「あ、ああ……なんで、こんな大きい……」
「校庭にふっている雨をぜんぶ集めてつくったんだ。あの悪天蝶たちめ……」
竜巻の上で、悪天蝶たちがくるくる飛んでいる。まるで、あやつっているみたい。
「空ちゃんは、ぼくたちのうしろに……わっ!」
「オレ一人でも……くそっ!」
アメくんもハレくんも、近づいてくる水竜巻に飛ばされちゃう。
「みんな! きゃあ!」
わたしだけが、水竜巻に飲みこまれる。強いうずの勢いで、体が宙に浮く。
もがいてももがいても、逃げられない。がんばって描いた校庭の印も、光ってない。
このままじゃ、悪天蝶たちに勝てないよ。ていうかもう、ムリなのかも……。
全身の力が抜けて、ただ水の中をただよう。だんだん、体も冷たくなっていく。
……あれ? 左の手のひらだけ、あったかいような。
見ると、印の光がまだぼんやり浮かんでいる。
──その光が消えないかぎり、空はきっとだいじょうぶ。
ハレくんの声が、頭の中で聞こえた。
──なれないんじゃなくて、本気でなろうとしないだけだ。
──空ならきっとできる、信じろ。
ほかにもいっぱい、ハレくんに言われたことを思い出す。
──この天気が、今の天川空の心の天気だ。
わたしの心の天気。わたしの気持ちで変わる天気。
わたしがあきらめたら、きっとこの天気は変えられない。だけど、あきらめなかったら変えられるんだ。
ふつふつと、心が熱くなっていく。
ぜったい晴れにするって、みんなに約束した。こわくても、逃げないって決めた。
熱い気持ちが、体中をめぐる。
あきらめないから、強くなれるんだ。わたし、あきらめたくない!
もう一度手を合わせる。
お願い。わたしの気持ち、とどいて。空、晴れて──。
校庭と手のひらの印が、もう一度赤く光りだした。
ゴゴゴッ……ギュルルルルルル!
水竜巻の回転が逆になって、スゴい勢いで印の中に吸いこまれていく。悪天蝶も、一匹、二匹、三匹って、回りながらいっしょに消えていく。
封印、できた──。
わたしの体はまだ、ふわふわ宙に浮かんでいる。空が、とっても近くに見える。
黒い雲たちは左右に流れて、間から青空が見えてきた。
そして、久しぶりに太陽が顔を出す。
「は、晴れた! やっと、やっと成功したよ──えっ」
よろこんでいられたのもつかの間。浮いていた体が、ぴたっと止まる。
いやな予感が……あ。
「きゃああああああああ!」
一気に、地面に向かって落ちる。
せっかく願いをかなえたのに! このままじゃ、し──。