「いっぱいがんばって練習したのに、リレーの本番で失敗して、みんなに悪く思われてしまった莉子ちゃん。そのとき、そばに空ちゃんがいたら、どんな気持ちになった?」
わたしは目を閉じて、想像してみる。
「……くやしい」
自然と、口が動いていた。
「くやしくなった。だって莉子ちゃん、ほんとうに足が速いんだよ? でもじまんしないで、みんなのためにいっぱい練習もして……。それなのに、だめって思われるのはくやしいよ」
「そうだね、ぼくもそう思うよ。じゃあ、これから莉子ちゃんには、どうしてほしい?」
「それは……あきらめてほしくない。リレー、またがんばってほしい」
「うん」
「だけど、よけいなお世話かも。もっと、いやな気持ちにさせたら……」
「逆だよ」
アメくんは、強く言い切った。
「じぶんががんばったことを、だめだと思われたままで、いいやって思える子はいないよ。空ちゃんが、てるてる坊主のことでうたがわれたときみたいに。莉子ちゃんだって、ばん回したいって思ってるんじゃないかな」
莉子ちゃんも、わたしと同じ……。
莉子ちゃんは今、こわがってる。でもその奥には、あのときのわたしと同じように、くやしいって気持ちがかくれているのかも。
もしそうなら、手をかしてあげたい。あのときの、ハレくんみたいに。
「まだ、迷う気持ちはある?」
「……ううん」
アメくんに聞かれて、首を横にふる。
心のもやもやが、すーっと晴れていく気がした。
「莉子ちゃんに、もう一度走ってもらいたい。わたしが、莉子ちゃんの悪い思い出を、いい思い出に変えてあげたいから……。だからやっぱり、晴れにしなくちゃ」
アメくんの目を見て、はっきり答えた。
アメくんは、大きくうなずいてくれる。
「じゃあ、その気持ち、ハレにも伝えてくれる? まっているはずだから」
「うん。ちゃんと伝える。仲直りするよ」
「よかった、安心したよ……」
ふらっと、アメくんがわたしのほうにたおれてきた。
「アメくん、だいじょうぶ?!」
「うん、だいじょうぶ……」
でも、ぐったりしてる。こんなに具合が悪いのに、わたしたちを心配してくれたんだ。
ほんとうのほんとうに、わたしはまだまだだよ。アメくんのやさしさには、ぜんぜんかなわない。
でもいつか、アメくんみたいに、ほんとうの思いやりのある人になりたいな。
「アメくん、立てる?」
小さくうなずくアメくんの肩を支えながら、立ち上がる。
「いっしょに、神社にもどろう。ハレくんに、会わなくちゃ」