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変な生き物の奥深さ、研究してみよう! 生き物エンタメ図鑑『キモいけど実はイイヤツなんです。』著者・ろうさんインタビュー

「見た目がちょっとグロテスクだけれど、それぞれ素晴らしい長所をもった生き物たち」を取り上げた書籍、『キモいけど実はイイヤツなんです。』が発売中です。生き物解説チャンネルの人気YouTuberでもある著者のろうさんに、本書の見どころや生き物の不思議について、お話を伺いました。


キモイけど実はイイヤツなんです。 怖いのに何だかかわいく思えてきちゃう生きもの図鑑


好きだからこそ楽しく調べられる

――このご本からは、ろうさんの生き物に対する深い愛情が感じられたのですが、もともと動植物に興味がおありだったのですか。

はい。学問として生物を研究してきたというわけではなく、珍しい生き物を飼った経験もありませんが、昔からインターネットなどで生き物の記事を見かけると、なんとなく目で追っているところがありました。
もともとそういう素地があったので、「自分も何か面白いことを発信したいな」「どれだけ時間を使っても楽しく調べられることはなんだろう」と考えたとき、生き物に関することであればいくら調べても興味が尽きることがなさそうだと思ったんです。それで、YouTubeで「へんないきものチャンネル」というチャンネルを開設し、そこからこの書籍を発売することになりました。


不思議な生き物の説明やニュースを配信しています


オジサン、タツノイトコ、ウンコタレまで……変な名前の生き物たち

――本書を読むと、変な生き物には変な名前をつけられていることが多いことに気がつきます。ろうさんにとって特に印象的な名前の生き物はありますか?

変な名前という意味では、知っている人も多いかもしれませんが、「オジサン」あたりでしょうか。「オジサン」は魚なんですが、顔にヒゲのようなものがあって、それがオジサンっぽいから名づけられたようです。
魚は地方によって呼び方が違ったり、変な名前がつけられていることが多いんです。ある地方では、釣り上げたときにウンチをする魚がいて、「ウンコタレ」と呼ばれていたりもします。これは、スズキ目「イスズミ」という魚の別名です。
他にも「タツノイトコ」という名前の、タツノオトシゴみたいな生き物がいたり、クモの仲間で鳥のフンに擬態した「トリノフンダマシ」という生き物もいます。

──うわ…かなりヒドいネーミングですね!


ハダカデバネズミ


本書の中でも「ハダカデバネズミ」や「ヘビクイワシ」「アオアシカツオドリ」といった、特徴がそのまま名前になっている生き物もたくさん取り上げています。そういった生き物について「名前が面白いよね」で終わらせず、「名前が面白いこの生き物は、こういう生態をしているんだよ」というところまでを調べて紹介し、みなさんにもう少し知識を深めてもらえるよう、普段から意識しています。


ヘビクイワシ


アオアシカツオドリ


見えないほど小さいけれど、最強の生き物もいる!

──書籍で取り上げている中で、特に好きな生き物はいますか?

一番というのは難しいんですが、変わった生き物を紹介しようと思ったときに、これだけは絶対に取り上げたいと思ったのは「クマムシ」と「プラナリア」なんです。


クマムシ


プラナリア


クマムシは1〜2mmくらいの生き物なんですが、超高温の場所でも、超極寒の場所でも死なない、不死身の生き物。プラナリアは、体を半分にされたり何十等分にされたりしても、分裂して目が出てきて復活するという生き物です。クマムシもプラナリアも、どちらも無敵の生き物なんですが、体はものすごく小さい。そういう、目に見えないくらい小さな生き物が、実はこんなにすごい特徴を持っている。
自分も小学生くらいのときに、これらの生き物の存在を知って衝撃を受けた記憶があるんですが、大人でも子どもでも、動物園にいるような動物しか知らずにいると驚きますよね。世界には、まだ知らない面白い生き物がいる──そんなふうに興味を持ってもらう入口として、特に気に入っている生き物ですね。

──強い生き物というとライオンやゾウ、カバなどの大きな動物をイメージしてしまうのですが、そうではないのですね。

ライオンは「百獣の王」と言われていて、動物の頂点のようなイメージがあると思うんですが、狩りの成功率は20〜30%くらいなんです。サバンナの王様はライオンだと思っている人も多いと思いますが、実はハイエナの狩りの成功率は60%とライオンよりも高く、ハイエナが集団で仕留めた獲物をライオンが奪いに来たりとか。もちろんその逆もあるんですけど、実際はライオンはそんなに狩りが上手ではなかったりする。ハイエナは残忍で狡猾なイメージがあるけれども実は狩りが上手で、自分たちでちゃんと獲物を仕留めているという。
すごいと思っていた生き物が、意外とそうではなかったりというギャップも、調べていくと学ぶことができるんです。そんなふうにして調べていくと、同じような特徴を持っている別の生き物の存在を知ることができたりして、自分の中でもイメージが変わった生き物がけっこういます。
ですから、何かのきっかけで存在を知って気になった生き物をメモしておけば、後から調べてみたときに面白い事実を学べたりすると思います。

──本の中で紹介されている生き物の中で、私たちの身近なところにいて、観察ができるような生き物はいますか?

「プラナリア」はそうですね。簡易採集キットのようなものもありますよ。あとは、「ハリガネムシ」でしょうか。カマキリやバッタを捕まえたら、水にお尻をつけてみると、お尻からハリガネムシが出てくる可能性はありますね。ふだん寄生虫を見ることはあまりないと思いますので、それを見たいかどうかはさておきですが、自由研究のネタにはいいかもしれません。


ハリガネムシ


──生き物をとおして知らない世界を学べそうですね。ろうさん、ありがとうございました。

夏休みの自由研究などでも、面白い名前というところに注目して、名前だけでなくその生き物がどんな生き物なのかを調べてみたり、実際に採集して観察したりすると、興味深い研究ができそうです。この夏は、生き物について新しい発見がある本書を、ぜひ親子でお楽しみください。

ろう
YouTubeで「へんないきものチャンネル」(https://www.youtube.com/channel/UC6SEj6I-vKEL9tL5aAHHyZg)を運営し、日常生活では見られないようなユニークな動物の生態、歴史、獣害事件などをわかりやすく紹介。総視聴回数は4千万回を超える。

 

作品情報

キモイけど実はイイヤツなんです。 怖いのに何だかかわいく思えてきちゃう生きもの図鑑
著者 ろう 監修 實吉 達郎 イラスト 川崎 悟司 イラスト バニえもん



キモイしコワイのに何故か愛おしくなってくる! 驚きのキモカワ生物大集合
見た目がへんな生き物大集合!
総視聴回数4千万回のユーチューブチャンネル「へんないきものチャンネル」が、新登場の生き物も加え、図鑑になって1冊に。
裸で出っ歯でブサイクなハダカデバネズミは、実は老化知らず。人間の不老長寿の研究に役立つかも!
吸血鬼みたいにぶきみなナミチスイコウモリ。仲間にエサを分け与えるやさしい心がある!
ホルモンのようにグロテスクなシワヒモムシは、海をクリーンにする海底のおそうじ屋さん!
気持ち悪い見た目に引いてしまわず、それぞれの生き物にじっくり目を向けると、すごい能力や一面を持っていることがわかるよ!!
動画チャンネルの人気キャラクター、きつねさんとたぬきさんのコンビも登場。
子どもも大人も楽しめる、生き物エンタメ本です!





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