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絶賛予約受付中!!『驚異の標本箱―昆虫―』 丸山宗利インタビュー


「ページをめくるたびに美と驚異の世界が広がる」。多くの昆虫愛好家、昆虫好きの子どもたちを魅了してやまない人気昆虫博士・丸山宗利氏初の大型ヴィジュアルブック『驚異の標本箱―昆虫―』が来月いよいよ刊行に!制作中の様子や苦労話など、お聞きしました!

——すごい本になりそうです。この本の構想はいつごろからあったのですか?
 話せば長くなるのですが、2007年にアメリカに留学していたとき、所属していた博物館の施設に立派な撮影装置があって、それが今回の本の制作に用いた主要な技法、深度合成撮影法のためものだったのです。普通、小さな昆虫を撮影しようとしても、1枚ではピントが合いません。絞りの数値をあげれば原理的には可能ですが、そうするとこんどは「絞りボケ」といって、画質が下がります。深度合成撮影法では、カメラを上から下へ動かし、層状に被写体を撮影し、コンピューターの合成ソフトで、ピントの合っている部分だけを合成するのです。すると、全体にきれいにピントが合った鮮明な写真が撮影できあがります。デジカメだからこその技術でもあります。


いちばんシンプルな撮影装置(小型種の全形用)


 帰国後にこの方法の簡便な技術を考えて、日本で試行錯誤してやっていました。当時、国内で昆虫の撮影にこの方法を用いている人はほとんどいなかったのです。しかし面白いもので、同じような方法を世界中の人が試行錯誤しはじめていました。その1人が吉田さんだったんです。吉田さんにはいろいろと教えてもらいました。それから時間がたち、5-6年前でしょうか。私もようやく満足のいく写真が撮れるようになり、吉田さんとはしばしば飲みに行くほど仲良くさせてもらっていたので、「いつか一緒に写真集を出しましょう」という話になっていました。
 そこへきて、法師人さんという実力派の若者があらわれました。1年前に法師人さんが所属するTokyo Bug Boysと一緒に展示をやらせてもらったとき、法師人さんの撮影の上手さに舌を巻き、「これはやばい。仲間に取り込まなければ」と思い(笑)、本格的に企画を進めたいと思いました。

——長い構想期間と、仲間集めの末たどり着いた企画だったんですね。具体的に、制作が動き始めたのはいつごろ、どういったきっかけがあったんですか?
 これまでにいろいろと本を作っていますが、自分から出版社に企画を持ち込むことはほとんどありませんでした。しかし今回はどうしても出したいという思いがあり、どの出版社に持ちこもうかと考えていたとき、KADOKAWAさんで別の本の企画があがりました。その打ち合わせの際、どさくさでお願いして、なんとか進めていただくことができました。今思えばKADOKAWAの担当の方に、「あれも頑張るから、これもやらせて」という無言の圧力をかけてしまっていたかもしれません(笑)

——撮影、制作過程で大変だったのはどういうところですか?
 追加の撮影が大変でした。最初は具体的な印刷時のイメージもなく、なんとなく80ページ程度で、見開きで写真40枚ほどの本のつもりでした。それであれば、手持ちの写真を出すことで、そう難しいこともなく本が出せると思ったのです。しかし、打ち合わせを重ねるうちに、判型が小さくて廉価な本にするべきか、大きくて高級な本にするべきかという話が出ました。今回の本は、すべての写真がポスターサイズで打ち出しても十分に耐えられる品質ですし、大きく印刷してこそ真価がわかります。ですから、大きくて高級な本という提案は、願ってもないことで、当然そちらにしてほしいとお願いしました。しかしこんどは、大きな本にするなら本の体裁としてページ数を増やさないといけないということになり、急遽、被写体を増やすことになったのです。


撮影に用いた標本の一部。右の写真はハンミョウモドキで、この中から3種を選んで撮影した


——本のページ数や判型など仕様が決まったのはいつごろだったのでしょうか?
 去年の冬でした。そして追加の撮影を本格化しようとしたときに、今回のコロナ騒動です。ページ数が増えたので、被写体の標本を買いにヨーロッパに行ったり、あるいはあちこちに採集に行ったりしようと思っていたのに、すべてが頓挫してしまいました。
 それでも、私たちにとっては夢のような企画をあきらめるわけにはいきません。海外や全国各地に方々から標本や生きた虫を送っていただき、予定は大幅に遅れたものの、なんとか充分に満足いくページ数をそろえることができました。むしろ、ページ数を上回る写真の数になり、それらを削るのも心の傷む作業でした。


掲載種を選んだり、並べる順番を打ち合わせ中。泣く泣く落とした写真も…。


 また、私個人の苦労話としては、吉田さんや法師人さんから送られてくる作品に刺激を受け、自分の写真も何度も撮りなおし、結果的に膨大な時間がかかってしまったことがあります。お互いの作品を見せ合うことが切磋琢磨になったようで、結局は全員がほとんどの写真を撮りなおすことになりました(笑)

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