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大人気!「お天気係におねがい! 運動会を晴れにせよ!」ためし読み連載 第3回

「どうだ? 話を聞いて。少しは自覚が――って、おい。なにぼーっとしてるんだよ」

「へっ? あっ、その……なんでもないよ。わたしたちも、教室にもどろう」

 いろんなことを考えながら、ゆっくり歩き出す。

 先ぱいの話を聞いて、おばあちゃんのことを思い出した。しごとがいそがしいパパとママに代わって、とってもやさしくめんどうを見てくれた大好きなおばあちゃん。

 病気で入院してからは、ほとんど会ってない。

 だって、ベッドに横になっているおばあちゃんを見ると泣いちゃう。そんな姿を見せたら、もっと体を悪くさせちゃうって思ったから。

 でも、おばあちゃんがくれた手紙には、「会って話したいことがある」って書いてあった。あわてて病院に行ったけど、会えないまま亡くなって……。

 すごく、かなしかった。ちゃんと話をできなかったこと、今でも後悔してる。

 もし運動会を晴れにできなかったら、先ぱいたちはさいごにたのしい思い出をつくれなくて、わたしみたいにかなしい思いをしちゃうかもしれない。それは、いやだよ。

 だけど、ほんとうはただの小学生のわたしが、がんばっても……。

「あっ! やっと見つけた。どこに行ってたの?」

 教室にもどる途中で、アメくんたちと出くわした。

「どこさがしても、いないしさあ。二人でなにしてたのー?」

「今にも雨がふりそうな天気になって、心配していたんだ。空になにかあったのか?」

 ライくんが、じっとわたしの顔を観察する。

「やっぱり、浮かない顔をしている。ハレ、なにかしたのか」

「なんにも。オレが、授業中に度胸をつける特訓をしたら、中止にしたいって言い出して。だから、願いを言いに来た深沢に会わせて、天気の神さまの自覚を持たせようとしただけだ」

 ハレくんは、堂々とむねをはる。アメくんの目が、きゅっと細くなる。

「ハレ。そんな目立つことばかりして、空ちゃんが周りにどう思われるか考えたの?」

「考えてないけど。そんなこと気にしてたら、なんにもできないだろ」

「そんなこと、ね……。よく分かったよ。ハレには、ぼくの特訓が必要みたいだね」

 アメくんが、とびきりの笑顔を見せる。ライくんとフウくんが、あわてはじめた。

「おい、ハレ! 今すぐあやまれ。アメのこの笑顔は、おこってるってことだぞ」

「どうしてくれるんだよ~。おれ、おこったアメメが一番こわいのに~」

「なっ、なんで、オレがあやまるんだよ。てか、アメの特訓ってもしかして……」

「もちろん、ひとの気持ちを考えられるようになる特訓だよ。ぼくがおすすめする、やさしい物語の本を百冊、読んでもらうからね」

「またかよ⁈ それなら、前にも読んだだろ!」

「一冊の半分も読まずに逃げたじゃないか。こんどはぜったい、逃がさないよ。フウ、ライ、つかまえて!」

 いきなり、追いかけっこがはじまった。

 スゴい神さまたちのはずなのに。今はただ、休み時間に遊んでる小学生みたい……。

「おい、空! なに笑ってるんだよっ。はやく、アメたちを止めろっ」

「へっ?!」

 ほおをさわって、にやにやしてるじぶんに気づいた。

 わちゃわちゃしているみんなを見てたら、いつの間にか気が楽になってたみたい。

 むずかしく考えないで、まずは、わたしなりにがんばってみればいいのかも……。

「ねえ! わたしやっぱり、特訓をがんばるよ」

 みんなに向かって言った。追いかけっこをやめて、こっちにもどってくる。



「空ちゃん、今はムリしなくていいんだよ」

「ううん。深沢先ぱいのために、がんばってみたいの」

 先ぱいの、「後悔したくない」って気持ちが分かるから。

「引っ越しちゃう親友と、さいごにたのしい思い出をつくりたいんだって。もう会えないかもしれない人との思い出って、すごくだいじだと思うから。わたしががんばらないせいで、かなしい思いをさせるのはいやだから」

「空ちゃん……」

 ポロッ。とつぜん、アメくんの目からなみだがこぼれる。

「ええ! どうしたの!? わたし、よくないこと言った? それとも、どこか痛いとか……」

「ちがうよ。ぼく、感動したんだ。いきなり神さまになって、すごくたいへんなはずなのに。ちゃんと、先ぱいの気持ちを考えてあげて……立派な天気の神さまになったね。うぅ……」

「なっ、なに言ってるのアメくん! わたし、まだなにもしてないよっ」

 ぶんぶんって、全力で頭を横にふる。だって、ものすごいカンちがいだよ~!

「空、いつものことだから気にするな。アメは、なんにでもすぐ感動するんだ」

 ライくんはそう言って、慣れた様子でじぶんのハンカチをアメくんにわたす。

 いつものことなんだ。それはそれで、たいへんかも。

「でも、ほんとうにわたし、まだまだだよ。がんばりたいけど、すっごく分からないこともあって……」

「なんでも聞け」

 ハレくんが、すかさず言う。

「そのために、オレたちがいるんだ。どんなことも答えてやる」

「さすが神さま! じゃあ、聞くね。『熱くなる心』って、なに?」

 その瞬間、ハレくんの顔がかたまる。


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