わくわくいっぱい、つばさ文庫の新シリーズ! 超~優柔不断で自分になかなか自信がもてない5年生の女の子、天川空がある日突然、天気をあやつるチカラを手にいれた!? 勇気も自信もなかったけど、つよい意思で天気をあやつるために、はじめて自分で目標をたてて、やるって決めた! 個性豊かなお天気男子たちといっしょに、運動会を晴れにせよ!(公開期限:2026年8月31日(月)23:59まで)
16★思い出の天気
ドドドドドッ……ガラッ!
ハレくんと二人で、教室になだれこむ。大半のクラスメイトが、集まっていた。
「運動会、やっぱりこのままするって! さっき先生が言ってた」
「でも、ぜんいんで校庭の水とりしなきゃだろー」
「いいじゃん。中止になるより」
みんなそわそわしながら、窓に張りついて外を見ている。
わたしたちが、息を切らしながら入ってきたことにも、気づいていない。
「はあ、はあ。なんとか間に合った……。でも、もう走れないかも」
「はじまってもないのに、なに言ってんだ。……なあ、空。莉子の姿が見えないぞ」
「えっ?」
ぐるっと見まわすけれど、ほんとうにいない。
莉子ちゃん、いつもならいる時間なんだけど。もしかして、休み……。
一瞬そんなふうに考えて、でもすぐに打ち消す。
ちがう、莉子ちゃんは休まない。ぜったいに来る!
席について、ひたすら待った。
でも、時計の針が始業時間に近づいてくると、そわそわしてきちゃう。何度も廊下をのぞいたり、教室の中をうろうろする。
「落ちつけよ、まだ時間はある」
「でも、もうチャイムが鳴っちゃう──」
そのとき、莉子ちゃんが教室に入ってきた。
「空、太陽くん、おはよう」
「あ~! 莉子ちゃん、おはよう~!」
「おはよう。莉子が来るのおそいから、空が教室を何周もしてたぞ」
「そうなの? ごめん、心配かけて……」
莉子ちゃんは、ぎこちなく笑う。
「ハレくん、よけいなこと言わないでっ。でも、来てくれてよかった」
「うん……。だってほら、今日は、空の応えんしなくちゃ。緊張するだろうから、そばにいて声をかけてあげないと」
じぶんがつらいのに、わたしのことを心配してくれたんだ……。
アメくんじゃないけど、なみだが出そうになる。
でも、泣かない。わたしは今日、莉子ちゃんを元気にするって決めてるんだから。
「ありがとう、莉子ちゃん。わたしね、今日のために、いっぱい準備してきたんだ!」
どんっと、リュックを机に置く。
「すごいパンパン。なにが入ってるの?」
「えっとね、メガネに、麦わら帽子に、うで時計……」
「なんでそんなもの、持ってきたの」
「借り人競争で、どんな人を連れてきなさいってお題に当たるか分からないから。あれこれ迷ってたら、こんなにいっぱいになっちゃった」
「いくらなんでも、多すぎでしょ。ずっと持ち歩くつもり?」
「まさか! この荷物はね、莉子ちゃんにあずかっててほしいの」
「あたしが? どうして?」
「どーしても、莉子ちゃんに持っててほしいの。莉子ちゃんじゃなきゃ、だめなの」
わけはまだ言えない。だから、わがままを言うみたいにお願いする。
「よく分からないけど、空がそこまで言うなら……」
莉子ちゃんはふしぎがりながらも、受けとってくれた。
これで、準備はオッケー。さあ、運動会のヒミツの作戦、はじめるよ。