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大人気!「お天気係におねがい! 運動会を晴れにせよ!」先行ためし読み連載 第9回

「知らないの? てるてる坊主に顔を描いてかざったら、雨がふっちゃうんだよ」

 真央ちゃんは、自慢げに答えた。柴くんは、やれやれってかんじで首を横にふる。

「だーかーら、それはただの迷信だって。うちのばあちゃんが、一人で言ってるだけじゃん」

「ちがうもん! 真央のおばあちゃんが言うことは、ぜんぶほんとうだもん!」

「そんなの分かんないだろ、まったく……。まあ、こういうことなんだ」

 柴くんは、まだ気まずそうな顔で、わたしたちの方を向く。

「おれ、家にいるときは、ぜんぜん気がつかなくて。真央が昼休みに、ぜんぶ直したからっててるてる坊主を持って来て、初めて知って……。あっ、でも心配するな。顔は消したんじゃなくて、白い紙を貼りつけただけらしいから。おれが、ぜんぶはがすから」

「だめ! はがさないで! 雨がふっちゃう!」

 真央ちゃんが、柴くんのうでにすがりつく。

「ぜったい、ぜったい晴れてほしいの。おばあちゃん、真央の初めての運動会は、ぜったい見に行きたいって言ってたから……」

 そっか、ぜんぶおばあちゃんのために……。

「真央ちゃん、えらいんだね」

「えっ? おねえちゃんたち、おこってるんじゃないの?」

「ううん。おばあちゃんが言ったことを守ろうとしたなんて、えらいよ。すごく、えらい」

 何回も、強く言う。真央ちゃんなりに、晴れにしようとがんばっただけだ。

 おばあちゃんのことが大好きだから。その気持ち、わたしにも分かる。

「ぼくも、顔を描いちゃだめって話は聞いたことがあるよ」

 アメくんはしゃがんで、真央ちゃんに笑いかける。

「そういう言い伝えもあるよね。でも、だいじょうぶ。気持ちをこめてつくれば、どんな形でも神さまに伝わる。真央ちゃんの気持ちは、ちゃんと伝わったよ。ね、空ちゃん」

 アメくんが意味ありげにウィンクする。

 うん! って返事をして、わたしもとなりにしゃがむ。

「すっごく伝わったよ。運動会、きっと晴れるよ」

「ほんとうに?」

「わたしね、クラスでお天気係をやってるの。わたしの予報は、当たるんだよ」

「そうなの? すごいっ。じゃあ……」

 真央ちゃんは、紙袋にぜんぶのてるてる坊主をもどして、わたしにさし出す。

「おねがいね! お天気係のおねえちゃん」

「まかせて!」

 わたしは、にっこり笑ってうなずく。また、お願いをかなえたい人ができたよ。

「お兄ちゃんも、おねえちゃんにちゃんとおねがいして!」

「いや、おれはそれより……ごめん! おれ、めっちゃ天川のせいにして……」

 柴くんは、ちゃんとあやまってくれた。それだけで、うれしかった。

「もう、気にしないで。それより、話してくれてよかった」

「柴。ちゃんと、クラスのみんなにも話せよ。もう逃げるなよ」

「わ、分かってるって……。ああ~」

 柴くんが、苦い顔でうなる。

「すげー、はずかしい……。おれ、さんざんさわいでたし。みんな、おこるよな……」

 びっくりした。ふだん、明るくって堂々としている柴くんらしくない。

 でも、そっかあ。わたしがこわいって思うことは、みんなもこわいって思うんだ。

 わたしだけじゃないって知って、柴くんをずっと身近に感じられる。

「だいじょうぶだよ。真央ちゃんも柴くんも、悪いことしたわけじゃないもん。ちゃんと話せば、伝わるよ。わたしも、いっしょに話すから」

「あ、ああ……。なんか、今日の天川、ヘンなかんじするな。教室で、ちゃんとかざったって言い切ったときも思ったけど」

「え! えらそうに聞こえたとか?」

「そうじゃなくて。なんていうか……心強いかんじ? うん。なんか、今日はかっこいい」

 柴くんは、うなずきながら言う。

 それから、真央ちゃんを教室に送りに、一年生の棟に向かった。


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