あれからどうなったかな? 先生の言うこと、ちゃんと聞いているかな。
でも、同じクラスがだれかってだいじだよね。ハレくんたちは、わたしが天気をコントロールできるようになる特訓のために転校してきたわけだし。
机にひじをつきながら、あれこれ考える。
いろいろ教えてもらうなら、やさしいアメくんがいいなあ。
「おはよう、みんな席について」
教室のとびらが開いて、先生が入ってきた。
「今日はまず、新しいお友だちになる転校生を紹介するわね。さあ、入って」
先生は、廊下にむかって手招きする。
「このクラスの転校生――太陽晴くんよ。太陽くん、自己紹介して」
「太陽晴だ。よろしく」
強気な表情をくずさないで、堂々と自己紹介する。
ハレくんかあ。そっかあ、そのままってことになったんだね。ああ、アメくん……。
「やっぱり、めっちゃかっこいい! スポーツとか得意そう」
「たよりになるってかんじ? あたし、好きかも~」
わたしとは正反対に、クラスの女の子たちのテンションはますます上がる。
「みんなしずかにして。太陽くんの席は……あっ、天川さんの後ろね」
ハレくんは、まっすぐこっちに向かってくる。すれちがう途中、ぎろっと見られた。
「……カクゴしろよ」
低い声で、わたしにだけ聞こえるようにつぶやく。
こ、こわい……。カクゴってなに? もしかして特訓のこと? なにするの?
「じゃあ、授業に入ります。一時間目は、国語です。みんな、教科書をひらいて」
ふるえる手で、教科書をひらく。
「今日は、物語の朗読をしてもらいます。五年生になったので、ただ読むだけじゃなく、じぶんの気持ちをこめて、みんなに伝えるように読んでね。じゃあ、やりたい人はいる?」
だれもやりたくなくて、教室中が一気にしずかになる。
わたしもすごく苦手。みんなの前で読むなんてはずかしいよ。
当てられないように、教科書にかくれていよう……。
「おい、空」
うしろから、ハレくんの呼ぶ声が聞こえた。
「空、こっち見ろ」
「なに? 今、授業中だ……」
ふり向くと、ハレくんはものすごくこわい顔でにらんでいた。
「お前が、読め」
「はっ、はい!」
思わず、返事をして立ち上がってしまう。
「あら。天川さん、読んでくれるのね」
「えっ? あっ、そのっ」
みんなの視線が、わたしに集まっている。ふしぎがっている子、くすくす笑っている子、おどろいている子……。
たえられないっ。でも、ムリってことわれないっ。
「……あ、ある日……」
しかたなく、読みはじめる。でも、ちらちら教室の様子もチェックする。
わたしの声、ヘンじゃない? 先生、おこってないかな? みんな、笑ってない?
「ぜんぜん聞こえない!」
バンッと机をたたいて、ハレくんが立ち上がった。わたしも、みんなも、びっくりする。
「もっとちゃんと、声出せ。堂々と読め」
「あわわわっ、ハ、ハレく……じゃなくて、太陽くん。今は」
「いいか? これは特訓の第一歩なんだ。お前にずば抜けて足りないのは、度胸だからな」
「授業中に特訓するの!? そんなの聞いてない!」
わたしたちの言い合いに、みんながざわつく。
「特訓ってなんだ?」
「ていうか、天川さんって、太陽くんと知り合いなの?」
「みんな、しずかにして。太陽くんも、すわって。今は、天川さんの朗読中よ」
もうイヤだ~!
わたしは、まっ赤になった顔を教科書でかくす。
一時間目からこんな調子で、どうなっちゃうの?