
となりのおうちにひっこしてきたのは、地球でいちばんカッコいい男の子!?
学園ラブコメ「ぜったいバレちゃいけません!!!」で大人気♡ 水無仙丸さんの新シリーズは、
反則級にときめくカレと、地球でいちばんステキなロマンチックラブ♡
.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*
運命の人っているのかな?
そもそも、出会ったその人が運命の人ってどうやってわかるんだろう?
だけど。
この地球の遠くの向こう、
何光年も先からやってきたキミと出会って、
ひと目見て分かったよ。
キミがわたしの運命の人だ、って──
.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*
私、紺野つばさ! ごくごくふつーの小学五年生。今はお父さんとお兄ちゃんと弟と、四人で暮らしてるんだけど……。
1.運命の人っているのかな?
運命の人って、いるのかな。
もしいるとしたら、私の運命の人は、どんな人だろう。
かっこいい人かな。
背はどれくらい?
あまいものが好きだといいな。
いやいや、その前に。
──運命の人って、どうやってわかるの?
せっかく出会えても、気づけなかったらこまるよね。
なにかしるしでもあればいいのに。
ねえ、運命の人って、どうすれば見つかるの?
『──運命かどうかはわからないけど。おたがいの気持ちを、大切にしあえる人と出会えたらステキだよね』
おたがいの気持ち?
『そうよ。つばさの気持ちを大切にしてくれる人に出会ったら、つばさも、その人の気持ちを大切にしてあげるのよ』
私の気持ちを、大切にしてくれる人かあ……。
このひろいひろい宇宙で。
遠い距離をこえて。
運命の人にめぐりあえたら、すっごくステキ!
そう、私だけの、王子さまに──。
「──ねーちゃん! ねーちゃんねーちゃん!」
とつぜんの騒がしい声に、パチンと妄想がはじけとぶ。
ドタタタッ! と洗面所にとびこんできたのは──。
私の弟、紺野翔。
今年、小学一年生になったばかり。
「なんなのよ翔、朝からうるさいなあ」
「かっこいいやつ見つけたから、ねーちゃんにやるよ!」
翔が、私の髪に、なにかをつけた。
鏡を見ると──セミのぬけがら。
「ぎゃあああああああ!!」
翔は大笑いしながら走っていった。
ひどいっ、せっかく髪型きれいにセットできてたのに!
──私は、紺野つばさ。
ごくごくふつーの、小学五年生。
二年前に、私の大好きなお母さんが病気で亡くなった。
なので今は、お父さんとお兄ちゃんと弟、そして私の、四人で暮らしているんだけど……。
「おーい、つばさー。はやくメシ食えよー」
私を呼ぶこの声は──私のお父さん、紺野八雲。
大学の教授をやってる。
「──おう、つばさ。やっと来たか」
リビングに行くと、焼きたてトーストのいいにおい。
キッチンで目玉焼きを焼いているお父さんの頭には……、
……リボンが二つ。
「ぎゃあああああああ!!」
それはっ、私の新品の髪どめ!
「なんでお父さんがつけてるのよ!」
「ああ、これか? 前髪とめるのにちょうどいいな」
「まだつかってないのに! つけるのたのしみにしてたのに!」
「洗面所に置きっぱなしだったぞ」
「うそぉぉ!」
私も悪いけど!
なにも、つかわなくたっていいじゃないっ!
運命の王子さまとの初デートでつかうってきめてたのに!
「うるせえ。朝からデッケー声出してんじゃねえよ」
ふりかえると、ものすごく不機嫌な顔。
私のお兄ちゃん、紺野飛隆、中学二年生。
「──じゃあ三人とも、あとはよろしくな。チコクせずに学校行くんだぞー」
お父さんが、あわただしく出勤していった。
私とお兄ちゃんと翔の三人で、パンをもそもそ食べる。
お兄ちゃんが、私をじろりとにらんで、
「つばさ、この食器かたづけとけよ」
「なんでよ! 今日の洗いもの当番は、お兄ちゃんでしょ!」
「エリナをむかえに行かなくちゃなんねーんだよ」
「先週は『アヤカとデートだから』って、私に掃除当番押しつけたくせに!」
「言うこときかねーと、こないだの算数の宿題、かわりに俺がやったって担任にバラすぞ」
「お兄ちゃんは本当は性格めっちゃ悪いって、ご近所に言いふらすから!」
「できるもんならやってみろ。そんなことしたら……」
「そ、そんなことしたら?」
「お前が日記帳にこそこそ書いてる、変なポエムのコピーを街中にばらまくぞ」
「勝手に日記読まないでよ! てか私、ポエムなんか書いてないし!」
「ええとなんだっけな。ひろい宇宙で私だけの運命の王子さまにめぐりあえたら──」
「ぎゃあああああああ!!」
──今日もサイアクな朝だっ!
デリカシーのないお父さん。
弱みをにぎっては脅してくる性格の悪いお兄ちゃん。
髪にセミのぬけがらをくっつけてくる弟。
この三人のせいで、私の毎日は、しっちゃかめっちゃか。
一度でいいから、優雅な朝をすごしてみたいよ……。
おしゃれだって、もっとたのしみたい!
いつか出会う、運命の人のために、一番かわいい私でいたいのに。
そう、きっとどこかにいるはずなんだ。
私だけの、運命の王子さまが!
ぐっと顔を上げたら、時計が八時十分を指してるのが見えた。
え、もうそんな時間!?
「学校行かなくちゃ!」
ランドセルをせおって、玄関ドアを開ける。
庭に出ると、となりの家の前に、大きなトラックがとまってるのが見えた。
ひっこしかな?
うちのとなり、ずっと空き家だったもんなあ。
「──おい、んなとこで立ち止まるなアホ妹。うしろがつっかえてんだろーが」
「ねーちゃん、じゃまー」
「あ、ごめん……てか、アホってなによ! あとお兄ちゃん、食器かたづけたの!?」
「いちいちうるせえ。俺に指図すんな、はやくどけ」
「ねーちゃん、じゃまー」
ぐわあーっ、二人ともはらたつ!
あんたらみたいな性格も口も悪い男子とは正反対の、とびっきりやさしくてステキな運命の王子さまを、ぜったいのぜったいに見つけてやるーーーーっ!
ああでもケンカしてる場合じゃない、とりあえず今は、
「いってきまあーすっ!」
大きな声でさけぶ。
空の上のお母さんにも、ちゃんと届くように。
<第2回に続く>
【書誌情報】
1月発売予定の胸キュン新シリーズ『宇宙級初恋』!
地球でいちばんステキな男の子と、ウルトラ級にときめく初恋がはじまります!