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ものがたり

『宇宙級初恋』先行連載 第1回 運命の人っているのかな?


となりのおうちにひっこしてきたのは、地球でいちばんカッコいい男の子!?

学園ラブコメ「ぜったいバレちゃいけません!!!」で大人気♡ 水無仙丸さんの新シリーズは、
反則級にときめくカレと、地球でいちばんステキなロマンチックラブ♡

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運命の人っているのかな?
そもそも、出会ったその人が運命の人ってどうやってわかるんだろう?

だけど。
この地球の遠くの向こう、
何光年も先からやってきたキミと出会って、
ひと目見て分かったよ。

キミがわたしの運命の人だ、って──

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私、紺野つばさ! ごくごくふつーの小学五年生。今はお父さんとお兄ちゃんと弟と、四人で暮らしてるんだけど……。
 

1.運命の人っているのかな?

 運命の人って、いるのかな。
 もしいるとしたら、私の運命の人は、どんな人だろう。

 かっこいい人かな。
 背はどれくらい?
 あまいものが好きだといいな。
 いやいや、その前に。
 ──運命の人って、どうやってわかるの?
 せっかく出会えても、気づけなかったらこまるよね。
 なにかしるしでもあればいいのに。
 ねえ、運命の人って、どうすれば見つかるの?

『──運命かどうかはわからないけど。おたがいの気持ちを、大切にしあえる人と出会えたらステキだよね』
 おたがいの気持ち?
『そうよ。つばさの気持ちを大切にしてくれる人に出会ったら、つばさも、その人の気持ちを大切にしてあげるのよ』
 私の気持ちを、大切にしてくれる人かあ……。

 このひろいひろい宇宙で。
 遠い距離をこえて。
 運命の人にめぐりあえたら、すっごくステキ!
 そう、私だけの、王子さまに──。

「──ねーちゃん! ねーちゃんねーちゃん!」
 とつぜんの騒がしい声に、パチンと妄想がはじけとぶ。
 ドタタタッ! と洗面所にとびこんできたのは──。
 私の弟、紺野翔
 今年、小学一年生になったばかり。
「なんなのよ翔、朝からうるさいなあ」
「かっこいいやつ見つけたから、ねーちゃんにやるよ!」
 翔が、私の髪に、なにかをつけた。
 鏡を見ると──セミのぬけがら。
「ぎゃあああああああ!!」
 翔は大笑いしながら走っていった。
 ひどいっ、せっかく髪型きれいにセットできてたのに!

 ──私は、紺野つばさ。
 ごくごくふつーの、小学五年生。
 二年前に、私の大好きなお母さんが病気で亡くなった。
 なので今は、お父さんとお兄ちゃんと弟、そして私の、四人で暮らしているんだけど……。

「おーい、つばさー。はやくメシ食えよー」
 私を呼ぶこの声は──私のお父さん、紺野八雲
 大学の教授をやってる。
「──おう、つばさ。やっと来たか
 リビングに行くと、焼きたてトーストのいいにおい。
 キッチンで目玉焼きを焼いているお父さんの頭には……、
 ……リボンが二つ。
「ぎゃあああああああ!!」
 それはっ、私の新品の髪どめ!
「なんでお父さんがつけてるのよ!」
「ああ、これか? 前髪とめるのにちょうどいいな」
「まだつかってないのに! つけるのたのしみにしてたのに!」
「洗面所に置きっぱなしだったぞ」
「うそぉぉ!」
 私も悪いけど!
 なにも、つかわなくたっていいじゃないっ!
 運命の王子さまとの初デートでつかうってきめてたのに!
うるせえ。朝からデッケー声出してんじゃねえよ」
 ふりかえると、ものすごく不機嫌な顔。
 私のお兄ちゃん、紺野飛隆、中学二年生。
「──じゃあ三人とも、あとはよろしくな。チコクせずに学校行くんだぞー」
 お父さんが、あわただしく出勤していった。
 私とお兄ちゃんと翔の三人で、パンをもそもそ食べる。
 お兄ちゃんが、私をじろりとにらんで、
「つばさ、この食器かたづけとけよ」
「なんでよ! 今日の洗いもの当番は、お兄ちゃんでしょ!」
「エリナをむかえに行かなくちゃなんねーんだよ」
「先週は『アヤカとデートだから』って、私に掃除当番押しつけたくせに!」
「言うこときかねーと、こないだの算数の宿題、かわりに俺がやったって担任にバラすぞ
「お兄ちゃんは本当は性格めっちゃ悪いって、ご近所に言いふらすから!」
「できるもんならやってみろ。そんなことしたら……」
「そ、そんなことしたら?」
「お前が日記帳にこそこそ書いてる、変なポエムのコピーを街中にばらまくぞ
「勝手に日記読まないでよ! てか私、ポエムなんか書いてないし!」
「ええとなんだっけな。
ひろい宇宙で私だけの運命の王子さまにめぐりあえたら──
「ぎゃあああああああ!!」
 ──今日もサイアクな朝だっ!
 デリカシーのないお父さん。
 弱みをにぎっては脅してくる性格の悪いお兄ちゃん。
 髪にセミのぬけがらをくっつけてくる弟。
 この三人のせいで、私の毎日は、しっちゃかめっちゃか。
 一度でいいから、優雅な朝をすごしてみたいよ……。
 おしゃれだって、もっとたのしみたい!
 いつか出会う、運命の人のために、一番かわいい私でいたいのに。
 そう、きっとどこかにいるはずなんだ。
 私だけの、運命の王子さまが!
 ぐっと顔を上げたら、時計が八時十分を指してるのが見えた。
 え、もうそんな時間!?
「学校行かなくちゃ!」
 ランドセルをせおって、玄関ドアを開ける。
 庭に出ると、となりの家の前に、大きなトラックがとまってるのが見えた。
 ひっこしかな?
 うちのとなり、ずっと空き家だったもんなあ。
「──おい、んなとこで立ち止まるなアホ妹。うしろがつっかえてんだろーが」
「ねーちゃん、じゃまー」
「あ、ごめん……てか、アホってなによ! あとお兄ちゃん、食器かたづけたの!?」
「いちいちうるせえ。俺に指図すんな、はやくどけ」
「ねーちゃん、じゃまー」
 ぐわあーっ、二人ともはらたつ!
 あんたらみたいな性格も口も悪い男子とは正反対の、とびっきりやさしくてステキな運命の王子さまを、ぜったいのぜったいに見つけてやるーーーーっ!
 ああでもケンカしてる場合じゃない、とりあえず今は、
「いってきまあーすっ!」
 大きな声でさけぶ。
 空の上のお母さんにも、ちゃんと届くように。

第2回に続く>

【書誌情報】

1月発売予定の胸キュン新シリーズ『宇宙級初恋』!
地球でいちばんステキな男の子と、ウルトラ級にときめく初恋がはじまります!


作:水無仙丸  絵:たしろ みや

定価
814円(本体740円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046322593

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