わくわくいっぱい、つばさ文庫の新シリーズ! 超~優柔不断で自分になかなか自信がもてない5年生の女の子、天川空がある日突然、天気をあやつるチカラを手にいれた!? 勇気も自信もなかったけど、つよい意思で天気をあやつるために、はじめて自分で目標をたてて、やるって決めた! 個性豊かなお天気男子たちといっしょに、運動会を晴れにせよ!(公開期限:2026年8月31日(月)23:59まで)
14★雨ふって、地かたまる
「わたしはビビリじゃなくて、莉子ちゃんの気持ちが分かるだけだもん……」
部屋で体育座りをしながら、ひとり言をつぶやく。
ハレくんは、失敗したことがないから分からないんだよ。
リレーの最中、バトンを落として、みんなにがっかりされた莉子ちゃん。
それが、去年、向井くんと二人三脚をしてビリになったじぶんと重なる。
だれも味方がいないって、つらいんだよ。わたしだけは、莉子ちゃんの味方でいたい……。
そう強く思うと、またなみだが出てくる。
こんこんっと、ノックの音が聞こえた。あわてて、服のそででなみだをふく。
「空、いい?」
ママだった。
「お友だちが来てるわよ。夜雲さんの親せきの子なんだけど……」
「え! もしかして、ハレ──」
「空ちゃん、久しぶり」
ひょっこり、あらわれたのはアメくんだった。
「アメくん! なんでここに?」
「会いたくなってね。入るね」
ママが出ていって、わたしたちはならんで床にすわる。
「アメくん、体はだいじょうぶなの?」
「まだぼーっとするけれど、だいぶよくなったよ。みんなの看病のおかげだね。それから、空ちゃんがくれた花のおかげ」
アメくんの笑顔に、わたしの顔もゆるむ。
やっぱり、アメくんと話すとほっとする……。
「どうして来てくれたの?」
「んー。空ちゃんが泣いているような気がして」
「えっ、泣いてるの見られちゃった?」
「ぼくが、そう感じたんだよ。特訓中のはずなのに、ハレが落ちこんで帰ってきたから。空ちゃんと、なにかあったんだなって。聞いても答えてくれなかったけど……ケンカでもしたかな?」
「う、うん……。ハレくん、そんなに落ちこんでたの?」
「神さまの力があったころは、そんなことなかったけどね。ハレの気持ちが沈むと、太陽まで沈んじゃうから。でもそれだけ、かなしかったんだろうね。そのくせ、仲直りの仕方も分からない。こまったよ」
「あっ、あのね。わたし、こまらせたかったわけじゃないんだよ?」
「分かってる」
アメくんは、ゆっくりうなずく。
「でも、もっと分かってあげたい。だから、なにがあったかぜんぶ話してくれる?」
「うん。あのね……」
莉子ちゃんの本音、ハレくんとのやりとり、そしてわたしの気持ちをぜんぶ話す。
アメくんはずっと、やさしい顔で聞いてくれていた。
「そっかあ。そんなたいへんなことが、あったんだね」
「お願いをかなえなきゃいけないのは、分かってるんだよ。でもわたしは、莉子ちゃんの気持ちを考えると迷っちゃうの。どうしたら、この迷いをなくせるか分からなくて……」
ひざの上で、ぎゅっと手をにぎる。
「わたしの、悪いくせのせいだよね。願いをかなえられなかったら、深沢先ぱいや真央ちゃんを裏切っちゃう。わたしたちだって、地獄に落ちちゃう。それなのに、莉子ちゃんのことを考えちゃう。いつも周りの人の気持ちばっかりうかがって、じぶんで決められないくせが直らないから……」
「ううん、悪いくせじゃないよ」
アメくんは、わたしの手をとって、じぶんの手をかさねる。
「さいしょにも言ったけれど、雨をふらせるには、やさしい気持ちが必要なんだ。だいじな人の気持ちを守りたいっていう思いやり。空ちゃんはすごく思いやりがある。だけど──今の、莉子ちゃんに対する空ちゃんの気持ちは、思いやりとはちがう」
アメくんはしずかに、でもはっきり言った。
「空ちゃんは、莉子ちゃんの運動会をこわがる気持ちを守ってあげなくちゃ、莉子ちゃんの友だち失格になるってこわがっているんだ。そうじゃなくて、莉子ちゃんのほんとうの気持ちを考えてごらん」
「莉子ちゃんの、ほんとうの気持ち……?」