ。


原さんお気に入りのゴリゴリ署長。ハリーとケントの頼りになる上司。


――制作で悩んだページ、大変だったページはどれですか?

いや、ないんだよね。悩む、というわけじゃないけど、絵本という短いページ数の中で、探し絵や迷路という遊び要素を、推理や捜査や冒険という物語要素に結び付けて、楽しめるように構成するのが、考えたところかな。ページをめくる時の心理的な効果とか。説明っぽくならないようには気を使ったね。それは今後も大切にしたいと思っている部分で、そうじゃなければ、迷路や探し絵に感情移入できないと思うんだよね。

――改めて見て、お気に入りのページはどれですか?

お気に入りは、アクションシーンになっちゃうんだけど、「ハリケーンブーメラン」の見開きと、「ひゃくれんれっけん」かな。あとはハリーの「ウソついたら ハリせんぼん ぶちこみますよ!」の決めゼリフのシーン。ハリーの特徴的なシーンと、ケントの「おっ、意外に強いじゃん」っていうのを、話の展開的に早めに見せられたのは良かったな、と思っている。
 



――車の設定とかにも凝っているな、と感じました。

そう。ハリケーン号はメッサーシュミットっていう、前が2輪で後ろが1輪のドイツのクラシックカーがあるんだけど、それを前後逆にして作ってみたんだよね。これ、昔あった3輪の車みたいに、前輪を1輪にしたら面白いんじゃないかな、って。
 



――もう次回作のプロットが出来ているということですが、いつごろから作られていたんですか?

いつごろだったかなぁ。ゴリゴリ署長のデザインをサングラスありにしようか、ナシにしようか迷っていたころには、もう序盤のプロットが出来ていたんだから、けっこう早かったと思う。まだ詳しくは言えないけど、楽しみにしていて欲しいな。


壁一面に貼られた続編のプロット。すでに全ページの構成までできていたぞ。


――ありがとうございます。最後に、原さんのファンや、絵本好きのみなさんにメッセージをお願いいたします。

いろんなロケーションで活躍するので、そんなハリーとケントの冒険をいっしょに楽しんでくれたらうれしいな、と思います。いろんなおまけ要素も詰め込んでいるので、ぜひ犯人逮捕に挑戦してほしいと思います。
 


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