角川つばさ文庫の伝説級シリーズがウルトラパワーアップして帰ってきた! 白石ゆの19歳! 今度は角丸書店で伝説の雑誌『パーティー』を復活させちゃいます!? 出版社でもドタバタ大活躍(?)の予感、笑ってトキメク最強ラブコメ☆
※これまでのお話はこちらから
5 角丸書店(かどまるしょてん)にやってきました!
「うひゃー! なんか前に来たときと全然ちがう!」
編集会議をした翌日、あたしたちは角丸書店にやってきた。
角丸書店は出版社の中でも、いろいろなジャンルの雑誌や小説やマンガ、辞書を刊行するだけでなく、映画やゲームなどなどエンタメを幅広く手がける大きな出版社なんだよ。
昔も来たことがあったんだけど、今はオシャレなカフェみたいだ。
「ゆのちゃん、久しぶり!」
「あ! 小春さん! 会いたかったーっ。いて!」
「なーにが会いたかったよ。メールも見てなかったくせに」
あきれた口調のカレンさんにコツンと小突かれる。
だけど小春さんとの久しぶりの再会に、グーッとお腹の奥の方で熱い気持ちが燃えてくる。
「こっちよ」
あたしたちは、編集部のフロアの一室に通された。
ここにいる人たちはみんな本づくりにかかわっているんだ!
「本物の『パーティー』をあたしたちが作っていいなんて、夢みたいです。よろしくお願いしま──すっ!」
キーン!
「うるさいぞ!」
「こっちは打ち合わせの電話中なんだ!」
と怒られ、土下座せんばかりの勢いで頭を下げた。
「よろしくね……と言いたいところなんだけど、本当に雑誌を復刊できるかはまだ未定なのよね」
「はあああああああっ!? それっていったいどういうことでしょうか!?」
あたしだけでなく、カレンさんもしおりちゃんもエンマまでもギョッとした顔で小春さんを見つめている。
「実際に雑誌を出すかどうかは、本会議で決まるの。それまでは保留ね」
本会議? それっていったい何なの?
「あの……それは企画を考える編集会議とはちがうのでしょうか?」
そうだよ! 編集会議なら、いつもやってたし。あたしでもわかる!
「たしかに学生は編集会議だけで良いわよね。だけど本当の出版社はそれだけじゃ雑誌を創刊したり、書籍を刊行したりすることはできないわ」
うえええええええっ。そうなの!?
「編集部が考える新刊企画は、本会議で決裁を受けるの。そこで企画が通れば正式に雑誌や書籍を作れるようになるってわけ」
「あの~。実は『決裁』の意味がちょっとよくわからなくて……」
そっと手を挙げると、しおりちゃんやエンマも「同じく」とうなずく。
「はあっ!? アンタたちそんなことも知らないの!? 『決裁』っていうのは、その企画を会社で刊行することに対して『許可』か『不可』か決めることよ」
えーん! カレンさんみたいに、何でも知ってるわけじゃないよー。(泣)
「そうそう。企画全部にOK出してたら、会社が倒産しちゃうからね」
なるほど。学校で考えると、先生たちに許可を得てから作るみたいなイメージかも。
「本会議は月に一度しかないから、来月の本会議に向けてまずは『パーティー』の企画書をまとめないとね」
「新しい『パーティー』の企画ならもう考えました。いつでも本会議に出せます!」
あたしが胸をはって告げると、小春さんは「本当に!?」と目を丸くする。
「ちなみに今月の本会議っていつなんですか?」
「まさに今が真っ最中なんだけど」
「今から参加していいですか?」
あたしの言葉に小春さんは「今!?」と声をうわずらせる。
「はいっ。すごく盛り上がって! 来月まで待つ時間がもったいないですよ。どんどん進めないと!」
「それはそうだけど……。本当に大丈夫なの?」
不安そうな顔をする小春さんに向かい、
「まかせてください!」
と、あたしは威勢よく自分の胸をたたく。
「せっかく考えた企画を、ぜひ知ってもらいたいですし!」
「けけけ。オレサマたちの企画見てみんなビックリするんじゃねーか」
「楽しみすぎて震えます」
「アンタたち、本当に楽観主義なんだから。そこまで言うなら──わかった。それじゃあお手並み拝見といこうかしら。もう一度言うけど今は本会議の真っ最中。他の編集者がガチンコ勝負で企画を通してるリングよ。私たちは後ろから入って最後に企画を発表させてもらいましょう。急いで企画書を準備して」
「はいっ!」
あたしたちはこの前考えた企画をまとめてあわててコピーをし、会議室へと向かったのだった。
「あー! いろんな本の企画が決まる瞬間に立ち会えるなんて楽しみ」
ワクワクしながらそう言うと、小春さんはビミョウな顔をする。
「残念ながら、たぶん想像しているのと全然違うと思うけど……。まぁとりあえず見てみてって感じかしら」
小春さんの言葉の意味を心の底から知ることになるのは、それからすぐのことであった。(アーメン)