KADOKAWA Group
NEW ものがたり

大人気!「お天気係におねがい! 運動会を晴れにせよ!」先行ためし読み連載 第13回

「いっぱいがんばって練習したのに、リレーの本番で失敗して、みんなに悪く思われてしまった莉子ちゃん。そのとき、そばに空ちゃんがいたら、どんな気持ちになった?」

 わたしは目を閉じて、想像してみる。

「……くやしい」

 自然と、口が動いていた。

「くやしくなった。だって莉子ちゃん、ほんとうに足が速いんだよ? でもじまんしないで、みんなのためにいっぱい練習もして……。それなのに、だめって思われるのはくやしいよ」

「そうだね、ぼくもそう思うよ。じゃあ、これから莉子ちゃんには、どうしてほしい?」

「それは……あきらめてほしくない。リレー、またがんばってほしい」

「うん」

「だけど、よけいなお世話かも。もっと、いやな気持ちにさせたら……」

「逆だよ」

 アメくんは、強く言い切った。

「じぶんががんばったことを、だめだと思われたままで、いいやって思える子はいないよ。空ちゃんが、てるてる坊主のことでうたがわれたときみたいに。莉子ちゃんだって、ばん回したいって思ってるんじゃないかな」

 莉子ちゃんも、わたしと同じ……。

 莉子ちゃんは今、こわがってる。でもその奥には、あのときのわたしと同じように、くやしいって気持ちがかくれているのかも。

 もしそうなら、手をかしてあげたい。あのときの、ハレくんみたいに。

「まだ、迷う気持ちはある?」

「……ううん」

 アメくんに聞かれて、首を横にふる。

 心のもやもやが、すーっと晴れていく気がした。

「莉子ちゃんに、もう一度走ってもらいたい。わたしが、莉子ちゃんの悪い思い出を、いい思い出に変えてあげたいから……。だからやっぱり、晴れにしなくちゃ」

 アメくんの目を見て、はっきり答えた。

 アメくんは、大きくうなずいてくれる。

「じゃあ、その気持ち、ハレにも伝えてくれる? まっているはずだから」

「うん。ちゃんと伝える。仲直りするよ」

「よかった、安心したよ……」

 ふらっと、アメくんがわたしのほうにたおれてきた。

「アメくん、だいじょうぶ?!」

「うん、だいじょうぶ……」

 でも、ぐったりしてる。こんなに具合が悪いのに、わたしたちを心配してくれたんだ。

 ほんとうのほんとうに、わたしはまだまだだよ。アメくんのやさしさには、ぜんぜんかなわない。

 でもいつか、アメくんみたいに、ほんとうの思いやりのある人になりたいな。

「アメくん、立てる?」

 小さくうなずくアメくんの肩を支えながら、立ち上がる。

「いっしょに、神社にもどろう。ハレくんに、会わなくちゃ」


次のページへ▶


この記事をシェアする

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • LINEでシェアする
ページトップへ戻る